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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ弐

542 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2017/08/11(Fri) 23:57

>>537

わがカルミーニオ家は、中央政界との関りを持つことを伝統的に控えてまいりました
地方領主貴族ゆえ、自領の安定が第一の大事であり、中央へ影響を及ぼすことは、そのための必要最小限に限定してまいりましたわ
まして、わたくしたちの正体は魔族
迂闊に中央に関わっては、正体が露見するリスクが高まり、もしそうなった場合はせっかく営々と築いてきた我等の安泰の土台を崩してしまいかねません

ムッソリーニ政権に対しましては、イタリア王国に一定の安定をもたらす存在として、我が一族もそれなりに好意的な見方をしておりました
彼の方の専制的な政治姿勢については、最近数百年の欧州政治の動向の中では特に突出したものにあらず、との見解だったのではないか、と思います

わたくし自身は、政治的な見識などございませんでしたから、父の『敬して距離を置く』スタンスにそのまま従っておりました
社交の場で首相ご本人をお見かけしたことはございますが、特に実のある交流を為したこともございませんでしたわ

その行為が警戒へと徐々に振れていったのは、ドイツとの接近の故でございました
独墺のアンシュルスの承認、チェコスロバキアの領土割譲の仲介、そして第二次欧州大戦への参加は決定的だったかと思います
父も母もわたくしに詳しい話はいたしませんでしたが、魔脈と人脈を駆使して、
中央政界の動向をかなり詳しく把握していた様子でしたわ
そこで何らかの介入をいたしたかどうかは、わたくしは存じておりません

あの方が失脚した後は蟄居隠棲なさることを父は望んでいたようでございます
ご本人にとっても王国の運命の転変を思うと、わたくしもそうであって欲しかったと存じますわ


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