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【鬼殺隊】鬼滅の刃・第弍章〜心を燃やせ〜【総合】
796 名前:
名無しさん@お腹いっぱい。
投稿日:2021/07/08(Thu) 22:48
死を望むバスの運転手の鬼
「―――――おや、また私を討ちに来られたのですか、鬼殺隊の方。
他の鬼殺隊の方にはお伝えしましたが、その刀で私の頸を刎ねようが、日の光を浴びようが、私は死にませんよ。
………いえ、死ねないといった方が正確でしょうか。このバスに自ら乗られた方達に、安らかな死を迎えさせない限り、私は死ねないのです。
何故なら………私は鬼は鬼でも人を喰らうのではなく、皆さんの"安らかに死なせてほしい"という願望によって支えられ、存在させられている、稀有な鬼なんです。
このバスに乗った人たちはね………皆、自殺希望者なのですよ。―――かくいう、この私もね。
―――――ある理由で世に絶望し、自殺を図っても死にきれず……惨めに苦しんでいるところを、"安易な死など生ぬるい。より辛く苦しんでみせろ"という声と共に血を飲まされ……
気が付いたら、私のように世の中に絶望し、本気で死を願う人の想いに勝手に引き寄せられるという、受動型の血鬼術をもつ鬼になっていたのです。
私が会った人は皆……事情は皆それぞれだけれども、生きる希望や拠り所、現世に留まる縁を失い………
"もうこんな残酷で無常な世界で生きていたくない。最期はせめて安らかに死んで楽になりたい"という想いで一致していました。
そして、鬼になってからはこのバスという乗り物を駆使し、痛みも苦しみもなく、安らかな気持ちで逝かせるという力にも目覚めていた私は、決心しました。
―――この世から本当に去りたいと乞い願う人々をすべて常世に案内し終えた時こそ、恐らく私は死ねるのだろう、と。
それからは引き寄せられてからも念押しして意志を確認し、一片の未練も後悔もないという方のみに乗車してもらい、死のツアーを敢行し続けてきた次第です。
操っているでも、強制してるでもなく、皆自分のご意志でこのバスに乗ることを選んだ人たちなんですよ。
………人の世とは、なんと虚しい……。 人の世とは、なんと哀しい……。 そんな世で生きることに厭になった人々に、せめて唯一の安らぎを……………。
………さあ、早く降りてください。このバスは、生きる意志を持つ貴方たちが乗るべきではない。貴方たちには、悪鬼の首魁を討つという使命があるのでしょう?
その意志が潰えない限り、いつの日かその使命は果たされることでしょう。それにより、この世の人々は鬼の脅威から救われることでしょう。
………ですが、そんな貴方たちでも、彼らを救うことは決して出来ません。
―――――いえ、貴方たちに限らず………生きることを諦め、死に魅入られた人の心というのは……………生きている人には、救えないのです………。
―――長々と失礼いたしました。これにてお別れです。
貴方たちが死を望まない限り、もう会うことはないでしょう。
それでは……………。」(死の世界への走行を再開する)
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