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UC.ガンダム全般(総合質雑)

1 名前:アムロ・レイ ◆S1o.kilU 投稿日:2006/02/20(Mon) 10:34
僕がここのスレ主、アムロ・レイだ。ここでは宇宙世紀でのキャラクターのみの入室しか受け付けていない。SEEDキャラやアナザーは立ち入り禁止だ。よし、ルールを説明しておこう。
・キャラは名無しとUCガンダムキャラのみ
・キャラハンはトリップ必須
・荒しは無視、キャラ被りは禁止

...と、まぁこんな所か。さて僕はνガンダムの整備があるから、楽しくやってくれ。

192 名前:アナベル・ガトー@ ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:15
>>189
【初めて敵を落とした時の感想は?】

(宇宙世紀0079 9月30日)


「貴官らに集まって貰ったのは他でもない。
5分前、16:10。
偵察機より、待ちに待った報告が有った!」


ジオン公国軍、ムサイ級巡洋艦 『カウリバルス』 の艦橋。
その作戦室で、艦長のアルネ・リンデマン少佐が、剛い口髭を動かしながら戦域図の一点を指し示した。


「サイド7!
この崩れかけのコロニーから、 『ルナツー』 への帰還途上にある敵艦隊を発見したとな!
此処からだと最短で20分後には接触出来る。

ふふん!赤い彗星が討ち漏らしたV作戦絡みの艦隊だとすれば・・・
今度こそ連邦のモビルスーツを拝めるかも知れんぞ?」


リンデマンは ”あの艦長の身長と胴回りは同サイズ” と部下達に揶揄される程の
――もちろんそれは多分に誇張だが――巨躯を揺すりながら笑う。

豪胆で知られるこの壮年の男は、敵の強力な新兵器に遭遇するかも知れぬという緊張感よりも、
それを狩る楽しみをこそ感じているらしい。

しかしそれは、艦橋に居並ぶモビルスーツパイロット達も同様だったようだ。


「ははっ!そうでなきゃ困るさ!
わざわざ 『ソロモン』 からここまで出張して来たんだからな。
手ぶらで帰るって訳には行かねえよ。
暇を弄んでる 『ソロモン』 の連中に、甲斐性無しと言われちまうからな!」


背はさほど高くはないものの、幅広のいかつい体躯を持ったパイロットがおどけて見せると、
他のパイロット達も笑い声を上げた。

短く刈り込んだ白に近い金髪と、いかにも気の強そうな四角い顔を持つこの男は、
宇宙攻撃軍所属、第302哨戒中隊隊長のアルフレット・クリストフ・ルーデル少佐だ。

ジオン十字勲章の授与が確実視される、ジオン軍の誇るエースパイロットである。

彼が開戦以来積み上げた撃墜機数は40機余。
堂々たる数字ではあるが、トップ10に入る程のスコアではない。
にもかかわらず、その勇名は連邦軍の兵士の間にまで轟いていた。


それは”もう一つのスコア”によるものだった。



193 名前:アナベル・ガトーA ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:17
撃沈数9隻。


連邦宇宙軍のマゼラン級戦艦、及びサラミス級巡洋艦に対する彼の戦績である。


今まで彼のザクは、120mmマシンガンを装備した事が只の一度も無かった。
その鋼鉄の手には、常に280mmバズーカを握らせていた。

連邦艦隊の対空砲火網に果敢に飛び込み、至近距離から数発のバズーカ弾を叩き込み、
巨艦を仕留める・・・それが彼の得意とする戦法だったからだ。


”カノーネ・ホーゲル(Kanonen Vogel)”

・・・『大砲鳥』


その凄まじい戦いぶりから、連邦軍兵士達が彼に付けた仇名である。



「赤い彗星ばかりに手柄を持っていかれるのは面白くねえ。
俺達だってたまには美味しい思いをしたって良いじゃねえか!
なあ、ガトー?」


ルーデルに話を振られたずば抜けた長身と鋭い眼光を持つパイロットは、
第302哨戒中隊の副隊長、アナベル・ガトー中尉だった。


「はい。連邦のモビルーツ、如何程の物か、私も興味があります。

まさか連邦ごときにモビルスーツが作れるものか、とも思っていましたが・・・。
サイド7でキャッチした彼奴等のモビルスーツには、あの赤い彗星も随分と手こずった様子。
侮れません。
しかし、だからこそ、この敵艦隊がV作戦のモビルスーツを搭載する艦隊であって欲しい物。
ジオンに仇成す者は、その芽の内に摘んでおくのが最上でありましょう!」


「フフッ、そういうわけだ。
では早速、俺達は出撃するぞ!

