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【零】地図から消えた村…【質雑】

817 名前:318の続き(その2) 投稿日:2020/11/16(Mon) 22:40
「今までの恩を忘れたのか!? 幾らお前さんでも許さねえぞ、『ツーフェイス』!!」
「私はこんな組織にするためにずっと尽くしてきた訳ではない。今のアンタ達…かつて、アンタ達ですら忌み嫌ってた『A』の奴らと何ら大差ないよ!
 アンタ達をそこまで醜くさせたのは、私にも責任がある。虫の良い身勝手な言い分なのは百も承知…。だからこそ……ケリを付けさせてもらうから!」
「ふざけんなぁ!! もうテメエは仲間じゃねえ! 裏切り者だぁーーーーー!!」

かつて仲間だった者達との血で血を洗う殺し合いを、死に物狂いで生き抜こうとする澪。
どれだけ傷を負っても彼女を支える原動力は、「姉とまた会いたい。生きていきたい。」という想いのみ。
ただ己の私腹を肥し続けたいという者達の醜い我欲の念より、澪の切なる執念が勝ったのは、かれこれ数時間経った後だった。
喜ぶ暇なく戦後処理として、裏社会で学んだ理屈・力学を駆使して足が付かないよう、自分の出来得る最大限の証拠隠滅工作を施した。
後は誰にも追われないよう行方を眩まし、姉と再会してずっと平穏に暮らすのみ。

………自分は死後、地獄逝きなのは既に覚悟を決めている。組織の命令とはいえ、数えるのも飽きるほどには屍を築いてきた上、裏切る為に元仲間達も殺した。
今更血濡れの手を綺麗に出来ないことは分かり切っている。
――――――――それでも、そんな自分でも出来るのならば……現世にいる内は、姉と共に平穏に暮らしていきたい。姉と幸福に生きていきたい。
たった一つ、自分に許されることがあるならば――――――――――

夜明けの空は雲一つない晴天だった。それは、姉との暮らしとギャングとしての生き方の狭間で悩んでいた頃とは一転、
黒い靄がすべて晴れた今の自分の心境のようにも見えた。
ただ、あまり長く余韻に浸ってもいられない。やがて、パトカーのサイレンが聞こえて来るだろう。
その場から離れ、空港へと続く道を往く澪。上がったばかりの日差しは、今日ばかりは光輝いて見えた。

―――――――――さあ、もうすぐだ。もうすぐ、新たな人生を―――――――――







……………………一発の銃声と共に、衝撃が澪の身体を貫いた……………………


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