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日本の大衆歌曲・歌謡曲の歴史

180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2013/09/08(Sun) 15:53
☆「古賀メロディ」と、その秘密

 「古賀メロディ」の原点は「母(母の愛)」にあると言われます。古賀政男という人は常に『母』に涙する人、母の人を包み込む「愛と優しさ」、それが曲作りのエネルギーであり、キーワードになっているのではないでしょうか。それと古賀政男は佐藤惣之助、西条八十、サトウハチローなど多くの優れた詩人に恵まれた人。

彼はよく『詩はお姉さん、曲は弟』と言って詩を大切にした人として知られる。あの哀調を帯びた人を包み込む詩の優しさ、温かさ、それと一体のメロディの優しさ温かさ、それが前奏・間奏・後奏と一体に溶け込んで人の琴線を捉える。人は誰となくそれを「古賀メロディ」と呼んで称え愛するようになった。あれは誰もまねができない。 「古賀メロディ」とはただ作曲家の名前に「メロディ」を付けただのものにあらずして、その「メロディ」を愛する歴史の中で生れた深い敬愛の意味を持つ言葉なのです。

「古賀メロディ」の中にもいろいろあって、「影を慕いて」や「人生の並木路」のようなもの、「のぞかれた花嫁」「二人は若い」「青春サイクリング」のようなもの、そして戦時中の戦時色を感じさせない「故郷の白百合」(サトウハチロー作詞、霧島昇、松原操歌)「雲のふるさと」(大木惇夫作詩、伊藤久男歌)など。総じて「古賀メロディ」というのは「青春」・青春の苦悩をテーマとした歌とも言える。

「古賀メロディ」の代表的な曲の一つに楠木繁夫の歌う「白い椿の唄」(佐藤惣之助作詩)がある。・・これは菊池寛原作 映画「貞操問答」(昭和10年)の主題歌で、古賀政男がテイチクに移籍した第一作です。前奏・間奏・後奏が独立した一曲に相当するようなすばらしい古賀メロディの代表的な曲です。

前奏・間奏・後奏だけで一つのドラマ、聴いていると、その人をそっと優しく包みドラマの人を中に引き込むメロディ、その哀調を帯びた静かな中にも怒涛のようなメロディの中に、どんどん引き込まれ、そこに秘められたメッセージを感じ取らないわけにはいかない。

・・まじめに頑張ればきっといいことがあるって、そんな青春の息吹と励ましのメッセージを感じないわけにいかない気がします。
そこが「古賀メロディ」のたまらない魅力でもあり、それは時代を越えたテーマなので、世代を越えて生き続けられるのです。

東京へ母を呼んで暮らすのが夢だったという古賀政男の母が亡くなった(昭和9年8月)のは、この映画の企画をしてるときで、この歌ができたときは母がなくなってたとき。佐藤惣之助作詞の「白い椿の唄」三番目に「呼べど帰らぬ面影は、消えて遥かな山の上・・」 と歌われてますが、これは母を失った古賀政男の心境そのもので、彼のその後に創作意欲を大いにかきたてたといわれる。

NHKTV[西田ひかるの痛快人間伝・古賀政男」では、マンドリンを通して「古賀メロディ」の曲のひみつ、古賀メロディのルーツを探っていた。
そのなかで、上記「第二の故郷韓国」を訪ねた時のビデオが最後に流れた。参考に一部を書く。

古賀政男が大正元年、7歳で韓国に渡るあたりから、韓国での暮らし、そして大正11年再び日本に帰り明治大学に入る。
古賀メロディの歴史は、日本に「歌謡曲」というものができ、それが大衆の中に根ずいた歴史でもあること。「影を慕いて」ができるまで日本の流行歌の中に、三拍子はなかった。でも唯一あるのが朝鮮の民謡。

どうして朝鮮の音楽に似てるのかな?という問いかけに、最後のビデオを見ればそれがわかると。
古賀政男は貧乏だったが、その後成功に次ぐ成功だった。でも心の底には消すことのできない、しこりのようなものがあった、それが何であるか自分でもわからない。 そんな時、体も弱って73歳になった古賀政男は、体をおして昭和53年再び朝鮮に渡ることにしたのだった。 (TBSTV[古賀政男、第二の故郷に帰る」で放映。)

そして古賀政男を迎えたのは、朝鮮の女性たちが演奏する子供のころに、聞いた懐かしい朝鮮メロデーとであった。

そしてうつみ宮土理さんの言葉を通してであるが、そこに自らの音楽の原点をみた。 家族の中で居場所の無い中で、やさしい三拍子のメロディとリズムは、古賀少年にやさしく響いた。

朝鮮の楽器「カヤキン」の弦の震えは、古賀メロディのこぶしでもあり、古賀少年のこころの震えであり、それがおなじような同時代の多くの 大衆の人々の心にひびいたのです。 ・・利根川祐「人物昭和史」ちくま文庫720 (1989)






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