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【BLEACH】こちら空座町 藪第一病院前 技術開発局出張所【アナタのお悩み改造(なお)します】

1 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2022/10/12(Wed) 23:35
…(トゥンク)


ククク!久しぶりの現世に、私の心臓が乙女のようにときめいているヨ!

時間が惜しい!
さっそく始めるヨ!

初めまして、と言っておこうか?被検体の諸君。
私は、十二番隊隊長及び技術開発局二代目局長の……

【涅マユリ】だ。

私たちの活動写真が久々に上映されると聞いてネ。
来るべき次の戦いに備え、現世のデータを採りに来たのだ。

というわけで、そこの名無し!
おめでとう。

君 を 被 検 体 一 号 に し て や る ヨ

人間爆弾になって、護廷の鬼となるか!?
私に解剖されて、科学の発展に寄与するか!?

好きな方を選び給えヨ!

フハハハハハハ!!!
ハァーッハッ…

【ほおぎゃぁあ おおおぎゃぁあ うおおぎゃああああん】

チッ……何だネ?

五月蝿いぞ!
伝令神機は”まなーもーど”にしておけと言ったろう、ネム……眠八號!

ナニ、京楽総隊長からだと?
まったく、これからオタノシミだというときに……

【アニメ放映記念に現世行きを命じてごめんねー?
 でも、どーせお客さんなんか来ないだろうし、テキトーに前居たトコの質問にでも答えててよ。
 じゃ、がんばってー
 http://www.10ch.tv/bbs/test/read.cgi?bbs=narikiri&key=114087083&ls=50

……あの浮浪中年め!
「どーせお客さんが来ない」とか!
シレっと恐ろしい事を言いおって!

フン、まあいい。
新たな被検体が来るまでは、言う通りにしてやるとしようかネ。

それに。
あの時間に戻るということは、あのときのネムに。

眠七號にも会えるという事だからネ……


45 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/11(Sun) 23:53
虚圏でマユリが戦ったエスパーダの8番の奴
あいつ実は兄貴と分離してしまったせいで大幅に弱体化してて
元はエスパーダ最強クラスに強い奴だったみたいね

46 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/16(Fri) 08:00
マユリはぼっちクリスマス?

47 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/19(Mon) 01:22
ネムよりマユリのが名前可愛い

48 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/19(Mon) 22:08
ネムとやちるなら
どっちのがイレギュラーな女性副隊長なの?

49 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/20(Tue) 23:31
卯ノ花が初代剣八で
更木剣八が憧れているって
四番隊員にも十一番隊員にも衝撃だな

50 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/23(Fri) 23:29
死神がクリスマス祝うのおかしいが
凄い祝い方しそう

51 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:17
>>45
【虚圏でマユリが戦ったエスパーダの8番の奴
あいつ実は兄貴と分離してしまったせいで大幅に弱体化してて
元はエスパーダ最強クラスに強い奴だったみたいね】


第8十刃、ザエルアポロ・グランツ。
有りもしない“完璧な生命”の存在を信じ、希求した哀れな “自称” 科学者。

その彼が、自らのバックアップとしてバラ撒いたデータから生まれた存在。
それが、自称 “シエン” ――シエン・グランツ、だったネ。

あのケダモノーー更木剣八と正面から殴り合う戦闘力を見せるも、所詮は肉体も持たぬ紛い物。
鈍感音痴率いる空座防衛隊の一員、カラクラ・プラチナムに討ち取られた……と。
何とも悲惨な最期じゃアないか。

ン?
『鈍感音痴』ではなく、『ドン・観音寺』が正しい表記だと?

どっちでもイイように思えるがネ……
分かったヨ、記録を訂正しておくとしよう。

マア、君達凡人が、ヤツの “更木と互角にやり合える” 程度の力に、目を奪われてしまうのは解るヨ。

しかし――私は違う!
偉大なる私が注目したのは、あのバックアップの仕組みだヨ!

想像してみ給えヨ?

あのバックアップを技術的に解析し、安定的に運用できるようになれば……
「シエン・グランツ」を数千、数万、イヤ、数百万体産み出すことも可能だという事だヨ?

そこに義骸と義魂技術を用いて、肉体と我々に絶対服従する魂を与える。
エネルギー源は……そうだネ。
虚圏にて虚達を片端から「バッテリー」に改造し、尸魂界まで霊子パイプラインを接続し、
それを「シエン・グランツ」達へ注ぎ込めば良い。

結果、産まれるのは……
更木剣八並みの戦闘力を持った、何百万という義骸の兵士達による軍団だヨ!

ククク……ハハハ!
ハハハハハ!!!
これならば三界の征服も容易いネ!

……フン!
冗談だヨ。

私は科学者だ。
世界征服など、子供じみた妄想に浸る趣味は無い。

今でこそ、死神達は刀を握り、自ら血を流して戦っているが。
いずれは尸魂界も瀞霊廷も、より少ない犠牲と流血で、守れるようになるだろうネ。

無論、その一方で。
このような技術には、リスクが伴うのも解っているヨ。

しかし、我々科学者が、死神が、進化の過程で手にしてきた “叡智” というモノがあれば――
その程度のリスクは克服できる。

そうではないかネ?
少なくとも、私はそう確信しているヨ。


52 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:19
>>47
【ネムよりマユリのが名前可愛い】

ホウ……
君、面白いネ。
なかなか良いセンスをしているヨ。

ならば君の子には、マユリと名付けてやると良い。
もし、ペットには名付けるなら、君の生皮を剥いでやるから覚えて置き給え。

マア、君が想像している通り。
私は、百合にちなんだ名を名乗っている。

花言葉なんぞには興味が無いが。
百合の花言葉だけは好きでネ。

百合の花言葉は『純粋』と『無垢』なのだヨ。
科学者として、在らねばならぬ姿を、これほど見事に言い表した花が他にあるかネ?

