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【FF6】僕ちん帝国

1 名前:ケフカ ◆gb8.lUSE 投稿日:2019/04/27(Sat) 14:21
あ、僕ちんの〜僕ちんによる〜僕ちんの為の帝国っ!
名無しで質問?キャラハン参加?
勝手にすればぁ〜?
ただし僕ちんの邪魔をする者はぜ〜んぶブッ壊してやる!

フォアーッふぉふぉふぉふぉ!
それではイッツショータイム!
狂 宴 の 始 ま り だ ァ!

758 名前:市井の人間3人のよもやま話 投稿日:2021/04/29(Thu) 08:03
A「なあ、いきなりこんなこと言うのもなんだけどよ……"鬼"って知ってるか?
B「おいおい、ホントにいきなり何なんだよ。そんなもん地獄の獄卒とかの、空想の産物だろうが。」
C「それとも何だ? お前の近所にいるとかいう、鬼ババアの事か?」
A「違う違う。そんなんじゃねえ。正確には鬼じゃねえんだが……"鬼"と呼ぶにふさわしい元々は人間だったヤツの事だ。」
C「元々は人間だぁ? まさか人間が人食いの化物にでもなったってのか? 馬鹿馬鹿しい…。」
A「いや、人食いではないのかもしれねえが、化物になったってのは確かさ。
 俺がこんなことを言うのもな……"鬼"って案外、空想とか比喩じゃなくて、人間のごく身近な存在なんじゃないかって思えてならなくて、お前らに話したくなったんだ。
 俺の住む町にいる、"あの男"の話を聞いてからはな…。これを聞いても、子供染みた馬鹿馬鹿しい冗談噺だと笑えるか、お前ら…。」
BC『何なんだよ、その男って…』
A「相当長くなる話だが、まあ、ちょいとばかし付き合ってくれねえか………。」

759 名前:市井の人間3人のよもやま話 投稿日:2021/04/29(Thu) 08:04
………………これは俺の住む町の郊外で暮らしていた、ある絵描きの男の話だ。
その男は絵を描くのを愛していてな。単なる趣味に留まらず、好きが高じて画家になるほどの無類の絵好きさ。
子供の頃は勿論、大人になってからも描いた絵は数知れず。観る者の心に訴えるほどのモノを生み出す、才能の持ち主だった。
………だが、幾ら絵が上手かろうと、それだけで食べていくことは出来ないし簡単じゃねえ。どこぞの会社に自分の絵を売り込んで契約関係を築くなり、
いいパトロンに巡り会い、個展を出せる程の資金を出してもらうなりして、それで名を売ることが出来てようやく日の目を見ることが出来る程、厳しい世界さ。
だが、その男は絵描きとしての才能は有ったが、他人と交流して関係(コネクション)を築くほどのコミュニケーション能力が絵描きとしては致命的に欠けていた。
それに、男はどちらかというと自分の絵を売り物としてではなく、単なる芸術を越えた、己の一部として愛でるタイプの性格だった。
寧ろ、売り物にして稼ぐということ自体が低俗な考えだと嫌っていて、自分の思いつくまま・自由気儘に素晴らしい絵を描ければそれでいいと考えていたんだ。
だから、男の絵の素晴らしさに感動し、向こうの方からビジネス話を持ち込んでくるヤツも偶に何人かいたが、男は素気無く断り続けた。
…だけど、そんなんじゃ生活は楽になるわけがねえだろ? そもそも収入が入らねえんじゃ、幾ら貯えがあったとしてもいずれは尽きて生活が立ち行かなくなるしな。
最初の頃は、芸術を愛する男のひたむきさと優しい性格に惹かれ、結婚後は、いつかは有名な画家として大成するだろうと期待していた妻も、
やがて男の偏屈な在り方に呆れ果て、ついには愛想を尽かして別の男に鞍替えしてしまったんだ。
男はショックを受けた。妻の事は悪からず想っていただけに、男にとっては耐え難い裏切りだった。
そんな男に残ったのは、日の目を見ない多くの絵と、唯一残った肉親の愛娘だった。
娘だけは、母親と違い現実的な打算込みの考えよりは、母親よりも愛情を注いで育ててくれた男の優しさの方を選んだという訳さ。
それに子供心ながら、別れた後は母親は立ち直りが早くても、男の方はひどく落ち込み、独りでは立ち直れないことを見抜いていたしな。
そんな健気な娘は男にとって、唯一の心の拠り所になった。娘だけは絶対に離さないとさえ思っただろうよ。
だが、妻に逃げられたという話が知れ渡るや、娘を引き取りに来た親戚連中や、絵に目を付けて高く売り出そうと考えていた欲深な連中がここぞとばかりに絶えずやって来るようになり、
ただでさえ傷ついていた男の精神は更にズタズタに抉られていった。
そしてついに発狂し、娘を片腕で抱きしめながら包丁を振りかざし、近づくなら殺すとさえ言って相手を脅し、やがて誰も近寄らなくなった。
それ以降、娘以外の誰も信じなくなった男は食事も採らず、風呂にも入らず、寝さえもせず、四六時中絵を描き続けた。
それも、これまでのような人を感動させる絵ではなく、男の心中を代弁するかのような、陰惨で禍々しい絵ばかりをな。

