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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ壱

201 名前:羽藤柚葉 ◆cmJTqYfU 投稿日:2016/05/07(Sat) 22:55
>>190-192 アーチェロお嬢様

>魔除けと申せば日本では伝統的に菖蒲もそうでございますね
>「花菖蒲」ではなく、サトイモ科のいわゆる「葉菖蒲」でございます
>我が家でもつい先日、5月5日に軒先に菖蒲を吊るし、菖蒲湯に入りましたのよ
>菖蒲湯にはアロマセラピー効果があるそうでして、そのせいでしょうか、とてもリラックスした気分を堪能できましたわ

お嬢様…先日は有難うございました。
レイナさんに御用意頂いた菖蒲湯、存分に堪能させて頂きました。

…それにしても凄いですね、お嬢様。
菖蒲がこの時期の魔除けとして使われているという習慣を存じておられるとは。

…そういえば私、幼い頃にこの習わしを知ったのはとある昔話がきっかけなんです。
「食わず女房」という、ちょっと怖いお話でしたね。
先程公民館で、本を借りてきましたから使い魔の子達に今夜は読み聞かせてあげることにしましょう。

(ここからは、読み聞かせです)
昔々、腕は良いがとてもケチな呉作という桶屋さんがいました。

周りの人に、お嫁さんを貰わないのかと言われても、
女房を貰うと食い扶持が増えるからもったいない、と言って結婚していませんでした。

更に、飯を食わずによく働く女房が欲しいと言っていたそうです。
そんなお嫁さんが、いるわけがありません。(苦笑)

そんなある日、自分はご飯を食べないから自分をお嫁さんにしてほしいと
美人の女性が現れます。呉作は喜んで、その人をお嫁さんにしました。

で、そのお嫁さんはよく働いて本当にご飯を食べないから良い嫁を貰ったと喜んでいたわけですが、
ある日大切にしまってある米や味噌を見てみると、どんどん減っているのに気付きます。

そこで呉作は、仕事に出た振りをして女房の様子を見る事にしました。
昼が過ぎると、女房はお釜に山盛りのご飯を炊き、そして鍋一杯の味噌汁を準備していました。
そして山盛りの握り飯と、鍋一杯の味噌汁が出来あがると、結わえていた髪を解き始めました。
…するとそこには、大きな口が現れました。

頭の口は、アフアフと幾らでも握り飯を食べ、鍋一杯の味噌汁もあっという間に飲み干してしまいました。

「大変な女を女房にしてしまった」と気付いた呉作は、仕事から帰ったふりをすると
やっぱり自分は一人で暮らすから、暇をやると言いだしました。
するとお嫁さんは、ではすぐに出ていくから、代わりに大きな桶が欲しいと言いました。
そして言われた通り呉作が桶を用意すると…。

「この世に、飯を食わぬ女房などいると思うか!飯を食う所を見ていたな!!!」

と、お嫁さんは恐ろしい鬼婆の姿になりました。
そして呉作を桶に放り込むと、山奥へずんずん走っていきます。

桶の中で、呉作は生きた心地がしませんでしたが何とか木の枝にぶら下がって、抜け出しました。
そして鬼婆は、桶を谷底めがけて投げ落しましたが、中に呉作が入っていない事に気付きました。

「やい呉作!何処へ行ったあ!!!まてまてまてぇ!!!」

鬼婆は、世にも恐ろしい形相で追いかけてきます。
呉作は必死に逃げると、蓬と菖蒲の生えている草原にでました。
その中にうずくまると、蓬と菖蒲は刀のように鋭くなり、呉作を守ってくれました。

ついに呉作を見つけ、鬼婆は飛びかかりましたが刀になった蓬と菖蒲に当てられ、とうとう消えて無くなってしまいました。

「やれやれ、酷い目に遭った」と呉作はご飯を食べない女房が欲しい等と言っていた事を反省しました。
丁度その日が5月の5日で、その日に軒先に菖蒲を飾ると魔除けになると言われるようになったということです。

はい、お終い。
え?私のこの髪を解いたら、そこから口が出てくるんじゃないかですって?
さあ、どうでしょう?よろしければ、今から解いてみせましょうか?

…あらあら、3人とも部屋の隅で縮こまってしまって。
うふふふ、冗談ですよ。(苦笑)



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