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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ参

429 名前：羽藤柚葉 ◆cmJTqYfU 投稿日：2018/11/25(Sun) 22:12

>>424（アーチェロお嬢様）

＞うちの旦那が頭抱えてましたよ
＞『あまりに出来の良い人の娘が傍についたために、アーチェロに一向に里心がつかん。』
＞ってね

（柚明）

まあ…。旦那様の心情を鑑みると同じ親として複雑ではありますが、柚葉の働きを、そしてアーチェロさんとの絆を
認めて頂けて誠に嬉しく思いますわ。

人と人ならざる者の間二ある歴史の重さ…。
私が理解するには些か荷が重いですね。
ですが、柚葉がいつかアーチェロさんの故郷を訪れた時また新たな糸が結ばれる事を願わずにはいられませんわ。

＞では、憚ることなくわたくしの牙を貴女様のうなじに立てさせていただきましょう
＞さあ…、その白く嫋やかな首筋を露わになさって…

はい…。では、宜しくお願い致しますわ。
では暫しの間、オルキデア様の御身体と心の温もりに触れさせて下さいませ。

…かつて桂ちゃんが、オハシラサマだった私に血を吸わせてくれた時もこのような気持ちだったのかしら。
痛みを超えて、脈打つ命の鼓動がアカイイトとなって共に在りたいという気持ちと結ばれる喜びに満たされていく…。
この方が、私の心を受け止めてくれた事が首筋に触れる唇から伝わってくる…。

（身体を放して、互いに見つめ合う）

＞柚明様、あんな頼りない娘ですけれど、柚葉さんに対するお気持ちはこれ以上ないほど深い
＞それは、娘を受け容れた柚葉さんの尊さの証しでもあります

…オルキデア様、こうしてお会いできた事を改めて嬉しく思いますわ。
柚葉とアーチェロさんがその血と牙をもって絆を結んだのは去年の事…。
そして、娘達の絆とそこから導かれた糸を通して次は私達が縁と絆を結ぶ事が出来たのですね。

古来より、「贄の血」は神も妖も欲してきたと聞いております。
しかし、それは私が最も尊いと信じる「家族の絆」を絶ち、奪わんとする意思によるもの…。
そこからは、新たな哀しみしか生まれませんわ。

ですが、新たな絆を結ぶものとなれるのであれば「贄の血」をこの身に宿して生まれてきた事を
心から喜ぶ事が出来ます。
今宵が暫くの間のお別れとなりましても、心は共に在る事を実感出来ますわ。

＞…これで貴女とわたくしの血もまた一つとなりました
＞これを二つの珠に分けましょう

これが…柚葉とアーチェロさんが共に身に付けていた『朱珠』…。
『真祖の血』と『贄の血』の絆を表す証…。
有難うございます。娘と同じく、肌身離さず大切にさせて頂きますわ。

>>425（アーチェロお嬢様）

（翌日、お嬢様と共に母と奥方様のお見送りに駅まで参りました）

奥方様、遠路遥々お越し頂き、誠に有難うございました。
未熟故に大したおもてなしも出来ませんでしたが、またお越し頂ければ幸いです。

お母さん、忙しい中この街まで来てくれて有難うございました。
先輩からもっと色々と学ばせて頂いて、メイドとしても成長できるよう頑張ります。
勿論、学校のお勉強も頑張りますね。

あ…お母さんの首から下げたそのお守り袋…。
そして奥方様も…。
昨晩感じた『朱珠』の温もりは、もしかして…。

（私が言葉にしかけた時、母が人差し指をそっと唇に当てて微笑みました）

…奥方様も母も、お帰りになられましたね。
久しぶりにお会い出来て、ほんの数日だったとしても何故かずっと一緒に過ごしてきたかのような気が致します。

…既にお嬢様もお気付きのようですね。
奥方様と母が、私達と同じく絆を結ばれた事に…。
これが私達の血族の本当に成すべき役目ではないかという思いに、確信がもてそうです。

私がお嬢様の故郷を訪れる時はまだ当分先だとしても、少なからず新たな一歩となってくれたのではないでしょうか？
その後押しをして下さったかのような二人の母の愛に、心から感謝致します…。



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