【オリジナル】アラビアン・マッチョ【古代アラビア】

86 名前：拳狼ルミナ ◆uwki1uEg 投稿日：2018/09/17(Mon) 12:25

>>83

（女）
嬉しい事を言ってくれるわね、姫様…。
一人の友として、本当に嬉しいわ。

勉強不足は、私も同じ。
獣の身では、知らなかった事が人の世には多過ぎるわ。
そしてまだまだ、私も知らない事ばかりよ。

貴女が為すべき事を為し終えたのなら…。
今度は二人で世界を巡りたいものね。

>>84

（男）

今迄に、3回ある。
勘違いするな、離婚歴は無いぞ。
伴侶となった相手とは、生涯を共にしその臨終を見届けてきた。

最初の結婚は、男の時だ。
オレに拳技を教えてくれた、師となる男の娘だった。
人の姿になる事が出来て、天性の力だけで勝ち続けて有頂天になっていたオレに
師は言ったよ。

「お前の力は俺より遥かに上だ。だからこそ、お前は俺に負けるのだ。」

とな。

力任せに殴りかかった瞬間、一瞬で目の前が真っ暗になったよ。
そこからだったな。師をはじめとして、素手の戦い方に様々な技巧があるのを知り
多くを学んでいったのは。

老いや怪我で師が満足に戦えなくなり、代わりにオレが戦って稼いだが、
伴侶となる娘は平穏な生活を望んでね…。
戦わずとも、拳技を生かす道を歩むようにして生涯を共にしたよ。
それ以降は、男の姿で結婚はしていない。

（女）
後の2回は、女の姿よ。
最初は地方領主の息子に見初められてね…。
誠実で優しく、常に民の事を思っている人だったわ。

家柄の事情から、側室は3人いたけれどいずれとも私は仲良く暮らす事が出来たわよ。
その暮らしの中で、様々な「知」を学んだわ。
政治、農耕、経済、医学…。
側室の方からも、色々と学ばせてもらったの。

夫と4人の妻で知恵を絞り、様々な危機を乗り越えてきたわ。
女の姿の方が、色々と学ぶ上で向いていたのかも知れないわね。

そして3度目は、男として生きていた時に戦った熊のような格闘家だったの。
風貌とは裏腹に繊細で子ども好きで、戦っている時と普段の姿は別人のように穏やかだったわ。

…切欠は、たまたま湖で水浴びをする時に先に来ていた彼と鉢合わせて
男の姿から女の姿に変わるのを見られたのが切欠なんだけど。

彼とは格闘士を抱える一座と共に様々な場所を旅して、その中で私が踊り子としても
興行を支えて色々盛り上げたのよ。
立ち寄った街々で様々な踊り娘とも出会って、魅せ方について学んだの。

彼が引退してからは、農地を開拓して様々な苦労の甲斐あって農場を作り、
彼は頼れる農場の親方として一生を過ごしたわ。
その時に、地方領主だった最初の夫と暮らした日々の中で培った知識は私達の暮らしを大いに助けてくれた。

取り敢えず、そんな所ね。
私の子ども達は人間の血の方が濃かったようで、私のような特徴（耳や尻尾）をもった子はいなかったわね。
…最も、それで良かったのかも知れないけれど。

…先立たれる時の辛さは分かっていても、人の身で生きている限り誰かを愛する事をやめたりはしない。
孤独こそが、何よりも一番辛いのだから。


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