・・・大物が釣れるのを楽しみに待っててくれよ、艦長!」


ルーデルはガトーら部下を引き連れ、艦橋を出た。


地球連邦軍によるモビルスーツ開発計画と、それによる反攻策、V作戦。
サイド7内部で密かに進行していたそれは、9月18日、『ジオンの赤い彗星』
シャア・アズナブル少佐の部隊の強襲を受け、大きく遅れていた。

連邦軍はその遅れを取り戻すべく、艦隊を派遣しては 『ルナツー』 との間を活発に往復させ、
破壊されたパーツの回収、ファクトリーの復旧に努めていた。

ガトーと上官のルーデル率いる第302哨戒中隊が、リンデマンの艦隊に乗り込んだのは、
この連邦の艦隊を攻撃し、V作戦を妨害するという任務を果たす為だった。



194 名前:アナベル・ガトーB ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:22
「何っ、モビルスーツが接近中だと!
ええい!ジオンに見つかったと言うのか!?」


地球連邦軍の宇宙要塞、『ルナツー』 からの派遣艦隊の司令、ロバート・ウェイン・カールトン大佐は
指揮シートから腰を浮かせた。
彼は必死に動揺を押し隠しつつも、麾下の全艦による迎撃の指令を出そうとしたが、
一度思い止まり、当初出そうとした物とは別の指示を出した。


「奴らの迎撃はセイバーフィッシュ隊と 『コベントリー』、『ダブリン』 の二艦にやらせるんだ!

その間に本艦は全速で戦域を離脱!
我々は 『あの積荷』 を確実に 『ルナツー』 に届けねばならんのだからな!」


カールトンの座上するマゼラン級戦艦 『マーズ』 が回頭を始めた。
連邦艦隊に向け疾走しながらそれを認めて、ガトーは憤りの声を上げる。


「部下を見捨て、旗艦が真っ先に逃げるか!
腰抜けめ、そうは行かん!
しかし・・・あの様子では、奴はやはりV作戦絡みの機密を抱えているに違いあるまい!

全機、突入せよ!
決して奴を逃がすな!」


しかし、ガトーの率いるモビルスーツ隊と、『マーズ』の間に割り込むようにして、サラミス級巡洋艦、
『コベントリー』、『ダブリン』の二隻と、連邦軍の宇宙戦闘機、『セイバーフィッシュ』 の大群が進出して来た。 


「この雑魚どもが!
そんなに死にたいか!」


サラミスの砲撃を躱しつつ、、セイバーフィッシュの群の中に飛び込む。
センバーフィッシュ隊はガトーの 『06S・ザクU』 を取り囲み、25mm機銃弾を驟雨のように浴びせる。

しかし、ガトーのザクは両脚を蹴るように前に振り出し、更に推進剤を吹かした。
AMBAC機動に推進剤の噴射を合わせて、複雑な回避行動を取る。
戦闘機では絶対に有り得ない機動を見せるガトーのザクに、セイバーフィッシュの銃弾は一発たりとも当たらない。

ガトーは滑らかな最も効率の良い動きで敵弾を回避しつつ、120mmマシンガンを放った。
彼のザクが方向を変える度に吐き出す銃弾は、次々と敵機を撃墜して行く。


「フン、他愛の無い!

ルーデル少佐もそろそろの筈だな!」


セイバーフィシュ隊の後方から砲撃を続けている、二隻のサラミス級の直上の空間が煌いた。



195 名前:アナベル・ガトーC ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:25
それは彼らに対して攻撃すべく、太陽光を反射しつつ急降下して来た、
ルーデルの率いるモビルスーツ隊だった。

第302哨戒中隊は戦力を二手に分けていた。
ガトーの率いる一隊が敵に正面から攻撃を仕掛け、その迎撃を一身に受け止める。

そして手薄になった敵の艦隊を、ルーデルの本隊が叩くのだ。


「敵の旗艦がトンズラしつつあるってのが想定外だがな。
だが、とりあえず・・・こいつらを仕留めねえ事には!

