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 ファンタジー世界の酒場【冒険者ギルド】―14章―

795 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2018/01/22(Mon) 16:27
幼い頃から勇者として育った。

仲間に恵まれ、才能に恵まれ、虐げられていた無辜の人々を助けた。

それが当然の事だと思った。

ーーそして、人間の世界に攻め込んできた魔物達と戦い、僕はいま魔王と対峙している。

魔王と名乗る、剣を構えて震える小さな女の子。

彼女は言う。

「 この戦争は、お前達が原因だ 」
「 お前達の方から食料の援助をして欲しいと言ってきたのに、お前達は父上を含む使節団を殺した 」

ーー涙ながらに彼女は叫ぶ。

嘘をついていない事は目を見れば分かる。

思い出される、王の陰のある瞳。

占領した領地の、無抵抗の魔族の民に対する陰鬱な仕打ち。

そして、際限なく助力を求めてくる無辜の人々。

ーー心から信頼できる仲間達はもういない。

ならば、もう、いいか。

僕は静かに剣を鞘に戻し、女の子に跪いた。

ーーこの瞬間、人の時代は終わりを迎えた。

守るべき民、罪無き無辜の人々よ。

どうか聞かせて欲しい。

あなた達は、どうしてあれほどまでに。

私がなんの見返りも無く、あなた方を救い続けるのだと夢想していたのかーー。



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