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苗字とは・・ 明治8年 平民苗字許可令

23 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2017/07/12(Wed) 23:13
姓と苗字の違い
 では、家制度のもう一本の柱にあたる家名の方はどうか。最初にお断りしたいことは、歴史的に見た場合、今日では混同されている姓と苗字は別ものだという事実である。姓は源氏・平氏・藤原氏・橘氏といった、古代貴族が用いた氏(うじ)の名前(氏名(うじな))にあたる。氏とは貴族が組織した族集団であり、平安時代に武士が勢力を伸ばしてくると、武士も姓を名のるようになる。そして、ついには農民までもが姓を僭称するに至った。姓は室町時代以降衰退するものの、なくなることはなく、重要な儀式や書類などにおいては、自分を権威づけるために武士も姓を用いた。
 一方苗字の方は、中世の武士が私的に名のった名前(主に地名)であり、やがてそれは先祖代々伝えられる家名となる。そして、戦国時代には農民レベルでも苗字の使用が一般化した。もちろん、江戸時代の農民の中にも、苗字を持っている者はかなりの割合で存在した。高校の日本史教科書によれば、江戸時代の農民は「苗字・帯刀」禁止であったとされるが、実際のところは、武士に提出する書類上や武士の面前で、農民が苗字を用いるのを禁止しただけのことにすぎなかったのである。
家名としての屋号
 とはいえ、それでも苗字を持たない農民はいたし、また、農民が武士の前で堂々と苗字を名のれなかったことも事実であって、こうした中、農民たちは苗字とは別の家名も用いるようになった。それは屋号である。
 屋号といえば商家のそれが思い起こされるが、農家も屋号をもっていた。屋号は通名(つうみょう)とも呼ばれる。通名とは、父から嫡男へと代々受け継がれる個人名のことであり、父に代わって嫡男が通名を名のることを襲名という。通名はいつしか、藤次郎(とうじろう)家、勘右衛門(かんえもん)家といった具合に、家に固有の名前、すなわち家名と化した。
 明治維新の後、近代国民国家を築き上げる過程の中で、徴税や徴兵の実をあげるために個人を特定することが必要となり、政府は襲名の慣行を禁止した。その結果、今日では歌舞伎などの伝統芸能の世界における芸名のレベルで、襲名慣行が残るにすぎなくなってしまったが、江戸時代の民衆世界において、それはごく一般的なことであった。そして、こうした通名の風習は、戦国時代の農民の世界でも確認することができる。

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