アダムスキー!お前達は左のをやれ!
右のは俺がやる!」


アダムスキー曹長らの3機のザクが一直線に向かったのは、『コベントリー』だった。
彼等は 『コベントリー』 の対空砲を難なく回避しつつ、更に三手に分かれ、懐に飛び込んだ。

そしてそれぞれが、『コベントリー』 の艦橋、後部エンジン、艦体下部の大気圏突入用カプセル部に、
至近距離からバズーカ弾を叩き込む。

各所の小爆発が誘爆を呼び、やがて三つの炎が一つに繋がり、大爆発を起こした。


分厚い装甲で覆われた宇宙戦闘艦にも弱点と呼べるものがいくつかある。
この三箇所がまさにそれであり、それこそルーデルが編み出し、部下に伝授したものだった。


そして、ほぼ同時にもう一隻の 『ダブリン』 が轟沈した。
ルーデルの『06S・ザクU』が 『ダブリン』 に飛び込み、艦橋を叩き、そのまま通り過ぎつつエンジンを一撃し、
更に下方に潜り、カプセルを撃ち抜いたのだ。


殆ど一瞬のうちに、三つの弱点を叩き、巡洋艦を撃沈してのけるという芸当を目にして、ガトーはほくそ笑む。


「フ・・・さすがは ”大砲鳥” 

ついに撃沈数が10隻の大台に乗りましたな、少佐!
このままあのマゼラン・タイプも!
まだ間に合います!」


「当たり前だ!
今日は俺の10隻撃沈達成と、敵のV作戦の阻止成功!
この2つのパーティをやるぞ!

24時間ぶっ通しで飲ませてやるから、覚悟しとけよ!」



196 名前:アナベル・ガトーD ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:28

「も、もう撃沈されたのか!?
『コベントリー』 も! 『ダブリン』も!
まさか、あの ”大砲鳥” が来るとは・・・。

や、止むを得ん!
『あれ』 にも発進準備をさせろ!
調整具合なんぞどうでもいい!」


迫るジオンのモビルスーツ隊を前に、今度こそカールトンは狼狽していた。
『マーズ』 の対空砲が有りったけの銃弾を吐き出す。

しかし、ルーデルのザクはそれに動じる事無く、一直線に 『マーズ』 の艦橋を目指す。


「落とせ!何としても!
こんな所で死んでたまるか!
こんな所で・・・

う?
うわぁぁあっ!!」


『マーズ』の艦橋のスクリーン目一杯に、ルーデルのザクが映り、そのモノアイが光った。
カールトンには、ザクが笑ったように見えた。
獲物を弄り殺す、肉食獣の笑みに。
それがこの世でカールトンが見た、最後の光景になった。

『マーズ』 は巨大な光球と化した。



「ようし、終った!
しかし、結局連邦のモビルスーツには会えなかったな。
今回は外れって事か?
つまらん・・・・・・ん?
何だ?」


爆散する 『マーズ』 からの光が薄れつつある。
突然、その中から、一条の光が迸った。

決して太くは無いが、力感に満ちたその光は、真っ直ぐルーデルのザクに向かい、そして・・・

貫いた。



・・・新たな爆発




「なっ!?
ルーデル少佐?
少佐!!」


ガトーの目には、ルーデルのザクが四散する様がスローモーションのように見えた。
その止まりかけの時間の中で・・・ガトーは見た。

爆発し、灰塵に帰した 『マーズ』 がかつて存在していた宙域に、銃を構えた一機のモビルスーツが居るのを。

それは赤い彗星が討ち漏らし、以降苦戦を強いられている連邦のモビルスーツ、『ガンダム』 だった。
だが、そのガンダムは赤い彗星が交戦した機体とは、色が異なっている。
その機体は、黒と白を基調としたカラーリングだった。

・・・『RX―78−1』
ガンダムの一号機である。



「・・・あれは!!
連邦のモビルスーツだというのか!

だが、しかし!
あの爆発したマゼランの中に居て無事だったとは。
そしてあのビーム砲の威力・・・信じられん!」


しかし、いつまでも呆然としてはいられなかった。
そのガンダムが、こちらに向けてビーム砲をかざしたからだ。


「くっ!
この化け物め!
よくもルーデル少佐を!」


ガトーはスロットルレバーを押し込み、最大速度でガンダムに突っ込む。



197 名前:アナベル・ガトーE ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:32

ガンダムに向かって突撃するガトーのザクの真横をガンダムのビームがかすめる。
当たりはしなかったが、それでもその高熱により、ザクの右肩のシールドの一部が溶解した。


「・・・この!
いい気になるな!」


ガンダムに一気に肉薄し、120mmマシンガンの連弾を浴びせる。
直撃。
ガンダムは後方に吹っ飛ぶ。

しかし、ガンダムはすぐに態勢を立て直し、ビームライフルを放って来た。


「無傷・・・だと?
馬鹿な!」


だが、それは現実だった。
さらに数度に渡って120mm弾を叩き込むが、ガンダムの動きは全く衰えない。
爆発するマゼラン級の中にいても、無事でいられたその装甲の前に、120mm弾は無力に等しかった。

そしてガンダムが装備したビーム砲。
その超高速のビーム弾は、実弾の銃火器とは異なり、撃たれてから回避行動に移ったのでは躱せない。

ビームの「狙撃」を受けぬようにする為に、ガトーは、常にスロットルを踏み込み、
複雑な航跡を描きつつ戦わねばならなかった。
四方八方から襲う強烈なGに、彼の身体がバラバラになりそうになる。

それでも戦闘を続けたガトーのザクだったが、ついに120mm弾の弾体が尽きてしまった。


「これが、連邦のモビルスーツの威力なのか!