760 名前:市井の人間3人のよもやま話 投稿日:2021/04/29(Thu) 08:05
……実はな、俺は休みの日に少しばかり好奇心が沸いて、興味本位で男の住む家に寄ってみたことがあった。
そしたらな、明かりの付いていない二階の部屋の窓から、俺をギロッと見下ろして睨んでくる顔が浮き出てきた。顔はやせ細っていて、血走った眼だけが大きく飛び出ていた。
そん時、俺はマジで化物だと思って、逃げるように家から離れた。あの顔に睨まれ続けていたら、間違いなく呪われるとさえ思ったよ。今でも時々、夢に見ちまうくらいだ…。
それに俺だけじゃない。俺の近所付き合いのダチ公が、実は男の娘と幼馴染の仲良しでな。両親が別れた日以来憂鬱な顔をするようになった娘が心配で、
一度、気づかれないように男の様子をドアの隙間から覗いたんだそうだ。
男は相変わらずキャンバスに向けて絵を描き続けていた。その時描いていた絵というのが………娘の絵だったんだ。
恐らく男は、衰弱して寿命が近いことを悟り、死ぬ前に愛する娘の姿を絵にして残そうとしたんだろう。
だが、それは暗闇の中で娘がこちらを向いて座っていて、その上から大きな腕が娘を覆い被さるように抱きしめているという、優しさや慈しみとかいったものはなく、
「娘は絶対に離さない」、「永遠に自分のモノだ」と云わんばかりの、男の願望が前面に出ているかのような絵だった。
息を呑むほどに上手かったが、恐ろしい絵だった。いや、その絵よりも何よりも、絵を描いている男の方が遥かに恐ろしかった。
その時……そいつはハッキリと見たんだ。世間に対する己の恨み辛み、憎しみ、悔しさ、そして娘に対する歪んだ愛情を……………
一心不乱に絵筆を振るい、描くことでキャンバスに叩きつける男の横顔は……………



――――――――――――――まさに、"鬼"の貌だった―――――――――――――――



………男は娘の絵を完成させた直後、間もなく息を引き取った。
だが、死んだ後も"鬼"となってあの家に残り、そして娘の傍にいる。
『娘を絶対に離さない』『永遠に自分のモノ』………愛が歪んで妄執に変質してしまい、その狂った妄執を以て、娘を縛り続けている。
娘を真剣に心配してくれて、家から引き離そうとした親戚の何人かは原因不明の死を遂げ、娘に惹かれて交際を申し込んだ男達も、不可解な事故死を遂げた。
――――――『あの娘には下手に関わると死ぬ』。いつしかそんな噂が立ち、誰も娘にまともに関わろうとしなくなった。
娘も、自分のせいで人が死ぬのが辛く苦しくて、自ら他人を遠ざけるようになっていった。幼馴染のアイツとも、疎遠になった。
アイツ自身は今でも娘のことを気にかけているが、自分ではどうしようもなくて、諦めちまったんだとよ…。


……………とまあ、こんな話をそのダチ公から聞いたのさ。
これを聞いて、恐ろしいというか、哀しいというか………人間ってのは何なのか、"鬼"ってのは何なのか………ガラにもなく考えこんじまったよ。

――――――なあ………これを聞いて、お前らはどう思う?

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