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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ参

403 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2018/11/03(Sat) 15:19

>>402（柚葉さん）

＞申し訳ありませんお嬢様、前回から随分と返信が遅れてしまいました…。
柚葉さんらしいお気遣いの言葉、有難うございます
ですが、貴女が何時もご一緒にいてくださることは存じておりますから、ご心配なさらないでくださいませ

＞アーチェロさん、こちらが土地神様に奉納する為の温泉饅頭です。

ご母堂様のお心遣い痛み入ります
経観塚の温泉饅頭は本当に絶品でございましたから、早く土地神様の許にお届けしたいですわ

「蝶舞」とはまた、雅な銘柄ですのね
ご母堂様の髪飾りとお着物にあしらわれているのと同じ蝶々は、オハシラサマのお使いなのですか
それはまことに…さもありなんと思います

伺いますところに依れば、ご母堂様が『主』様の分霊（わけみたま）と対峙された時、ご母堂様の起こされた風が槐を揺さぶって花を空に舞わせられたとのこと
そして、花びらは数百頭を超える蝶の群れになって『主』様の分霊の力を《力》を削り取ったこと
…さらには、再び力を得んとして叔母上様の贄の血を奪おうとした分霊を、ご母堂様は自ら蝶の化身と成られて迎撃され、見事討ち果たされたこと

まことに、経観塚の蝶がどれほど深い神のご加護を伝えるものであったか知れようと申すものでございます

＞でも、その結果として桂ちゃんを守る事が出来て、年月を経た後に私自身も家族を得て…。
＞そして私の娘が、新たな絆を結んだのですね。

はい、それはわたくしにとってこの上ない幸いでございます
先ほどのお話の続きでは、力を使い果たしてご母堂様を暗いところへ落ちていかれそうになったとき、叔母上様が贄の血を以てご母堂様を繋ぎ留められたとのこと
それを思いますと、柚葉さんの贄の血に助けられたわたくしもまた、経観塚のオハシラサマの縁に連なれたという想いを新たにいたしますわ

＞海を隔てた場所で生きてこられた方であろうとも絆を結ぶ事が出来た…。
人であろうと妖（あやかし）であろうと、神であろうとも互いを結ぶ絆の尊さは同じなのですね。

遥か隔たったイタリアにて魔族として生を享け、人にとって忌避されるはずの運命を担って生きることを余儀なくされている、そうおもっていたわたくしでした
それが、遥か東の国の尊き里でオハシラサマの守護と贄の血を伝えてこられたご一族の中に命を授けられた方々と巡り合うことが出来た…
その大切な人…柚葉さんのお心と、その方を深い慈愛と共に育んでくださったご母堂様と…
どうして斯様な奇跡がわたくしにあり得たのか
ただただ感謝を捧げる想いと共に、ご母堂様の仰る種族を超えて結ばれる絆の尊さをわたくしの及ぶ限りの出会いの中でこれからも繋いで参りたいです…

ささ、土地神様のお社に着きましたわ
あらあら…あちらに巫女の姿をされて箒で境内を掃っていらっしゃる、あの方が土地神様でございます

「ほほお…、何やら常になく強い気が揃ってこちらに参ると思って居ったら、これはまた…。
　侍女殿の郷里より参りし者…彼の地を守護せし一族の裔であるかの？
　これはこれは、美味い酒が呑めそうじゃのう。」

…土地神様、目の色が変わっていますが…
まだお昼間ですから酔われるのはほどほどになさった方が

「『美味い酒』は土産話、思い出話を肴にしてこそじゃ。
　悪酔いするほど呑みはせんよ。
　…それはそうと、一緒にいるのは…これはまた、たいそうな妖を伴ったものよ。
　そちらは、アーチェロの眷族かね？
　贄の血の娘を寄り添わせて、大丈夫なのだろうね？」

こちらは、わたくしの母でございます
どうかお見知りおきを
この地にて土地神様の顰蹙を買うような所業は、娘のわたくしが決してさせませんので、どうかご安心を…

「ちょっとぉ、随分な言われようじゃないぃ？
　それはさておき。
　お初にお目にかかります。
オルキデア・ディ・カルミーニオ＝ミズリーナと申します。
守護神様にはご機嫌麗しゅう。
我が娘を守護の許に置いていただき、感謝申し上げまする。」

（そして、ご母堂様よりの神饌のお酒と温泉饅頭を奉納してお話が始まりました…。）


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