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【鬼殺隊】鬼滅の刃・第弍章〜心を燃やせ〜【総合】

841 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2021/07/13(Tue) 22:48
隊律違反を犯した隊士
「――――――――言い訳をする心算はありません。私は鬼殺隊士でありながら…御館様から賜りし、鬼を斬るべき日輪刀を以って、人を斬り殺しました。
 その罪は斬首刑相当であることも元より覚悟の上。甘んじて受け入れる所存であります。
 ―――ただ……最期に言い分を申し述べることが許されるならば、暫し耳をお貸しください…。

 ―――私はお互いに愛する人と出会えました。けれどその時にはもう、その人は不治の病で余命残り半年の命と宣告された者でした。
 ですが………それを嘆かずに……残された命を大切に、悔いの残らぬよう過ごそうと、懸命に……健気に生きる姿勢を心打たれ、心から惚れました。
 残りの時間の半分を私にくださいと、愛を告白しました。たとえ残り少なくとも、その人と共に過ごせる時を最後まで大切にしようと誓いました。

 ―――――――――そのささやかな想いを、あいつらは踏み躙った。
 ………私が斬り殺したそいつらは皆それぞれ、さる有名な名家の跡取りと目された医師見習いの連中です。
 まだまともな知識も資格も持っていない分際で、ただの経過観察で終わる筈だった彼女に独断で勝手に手術を行ない、挙句失敗し死に追いやった。
 ……突然の彼女の死に納得がいかなかった私は、どうしても真相が知りたくて病院を調べて回りました。
 ………そして、あいつらが休憩室の中で話していた会話を、扉越しに聞いて真相を知ったのです。
 
「あの時本物の医師に助けなんて求めてたら、所詮親の七光りだなんて嘲笑われてたところだったよ。」
「それにしても死んだあの女って、確か余命半年だったんだっけ。」「どうせ残り少ない命だったんだから、今死んだってどうってこともないだろ。」
「親父に頼んでの揉み消しも簡単だったし、良かった良かった。」

 ―――私は衝撃を受けました。 話もそうだったけれど、隙間から垣間見れた奴らの顔つきには見覚えがあった。
 そう………1年前に鬼の襲撃を受け、危うく殺されそうになっていたところを、私が助けた連中だった………。
 なんて皮肉だ。鬼から助けた人間の手で……私の大切な人が、殺されただなんて。

 ―――――ふざけるな。命の価値に、長いも短いもあるものか。どう生きるかだろう。
 懸命に健気に生きようとした彼女の短い人生は、貴様ら屑共の一生よりも、遥かに価値あるものだったんだっ!!
 ―――――私は躍り出て、彼女の恋人であることを告げた上で、より苦しむように斬り殺しました。
 ………結果論とは言え……今思えば、1年前に鬼に襲われたあいつらを見捨てていれば………もしかしたら、彼女はまだまだ生きられていたのかもしれない………。
 そう思うと………ただ人の命を救うことが、本当に正しいのかどうか……最早、分からなくなってしまったのです………。

 ―――聞いてもいいですか? どんな人間だろうと、命は平等ですか? 鬼に襲われた以上、どんな命だろうと救うのは当然なんでしょうか?
 だとすれば、あの屑共に殺された私の大切な人の命は何だったというんでしょうか? あんな奴らに弄ばれて、終わる道理なんてない筈なのに、何故こんなことが起こるのでしょうか?

 ――――――もう、疲れました。鬼殺隊である前に、私は一人の人間として、あいつら……鬼畜生共が許せなかった、そういうことです。
 ………これで私の言い分は終わりです。さあ、首を斬ってください。(潔く首を差し出す)

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