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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ壱

1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2016/04/23(Sat) 08:22
桜の花綻び、早くも儚げに花の嵐舞う様は殊の外美しゅうございますね
日本の春、長閑にして麗らかなる陽の光がこの身を包むことの何と嬉しいことでございましょう
異国より参りまして明るい青空の下、小路を染める花びらを箒で掃うのも情緒を誘うものがございます

わたくし、イタリアより参りました吸血鬼のアーチェロ・カルミーニオと申します
何卒よろしくお願いいたします

719 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2016/08/11(Thu) 20:15
>>693(柚葉さん)
>ああ…そういえば、私が教会に出向くのをお嬢様が笑顔で見送る際、お嬢様の髪の毛が一部アンテナの様に尖って、
>何やら電波を受信していたような…。恋心電波を受信されていたのでしょうか…?

あらあらうふふ、わたくしの髪がそんな風になりまして?
もう、おからかいになって…
それは寝ている間に付いてしまいました寝癖かと思いますわよ?

アンテナはわたくしのこの胸の内にちゃんとございますわ
何時だって、柚葉さんのことをお気持ちを知りたいと思うわたくしの胸に

>>よりにもよって雇い主が魔族なのです
>>せっかくのご自身の想いを育まれるのを邪魔してしまったりはしなかったでしょうか…?

>そ、そんな事はありません!
>それにあの方は、人か魔族かという表面的な見方をするような方ではなく、
本質を見据える事の出来る慧眼をもった方ですから…。

申し訳ございません
神父様を疑うつもりなど毛頭ございませんわ
あの方とお話しさせていただいて、その慧眼の一端を垣間見たのですから

少しだけ、ほんの少しだけ、柚葉さんのお心の行方を心配したのです
わたくしにご遠慮して、あの方へと向かう心の翼の、どこまでも飛んで参ろうとなさるその翼の羽ばたきを控えてしまわれないかと
だって…、あなたはあまりに優しくて、あまりにわたくしを気遣ってしまわれるから

でも、確かに…
お二人の曇りの無い瞳が見つめ合い、心を通わせ合うなら、わたくしのこともきっと迷いなく包んでしまわれるでしょう
この胸の懸念など何の意味の無いことと反省いたしましたわ

ただ…、神父様のいらっしゃる世界には、その教えに相応しからざる心濁らせた人も居りますのは確かなこと
そのような者たちが神父様に対し、己の物差しでは測れない気高い魂に対し、邪な考えを持つこと、そればかりは少しばかり懸念するのです

シスター・カリーナ様とは全く別の、濁った心の者たち…

720 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2016/08/11(Thu) 20:16
>>693(柚葉さん) (つづきでございます)

かつて例によってわたくしが人間に交わろうとした、とある村でのこと
木登りをしていて降りられなくなり泣いていた女の子を、飛んで行って抱いておろしてあげたら、泣き声を聞いて血相を変えた母親が必死の形相で駆けてきましたので、その娘を渡しました
母親がわたくしに頭を下げて礼を仰るという、当時としては珍しい友好的な雰囲気で、わたくしも少なからず良い気分でございましたが

しばらくしてより後、その村の上空を飛んでおりましたら、村の広場で何やら大勢の人たちが騒いでいます
その人の輪の中に先日の母娘が抱き合って震えているという、面妖な景色です

そして傍で喚いているのは村の教会の聖職者らしき男
そっと聞いていれば、
『この娘は、女吸血鬼に魅入られ友となったと告白した背徳の者
 既に、血を与えて下僕となる契約をしたに違いない』
と顔を紅潮させて嵩にかかって口から出まかせ、罵詈雑言
母親は弁解するも、疑心暗鬼の村人に囲まれ顔面蒼白…

慌てて急降下して母娘のために弁解しようとしたら背後から声
「姫様、ストレートに庇ったら逆効果ですよ。少しはキャラを作ってください。」
とちょっと冷めた声で言うフィドゥーチャが

彼女のアドバイスを受けて、ゆっくりと降下
せいぜいキャラを作って高慢に高笑いいたしました
「愚か者どもよ。教えておいてやるわ。
 貴様らの如き下賤の者の血、我が舌を悦ばせられると思うてか?
 此処にいる者の誰一人その任に堪えはせぬわ。誰一人、な。
 その母娘の血も、我が家の使い魔の蝙蝠に食らわせるのがせいぜいであろうよ。
 だが、そうだな、そこな尊い神の代理人の血なら我が舌を悦ばせられるかもしれんな。
どうだ、試してみてやろうか?」
聖職者は、文字通り腰を抜かして四つん這いになって、陸に上がったアザラシのようにジタバタしていましたわ
元々、人望も無かったのでしょう
村人も、むしろ母娘に同乗の目を向け、男たちは二人をわたくしから庇う態勢でしたわ

(もうこの村には来られないな)
そう思いながら、わたくし冷笑の高笑いをあげ、フィドゥーチャと共にその場を飛んで去りました…

フィドゥーチャの
「ほら、元気出して。帰ったらお茶を淹れて差し上げます。」
の声が胸に残りましたわ

…また、長々と昔話をしてしまいまして申し訳ございません
ただ、あの聖職者の様な…なんというか、つまらない男が教会にもいるのですわ
それももっと高い地位にも…
そのような者に神父様が付け入られること、それはあってはならないけれども、少し心配にもなるのです

柚葉さんのお心のときめきに水を差すような不快なことを申してしまい、申し訳ありません
本当に、本当に、申し訳ありません…

ただ、あのような鼠輩が神父様の足を掬おうとする、そんなことだけは絶対にあってはならない、そう思うがゆえに詰まらない話をさせていただきました

お二人が手を携えていかれるなら、きっと杞憂ではあろうことと存じてはいるのですが…

ごめんなさいませ、能天気なわたくしらしからぬヘンな心配性になってしまいまして


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