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サキュバスだけど……何か用？23

869 名前：名無しさん＠お腹いっぱい。 投稿日：2018/12/29(Sat) 20:18

ある日の深夜
部屋でくつろいでいたファ・ティマはふと窓の外に目をやる
一瞬人が居たように見えたが覗かれることはよくある身
あまり気にも留めずしばらく本を読んだ後また窓を見る

居た

それは顔のない道化師であった
気味の悪いほど白い肌
目や口があるはずの場所は石膏を塗りこめられたようにざらついていて、顔がないのに邪悪な表情だと分かる
道化師は窓を開けてくれと懇願するように
「ドン、ドン」
窓を叩く
「ドン、ドン」
見ればその道化の衣装は臓器と骨で出来ているではないか

しばらくお互いに見つめ合ったのち、道化師はフッと姿を消した
一瞬の安堵、そしてファ・ティマが窓に近づこうとしたその瞬間
「ベシャァ！」
道化師が頭部を勢いよく窓に叩き付けた
そして金属を擦り合わせるような甲高い声で、笑い出した
顔など、口など存在しないのに“それ”は笑顔だった
道化師は窓にぴったり張り付いて、さも嬉しそうに絶叫しながら肩を震わせる

その刹那、我に返ったファ・ティマは弾き飛ばされたようにドアに駆け寄りノブを回す
が、押しても引いてもノブが回るばかりでドアはびくともしない
すると、ドアの向こうからあの甲高い笑い声が聞こえてきた
ファ・ティマはさっとドアから飛び退き、窓を見る
そこには夜の闇ばかりがあるだけだった

そして誰かがファ・ティマの肩を背後から優しく抱く
肩に置かれた手は気味の悪いほど白く、骨ばっている
置かれた手の反対側の耳に誰かが囁く
「つかまえた」

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