掲示板に戻る 全部 前 50 次 50 1 - 50 最新 50 スレ一覧



レス数が 1000 を超えています。残念ながら全部は表示しません。

【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ壱

1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2016/04/23(Sat) 08:22
桜の花綻び、早くも儚げに花の嵐舞う様は殊の外美しゅうございますね
日本の春、長閑にして麗らかなる陽の光がこの身を包むことの何と嬉しいことでございましょう
異国より参りまして明るい青空の下、小路を染める花びらを箒で掃うのも情緒を誘うものがございます

わたくし、イタリアより参りました吸血鬼のアーチェロ・カルミーニオと申します
何卒よろしくお願いいたします

980 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2016/11/23(Wed) 13:03
>>973(柚葉さん)

>以前申し上げたように、少々皮肉屋めいた私自身の言葉を自省してしまう気持ちもありますが…。(汗)
>ですが、私が個人的な感情としてあそこまで憤ったのも、あの方が「覚悟」という言葉をあまりにも軽々しく使っていたからだと思います。
>「覚悟」というのは、私の好きな言葉の一つですから…。

申し訳ございません
わたくしは、柚葉さんのお心根への憧れから申したのですが
柚葉さんにとりましては不快なことを思い出させてしまいました…

ですが、『覚悟』、その言葉が柚葉さんにとりまして、とても大切で揺るがせにしてはならないものであること、この胸に響きましたわ

そういったことへの理解の足りなさ、といったものがありますのは、わたくしが能天気昼行燈であることは隠し様もございませんが…
同時に、わたくしが人様に比べて長命で強い『力』を持っているからでもございましょう

人間の狩人、退魔師、陰陽師…
魔族と対峙することに並々ならぬ『覚悟』を胸に宿し、長い修練を経てようやく力を手にされた方々から、わたくしは何度も攻撃を受けてまいりました

『力』に於いては多くの場合、苦も無く戦え、それが嫌な攻撃をかわしてしまえるのです
ですが、その方たちの『覚悟』に対しては、心が揺らいでしまいましたわ

幼い頃、初めて人間のそうした方から襲撃された日…
わたくしはただ驚き怯えそして…、闇雲に力を使って応戦してしまいました
訳も分からず泣きながら必死になって、『力』を相手にぶつけ ―
気が付くと、相手は…血溜まりに身を横たえていました

直後に駆けつけたメイド長が、魔力で応急措置を講じてくれたおかげで相手の命までは失われずに済みました
それからわたくしを連れ帰ったメイド長が、わたくしのお部屋でわたくしの前に立ち
わたくしは、もうそれは激しく叱責されるものと、ただ震えておりましたが
『わたしは何をした?血にまみれて、人間の命が消えゆこうとするとき何もできなかった…。』
相手を殺める寸前まで傷つけたこと、どうして言い訳など出来ましょう


ですが ―
メイド長はわたくしに平伏いたしました
『申し訳ございません。姫様の危急の時にお守りできず。
 そして、わたくしが躊躇ったばかりに、姫様を苦しめて。
 姫様に、『覚悟』を、人と向き合うことの『覚悟』をお教え申し上げていなかったばかりに…。』
そう申して…

そうして、わたくしに懇々と説いてくれましたわ
人としての普通の幸せを放擲してでもわれわれを斃そうと挑んでくる者たちの持つ『覚悟』のことを
圧倒的な力を持つわたくしたちが、彼らを貪るためではなく、自らを護るために時には彼らを殺める、そのための『覚悟』のことを

幼かったわたくしには、はっきりと理解し得たわけではありませんでしたし、その後も人界に遊びにまいるのを止めもしませんでしたが

ただ、その後はわたくしを襲ってまいる人たちの『覚悟』はその都度わたくしの心に浮かんでまいりました
敵であるとは申せ、強いそして時には曇りのない彼ら彼女らの心の在り様が

ですから、シスター様が『覚悟』という言葉をお使いになった時、やはり心が少し揺らいでしまったのですよ
もちろん、それで後れを取り、さらにまた柚葉さんに心を痛めさせてしまうつもりはないとは申せ
シスター様もまた、純粋な想いがあるからこそ、わたくしに敵対なさるのだ、と思いましたわ

ですが、柚葉さんの今のお話を伺って、『覚悟』という言葉を、もっと自分の中で噛みしめ、理解しようとしなければいけない、と思わせていただきました

柚葉さんのお言葉の一つ一つ…『覚悟』というものについて突き詰めて考えなければ、わたくしは自分の在り方も、シスター様の在り方も、結局分からないままになってしまう…
それは嫌でございますから

981 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2016/11/23(Wed) 13:05
>>973(柚葉さん) (つづきでございます)

>そもそも、お嬢様が無辜の人々を手に掛けるような方ではない事を重々承知している筈。
>そんなお嬢様を刃で傷つけ、その後でお菓子を楽しめるような性分…。
>自己陶酔のあまり、完全に狂っているとしか思えませんでした…。

それで思い出しましたわ
このような言葉を ―

『考えるあなたの権利を保有してください。なぜなら、まったく考えないことよりは誤ったことも考えてさえすれば良いのです』
『真実として迷信を教えることは、とても恐ろしいことです』

これは、三のお兄様が昔故郷の城館のお部屋に掛けられ、今は支城に持って行かれた、美しい肖像画の女性…
彼女が仰った言葉だそうでございます

女性というのはローマ帝国の学者だったヒュパティアという方だそうでございます
アレクサンドリア図書館で哲学、数学、天文学を研究されていたのですが、キリスト教の司教の求めに応じた皇帝の命により図書館は破壊され、後に彼女も後に虐殺されたそうです

直接彼女と知己であったかは、お兄様は話してはくださいませんでしたが、彼女が残したというこの言葉を、とても愛おしそうに、わたくしに伝えてくださいました

自分で考えること…、誤った教えに惑わされないこと…、これらのことは、相手が強い意志と覚悟を持っている、あるいはそう称されていればなおのこと、忘れてはならない、といま改めて思いましたわ

>…御免なさいお嬢様、あの時を思い出して、少々感情的になってしまいました…。
>でも、私の言葉から私の想いを汲んで下さるお嬢様の気持ち、私には十分に伝わって参ります。
>それに、この国には軽部さんや十六夜月華さん、フリューゲル神父様の様にお嬢様を解って下さる方々が大勢居て下さいます。

感情的などと、とんでもございません
柚葉さんの熱いお心に触れられて嬉しゅうございます
有難うございます

>それに、この国には軽部さんや十六夜月華さん、フリューゲル神父様の様にお嬢様を解って下さる方々が大勢居て下さいます。

思えば軽部様から感じていた眩しい光も、その『覚悟』を伴ったものだったのでしょう…
わたくしのところに訪れてくださった皆様のことも、あらためて有難さと愛おしさと共にこの胸に浮かんでまいります

…シスター様にも、いつかこの想いが届いてほしいですが、ただ、もうあの方の言葉にただ惑うことはいたしませんわ

>共にこの掛け替えのない日常を、不要な争いで壊す事の無きよう守っていきたいですね。

はい、本当にその想いでございます
そして、柚葉さんがいてくださる限り、それが出来ますこと、信じて疑いませんわ

掲示板に戻る 全部 前 50 次 50 1 - 50 最新 50 スレ一覧

read.cgi ver.4.21.10c (2006/07/10)