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【零】地図から消えた村…【質雑】

820 名前:318の続き(その5) すみません、これで最後です 投稿日:2020/11/16(Mon) 22:45
――――――――――――某所の某一室。
豪華さや派手さはないが、人並みの暮らしをするには十分な居住空間。
『食べるには困らないくらい蓄えはあるけど、派手な暮らしぶりだと怪しまれるからこんな感じの部屋を選んだよ、お姉ちゃん。
 それと口座は一纏めにせず分散させて、かつ名義も別々にすることで足が付かないようにもするから大丈夫。それから………』
細かいところまでは覚えていないけれど、色々と便宜を図ってくれた末にここに連れてきてくれた澪の心遣いに、改めて感謝する繭。
………ただ、どれだけ住み心地が良くても、肝心の澪がいないのでは………。
部屋の中でただ一人、澪の帰りを今か今かと待つ繭。
……その時、窓の方からそよ風が吹き込んできた。

「澪……………?」

風に揺られて波打つカーテン越しに、澪の輪郭が見えた気がした。
そして……何かが聴こえたような気がした。

「澪!!」

脚の後遺症など気にも留めず即座に窓に向かい、カーテンをどけてベランダに出る繭。
だが………澪は、いなかった。

「澪………?」

気のせいだったのだろうか……。それとも、幻覚だったのだろうか……。
ベランダで呆然としていると、一頭の蝶が舞っているのが見えた。

「蝶………こんな時間に………?」
 
 …………………澪…………………………」

蝶はしばらく舞った後、西の空に向けて飛び去って行った。
まるで別れを惜しむかのように羽ばたいていく蝶を、繭はただ見送るしかなかった――――――。



…………以上、滅茶苦茶長くなって恐縮だが、『ツーフェイスのミオ』の辿る結末を想像して描いてみた。

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