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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ壱

934 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2016/11/05(Sat) 18:51

>>926（柚葉さん） （さらにさらにつづきで…これで最後でございます）

＞…何となく思い出したのですが、軽部さんはハロウィン等は大丈夫なのでしょうか？
＞先程お裾わけのお菓子をお届した際には、至って普通の反応をされていましたが…。

ああ、そうでした
そのことで、お二人にもお耳に入れておきたいことがございますの

先日、土地神様のお社でご奉仕に落ち葉を掃いておりましたら、不意に土地神様が顕現されて
『お主に伝えておきたいことがある。』
と仰いますの
その話と申すのが…

ある日の夕方、軽部様がお社にいらっしゃいまして一心に祈られていたそうで
その祈りの言葉というのが、
『今度のハロウィンの日、カルミーニオさんの前から逃げないでいられますように』
と

何のことかと興味を持たれた土地神様、巫女のお姿に身を変えられて、軽部様に『一心に祈っておられましたが、何かとても深刻なご様子。何か困ったことでもあるのですか？
話して少しでも気が晴れるなら、聞かせていただきますが』
と声を掛けられたそうなのです

土地神様、時々『気まぐれに』巫女の姿をして、参拝者と言葉を交わしていたそうで、軽部様とも久しぶりに話をしたそうでございます

そこで軽部様が話されたのは
『訳があって近づきたくても近づけない友達がいる。
　これまでずい分努力したつもりだけど、中々距離を縮められない。
　それで、ハロウィンのとき、このとおり私は小柄だから衣装を着て仮面をつけて、子どもたちに混じって、その友達のところを訪ねたい。
　顔を隠し、相手も自分と気が付かなければ、傍へ行って言葉を交わせるかもしれないから。
…だけど、それでも近づけなかったら？
我慢しきれず、逃げ出してしまったら？
　それが恐い。もし、自分だと気が付かれたら、きっとあの人を傷つける。
　もう、わたしのことを嫌いになるかも知れない。
わたしも、自分のことが許せなくなるかもしれない。
　それを思うと…実行するのが恐くて。』

『では、その企てを取りやめる、というのも一つの方法でしょう？
　無理をすることは無いと思いますよ。』
と巫女様は助言したのですが

軽部様、却って気持ちが固まったようで、
『その人は、怖がられることを覚悟の上で自分のことを隠さずに私たちのところに来た。
　わたしが避け続けていたら、きっとあの人のことを傷つけ続ける。
　だから、この計画は止めない。』
と仰った、と

一通り話された神様、わたくしに
『そんなわけだから、当日あの小娘が逃げ出しても、まあそう嫌ってやらんでほしい。
　共にわれの氏子じゃからな。
仲たがいは心楽しくないでのう。』
と仰いました

わたくし、思わず
『とんでもございません！』
と大きな声を上げてしまいましたわ

だって…、軽部様がご自分を責めることなど全くないのですから
むしろ、そんな辛い思いをしてまでわたくしに近づこうなどとされなくても、と申し訳ない気持ちでいっぱいで…

ですが、そうやって聞いてしまいました以上、わたくしも軽部様のお考えを尊重したい、と存じます
土地神様にもそう申し下ましたわ

土地神様、
『では、後のことはお主に任せる。
　わしは面倒は好かんでな。
これからはあまり煩わせるでないぞ。』
と仰って…微笑んでいらっしゃいましたわ

お二人にお願いいたします
もし、仮装した子供たちの中に挙動不審な子どもがいても、咎めないで上げてほしいのです
その子どもが逃げ出したりしましたら…その時はわたくしに任せてくださいませ
恐らくわたくしにはどの子が軽部様が感知できると思いますから


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