だが・・・貴様がいかに優れた性能を誇ろうと勝つのは私だ!!」


弾切れを起したマシンガンを捨て、腰からヒートホークを抜き放ち、突進する。
ビームを回避し、ガンダムに体当たりを喰らわす。
その勢いのまま、態勢を崩したガンダムの右腕をビームライフルごと切り落とす。

ガンダムは頭部のバルカン砲を乱射し、必死に後退しようとする。
しかし、それ以上の速度でガトーはザクを前進させ、逃がさない。

何発かのバルカン砲の直撃を受けながらも、ヒートホークでガンダムの首を跳ね飛ばし、
更にそれを腰に叩き込んだ。

ヒートホークの高熱で腰の半ばを焼き切られたガンダムは、各所で小爆発を起し始めた。



198 名前:アナベル・ガトーF ◆JZkC7c9U 投稿日:2006/06/03(Sat) 22:37

・・・宇宙要塞 『ソロモン』 の司令室。

リンデマンとガトーは、要塞司令官・ドズル・ザビに作戦成果の報告をした。


報告をするリンデマンの目が赤い。
また、右手には包帯が巻かれている。

ルーデル戦死の報に接した時、この物事に動じない大男は珍しくも激昂し、指揮卓を思い切り殴りつけ、
小指を骨折してしまったのだった。

そんなリンデマンからの報告を最後まで沈鬱な表情で聞いていたドズルは、重々しく口を開いた。


「その連邦のモビルスーツを撃破したのは、連邦にとって大いなる打撃だろう。

だが、ルーデルを失った俺達の損失はそれ以上に大きいかもしれん。
・・・この勝負、負けたとは言わんが、勝ったとも言えんな。

だが、お前達が悪い訳ではない。
連邦のモビルスーツを侮った俺の甘さが、ルーデルを死なせたんだからな!」


それは自分も同じだとガトーは思った。
甘かった。
マゼラン級が轟沈したのを見て戦闘の勝利を確信し、気を緩めた自分に腹が立つ。


初めて敵の戦闘機を落とした時も、戦艦を沈めた時も、今までの努力が無駄で無かった事の喜びと、
この戦争の前途の明るさを感じたものだったが。

この戦闘で初めてモビルスーツを撃墜したガトーの胸には、自分に対する怒りと悔しさしか無かった。

ドズルは、その場の沈痛な空気を吹き飛ばすかのような大音声で告げる。


「とはいえ、今回の武功は間違いなく、第一級のものであると認める!
まさに全軍の模範となる働きだ!
俺の権限で、アルフレット・クリストフ・ルーデル”大佐”にジオン十字勲章を授与する!

・・・アナベル・ガトー”大尉”!」


「・・・はっ!?」


「ルーデル大佐の後任として、貴様を第302哨戒中隊の隊長に任ずる!
それに合わせ、階級を中尉から大尉に昇格させる!

いいか!
ルーデルが育てたこの隊の名を、貴様が更に高めてみせろ!
ソロモンには、この宇宙最強のモビルスーツ隊が居るのだと!
連邦の餓鬼どもに思い知らせてやるんだ!」


ガトーにとっては意外だった。
懲罰とまでは行かなくとも、隊を罷免させられる事は覚悟していたからだ。

部下に雪辱の機械を与え、その士気を高める。
これがドズル・ザビという、ジオンで最も士心を得た将の、部下の使い方だった。


「私が・・・第302哨戒中隊の・・・?
・・・身に余る光栄です!
ルーデル大佐の武名を汚さぬよう、精進いたします!」


アナベル・ガトーが初めて連邦軍のモビルスーツ・ガンダムを撃墜したこの日こそ、
彼の 『ガンダム』 に対する宿命の始まりだったのかもしれない。

彼は誓った。
今後、如何に連邦が強力なモビルスーツを繰り出そうと、残らず蹴散らして見せると。


アナベル・ガトーはその生涯で 『ガンダム』 を2機撃墜し、1機を戦闘不能にし、更に1機を奪取した。


史上、地球連邦軍の誇る傑作機、 『ガンダム』 相手にこれ程の戦果を挙げた者は・・・、

彼をおいて他には居ない。


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