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【ついに告発】久保田武蔵・自称マフィア力自慢大会173冠目【toraは身バレで顔面火山】

807 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2015/09/01(Tue) 22:17
『634エンタメ体操』でおなじみの『こども体操家』、千葉県館山市エンタメ大使にして総合格闘技世界4冠王者の久保田武蔵が綴ります!
2008年09月07日

ある夜の出来事

約1年前、僕は格闘技の世界から引退した。

総合格闘技がマイナーだった頃からアメリカで試合をしていたため、僕の格闘家としての姿を知っている方は日本にはほとんどいないだろう。また、その団体も消滅してしまったため、僕が格闘家として認められる場所はあまりない。しかし、運のいいことに僕にはチャンピオンベルトという格闘技の世界で生きてきた『証』がある。これは僕の一生の宝物だ。

先日、酒場で1人の男性が声を掛けてきた。そのとき僕がたまたまチャンピオンベルトを持っており、ご一緒させていただいていた方の勧めでお店で披露させていただいたのがきっかけだった。

「ルールは何?」
「総合です。」
「俺も格闘技やっててさ。勝負しない?」
「いやいや。」
「チャンピオンなんでしょ?」
「はい。」
「どこのベルト?知らないよ、そんな大会。」
「もう無くなっちゃいましたからね。」
「ベルト賭けて俺と戦おうよ!」
「無理です。引退もしてますから。」
「逃げるの?」
「・・・。」

勝負といったって、そこにはリングもなにもない。また、そんな相手に賭けるベルトは世界のどこを探しても見当たるはずがない。

僕は尋ねた。
「なんの勝負ですか?」
「格闘でしょ。」
「ここで?」
「おう。あんたが調子に乗ってるからさ。」
「いつ?」
「ベルト見せて浮かれてるチャンピオンなんて、格好わるいよ。」
「そうですか。」
「表に出るか?」
「必要ないです。」
そのとき、体格のいい店主がやってきて、僕とその男を引き離してくれた。店の常連らしく、よくお客さんに絡むチンピラなのだとか。店主の勧めで仲直りと銘打った握手をすることになったのだが、どうも僕はその男から『負け犬』扱いされているようだ。男の握手は、おもいっきり力を込めなければ失礼だ。自分がバカにされているならなおさらだ。

握手を交わしで僕がギュッと男性の手を握ったとたん、その男性が大きく目を見開いた。その驚きの目、手の厚み、弱々しい表情は、勝負の世界にいるはずの男の目ではなかった。

確かに僕は格闘家として有名にはなれなかった。ただ、戦い続けた10年間は誰にも否定されたくない。スケールこそ違えど、僕にとってこのベルトはオリンピックのメダルのようなものなのだ。僕が自分のベルトをクソみたいなベルトだと言うのはいい。お世話になっている方々が冗談で言うのだってかまわない。ただ、見ず知らずの方から言われるというのは、あまりいい気はしない。ずっとニコニコしていたが、そんな気持ちが僕の手に乗り移ったのかもしれない。

「失礼しました。」
と彼が言った。何かしら気持ちが伝わったのだろうか?怒りに震えていた一緒にお店に入った方をなだめつつ、僕は彼のグラスにお酒を注いだ。変なことにならなくてよかったと胸を撫で下ろした次第である。

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