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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ壱

408 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2016/06/12(Sun) 09:24

>>395（月華様）
＞攻撃を受けたにも関わらず、家臣ゆえに反撃せぬか……
＞やはり、ぬしは清く、優しき心の持ち主…一点の濁りも無いその双眸が、それを如実に語っておるわ。
いえ、そのような立派なものでは…、もう、恥ずかしいですわ
皆さん、住み込みのメイドさんで家族の様な感覚でしたから
メイド長には「主は主、従僕は従僕、君臣の分は弁えねばなりませんよ。」とよく申しますが、わたくし甘えん坊でしたし、いわば「メイドさんのスカートの中に隠れて」育ったようなものでございます

それが、わたくしの出奔の際は皆さん、苦渋の面持ちで剣を向けてこられたのですよ
昨日までわたくしを慈しんでくださった皆様です、防戦一方にならざるを得ないのですよ

互いに翼を持つものでございます
剣を避けるのに中空へと逃げることはできますが、同時に上下からも剣が襲ってまいります
本当に…グータラ娘があれほど飛び回ったことは後にも先にもございませんでしたわ

尤も、前にも申しました通りメイド長はちゃんとわたくしの身を考えてくれていたと思いますわ
本気で全員にかかってこられたら、この身が五体無事では済みませんでしたでしょうから

メイド長は対人間穏健派の方で、乱より治を大事にいたします
カラミタ副長を筆頭とする強硬派の手前、わたくしを易々と出奔させるわけにはいかなかったのでございましょうね

＞我ら十六夜家は、人ならぬ身にて影から人を護ってきた一族……
＞我はその掟に従っておるだけよ。もっとも、そうなったのは曽祖父の代からじゃと聞いておるが……。
あらあらまあまあ…、十六夜家の仰る御一族は左様に人間と深い所縁をお持ちでいらっしゃるのですか？
この国にも様々な人がいらっしゃれば、様々な闇もまたございましょう
人を護ることとなった経緯、人を護り続けるご苦労もまた様々にありましたことと推察いたしますわ

では、月華様もそうした御一族の在り様に従って日々を過ごしていらっしゃるのですね
わたくし、月華様の秘められたご苦難を知らずにおりましたこと、今さらながら心苦しいですわ

＞そんな高尚なものではない……我は単なる喧嘩好きよ。
＞事実、ただ命のやり取りにしか悦びを見出せずにおった時期もあったしのう。
＞そんな我を引き戻したのは、父の放ったただ一言……「己を見失う事勿れ」。
＞あの言葉なくば、我こそ悪鬼に堕ちておったかもしれん。
今現在の凛としていらっしゃる月華様も左様な苦衷の思いを経てきていらっしゃるのですわね
その経験を越えて今の月華様がいらっしゃるのですもの
やはり、その魂には宝玉の原石の如き輝きを宿していらっしゃったのだと思いますわ
戦いの中で陰りが生じたとしても、それを煌きにお力をお持ちであったこと
それこそが月華様の月華様たる所以であろうかと僭越ながら思わずにはいられませんわ

「己を見失う事勿れ」ですか…
それはわたくしとて心せねばならないことですわね

＞積年の恨み、か。哀しき事よな……十六夜家の中にも、闇に生きる身でありながら人を護るという事に反感を抱く者も少なからずおる。
＞我ら妖狼と人間との因縁も、決して浅くはないからのう……。
異種族を護ることを一族の使命としていらっしゃる、それはどれほど深い親愛のお気持ちでございましょう
余程に深い決意を秘めていらっしゃるのでしょうね
その想い、因縁を人々が知らないでいるというのはとても…残念に思いますわ

＞うむ。我も同じ思いよ……十六夜の臣を、憎悪の渦中に巻き込むわけにはゆかぬ。
月華様はやはり多くの方々を束ねるお立場でいらっしゃるのですね
自然と滲み出てまいります威儀を感じてしまいますもの

…同じ『姫』の立場なのに、なぜわたくしとこうも違うのでございましょう…

＞うむ、それが良かろう。我は逆に、少々深く考え込んでしまう癖があるようじゃ。
＞いわば『ウェアウルフ・パティエンス』……苦悩する人狼、じゃな。
月華様のご苦心はわたくしなどの思い及ぶところではございませんでしょうが
思いの丈をお伺いすることならできましょうから、これからもどうか遊びにいらしてくださいまし

うふふふ、能天気昼行燈のわたくしは毎日のほほん、閑居して遊びを為すのが大好きでございます
中間テストも終わったことですし、これから月華様や皆様とご一緒に思いっきり羽を伸ばしたいですわ

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