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909 名前：名無しさん＠ベテラン悪霊 投稿日：2016/09/24(Sat) 06:09

（黄昏時が過ぎ、あたりはすっかり暗くなった。あなたは歩いている内に、
人通りもない寂しい場所に来てしまった。そこには唐傘を持ち、
書生風の和服を着た糸目の青年がいた。青年はあなたに気付くと
にこやかに一礼をした後、話しかけてきた)

こんにちは。どうにも剣呑な空気が漂っていると思えば、
肝試しのようですね。せっかくですし、一つ私もお噺をしましょうか？

あなたは恐怖の根源をご存じですか。端的に言えば、恐怖とは
未知の出来事に対する防衛本能です。即ち、最も人を恐怖に
陥れるには理不尽な事象でじわじわと嬲り殺しにすること…これに尽きますよ。
書物にイカレた頭デッカチ共は理不尽な話に、やれリアリティがない、
やれ状況に頭が追い付かず、怖さを感じないだろうとおっしゃるでしょう。
が、彼等も己の眼前にせまれば、その言の葉を返すと思いますよ。
それに理不尽に死ぬことも少なからずあり得るのが本当の現実ですしね。

…おや、あなたもあまり怖くはないようですね。
ならば目を閉じ想像するのですよ。自身が目を抉られ、足が？げ、舌を切られ、
首を折られ、五臓六腑が激痛に悲鳴をあげようと体が勝手に蠢き、最後には
火にあぶられ全てを燃やされる所を想像するのです…
（話の最中に柔らかなものが潰れる感触がした。足元をみると
大量の目玉の群れがあなたを見つめていた。目玉達はどれもギラギラと輝き
白目が血走っていた。足元の感触は目玉を潰してしまった事によるものだった。
潰れた目玉で出来た血溜まりがぬらりと足に纏わりついた。）

おや？どうしました？おやおや目の玉ですかぁ。アハハ古典的な仕掛けですね。
こんなの今時怖がる人なんているのですかねぇー。
…しかし、この目の玉はとてもよく出来ていますね。
まるで本物ですよ。特にプチッと潰れる様は…
(しばし青年は愉しげに目の玉を弄っていた。
が、ふと目を見開きあなたに顔を向けた)

おや？どうしてあなたは右手に傘を持っているのでしょうか…
（いつのまにかあなたの右手に青年の唐傘が握られていた。
右腕はあなたの意思を無視して蠢いている。右腕以外は
金縛りにあったかのように動かない。あなたが動揺しているのを
楽しんでいるかのようにゆるりと右腕は動き、
右の眼前に傘の先端を突き付けて来た。）

クックック…私は今まで665人殺してきました。
あなたを殺せば私も念願の神になれます…クックック
（そう言う青年の眼窩は黒く、血の涙を流し、裂けた口中の歯は尖り、
およそ人とは思えない形相で嗤っていた。青年の背後には、
空洞の目を持つ無数の黒い人のような塊達が、
短くなった舌を苦しげに動かしていた）

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