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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ弐

111 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2017/01/01(Sun) 17:00

>>107（柚葉さん）

＞お仕えする立場の私が並んだ時に、逆の立場の衣装を着て頂くのは
＞少々複雑でしたが…（汗）。

いえいえ、うふふふ…
今年の夏は、京都ですっかり柚葉さんのご案内におんぶにだっこでしたもの
わたくしとて、たまには前に立って柚葉さんをご先導したいのですよ
吸血鬼ゆえに力だけは秀でておりますもの
その気になれば、橇に乗った柚葉さんを担いで空から公民館にコンニチハ、もやってみたかったですわ

＞でも、子どもたちの笑顔と共にお嬢様の笑顔も同じ位輝いておられましたね。
＞種族や故国、文化の違いなど関係なく共にに笑顔を分かち合える 素敵な一時を
＞過ごせて頂けて私も嬉しかったです。
＞…本当に、お誘いして良かったです。

ええ、子どもたちの笑顔に迎えられて、わたくしも元気いっぱいトナカイさんを演じられたと思います
プレゼントを配った時の子どもたちの嬉しそうな様子と言ったら…
興が乗ってわたくしに抱きついてくる子どももいてもみくちゃになるなんて、思っても居りませんでした

種族…、そうですわね、信仰の上からは、闇の魔族の中でも、最も『悪魔』と見做されやすいわたくしたちを、いとも易々と光溢れる祝祭へ誘ってくれたのは、子どもたちの曇りのない心と小さな手…
わたくしの数百年の生の中でも稀有なひと時をくれた、あの子たちの優しさ、わたくしがもらった大切な宝物
これは…、いつか見送ってくれた故郷の者たちにも伝えたいです
素敵なひと時を、新たな明日を拓く縁（よすが）とするために…

＞はい、商店街のお肉屋さんが素晴らしい逸品をご用意して下さったんですよ。

まあ、お肉屋様がそのようなお心遣いを？
ありがたいことでございますわ、柚葉さんとわたくし二人のことを、とても気遣っていただいているのですね
そうですね、あの方はお颯様と同様、早くからわたくしに親しく呼び込みの声をかけていただいた方でしたわ

商店街でも最初のうちの一時は、『人間のメイドさんが吸血鬼に仕えて、どんな扱いをされているか』と心配される方も多かったようですが
肉屋のご主人やお颯様は、柚葉さんのご様子から、最初から『無用の心配』と意に介していらっしゃらなかったようで、ありがたいことでしたわ

＞そういえば、提案した際にはレイナさんも少し驚いた顔をされたような気が…。
＞でもすぐに、「何より大事なのは柚葉さんの心です。お嬢様に喜んで頂きたい…。
＞その気持ちさえあれば大丈夫です。」
＞と言って頂けたんです。
＞由来を知らなかったのは私の勉強不足でしたが…。

そうですか、それは宜しゅうございました
わたくしを気遣ってくださる柚葉さんのお心に比べれば、過去の故郷での拘りなど今のわたくしには拘りとも申せません

そもそも西洋の料理は、その出所に於いてキリスト教徒関連付けられるものは多いことと存じます
『パンはキリストの肉体、ぶどう酒はキリストの血』と言われるほどですから、気にしていてはせっかくの美味しいお料理に水を差すというもの
気になさることなど全くございませんわ

＞まあ！私にこのような素晴らしいプレゼントを用意して下さったのですか？
＞本当に…有難うございます。
＞早速、私が今読んでいる文庫に着けてみても宜しいですか？

…ほっ
良かったですわ、喜んでいただけて
いつもご本の良きお話を教えてくださる愛書家の柚葉さんにお使いいただければ、ブックカバーにとっても幸せかと存じますわ

＞はい…。本日は神父様やシスターさん達にとって特別大事な日ですから。
＞笑顔で、信徒の方々や子どもたちのために忙しそうにお仕事をされておりました。

そうですか、シスター様方が皆様のために頑張っていらっしゃるのでしたら、何よりのことでございます
悪しき魔を祓うのは、彼の方たちにとって聖なるお仕事とは申せ、人々の心に平安をもたらすことこそが本当の、いつの世も変わることの無い、聖職者のお仕事でございましょう
そのお仕事を為される時間をお持ちになれて聖夜を迎えられ、本当に良うございましたわ…

わたくしは信徒から最も遠い位置に居るものですが、それでもこの良き日に感謝を捧げたいと存じます…


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