さらに色によっても花言葉が異なるのだ。
白百合の花言葉は『純潔』と『威厳』だ。
黒百合の花言葉は『呪い』と『復習』、そして『恋』だ。

『恋』と『呪い』と聞けば、まったく正反対のモノに聞こえるかもしれないが……

なァに、どちらも大して変わりはしないヨ。
一人の人間、一つの事象への『情の深さ』、『執着心の強さ』と捉えるならネ。

そして、そのどちらも過酷な研究を継続するには欠かせぬものなのサ。

サテ。
私はメイクをする際、白と黒を多用する。
これは偶然だろうか?
無論、そうではない。

私は完璧ではない。
だからこそ、今よりも良いものを希求する。

さらなる改善を信じ、他により良いやり方があるのではと、必死に模索をする。
そしてそれを、死ぬまで続けるのだ。

その取り組みはまるで、恋のようでもあり、呪いのようでもあり、復讐のようでもある。
だが、そこに没頭し、戦うことに、私は誇りを感じているのだヨ。

そう、この名こそは。
私の誇りなのだ。

ネムがいつか、私の意志を継ぐに相応しい者となったならば……
この名を与える事も、あるかもしれないネ。




53 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:21
>>48
【ネムとやちるなら
どっちのがイレギュラーな女性副隊長なの?】

イレギュラーとは?
失礼な言い草ではないのかネ?

どちらも正式な副隊長だヨ。
代理でも代行でも代打でも替え玉でも影武者でもないのだ。

――隊士すべからく護廷に死すべし

――護廷に害すれば、自ら死すべし

山本のクソジジ……総隊長のお言葉だヨ。

我々死神は皆、その覚悟を持っている。
まして、副隊長ともなれば、その想いはより強い。

たとえその正体が、人造死神であろうが、更木の斬魄刀が顕現した姿だったのだとしても。
彼女らが、護廷十三隊の副隊長として、その歴史に名を刻む存在であることに変わりはないのだヨ。

決して、イレギュラーなぞと呼ばれて良いものではない。
それは……侮辱というものだヨ。

だから……

って、何だネ!阿近!
今、私はとても良い事を言っている最中……

ナニ、緊急事態だと?
フム、フム?

今日の女性死神協会の決議で……、
この技術開発局が臨時集会所に選ばれた……と!?

ど、どういう事かネ?
奴等の臨時集会所は、朽木白夜邸だったはずでは?

は?
朽木邸は、今改装中?
朽木ルキアと阿散井恋次夫妻がいつでも実家に帰ってこれるようにと?

……あの男、相も変わらず!
妹のかわいがり方が迂遠だネ!

イ、イヤ、そうじゃない!
それを決議したのは誰だ!

……女性死神協会会長、草鹿やちる!?
技術開発局は「かくれんぼにもって来いだから」と?

……。

……。

オイ、阿近。
何とかして、何とかして、草鹿やちるを失脚させるのだ!

あんな奴を十一番隊副隊長及び女性死神協会会長にしておくなど、断じてあってはならん!

尸魂界100万年の歴史から抹消するんだヨ!!
金平糖にしびれ薬を盛るとか、今すぐ策を考えるんだ!


54 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:23
>>49
【卯ノ花が初代剣八で
更木剣八が憧れているって
四番隊員にも十一番隊員にも衝撃だな】

私は今まで、幾万という死体に接してきた。
どれも様々な死に顔をしていたが……

アレほど、穏やかで、美しい表情で死んだ者を、私は見た事がない。

……イヤ。
違う。

何度も見た、ハズだった、ネ。
それは、命懸けで我が子を守り、我が子の無事を確信してから命を落とした、母親たちの顔だ。

そう。
あのときの、黒崎真咲の顔もそうだった。

……フン!
なぜ、今、黒崎真咲の事なぞを思い出したのか。
我ながら、不思議なものだネ。

今回の事は、四番隊員にも、十一番隊員にも衝撃だったかと?

古参の隊員以外ではそうだろうネ。
だが、さすがに十一番隊員は、たとえ新参者であっても、卯ノ花烈に、“何か”を感じ取っては居たようだが。

しかし、痛ましかったのは虎徹勇音だヨ。
明らかに憔悴しきっていた。

だが、それでもしっかりと自分の足で立ち、葬儀やその他の始末を指揮をしていたのは……
見事、と言って良いのではないかネ?

今後、誰かが四番隊を引き継ぐ事となろうが……
後任は彼女で問題ないと思うヨ?

彼女の気の弱さを不安視する者も居るようだが。
それは彼女の表面だけしか見ていない者の意見だネ。

アレはアレで芯の強い女だ。
卯ノ花烈も、それを知っていたから……常に彼女を側に置いていたのだろう。

問題なのはむしろ、更木だ。

卯ノ花烈から、いや、先代の『剣八』から託されたモノ。
ソレを己のモノと出来ぬのならば、ヤツはとんだ出来損ないだ、という事になる。

失望させないで欲しいものだネ。
今後のヤツの戦いぶりを、注視しようじゃアないか?



55 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:29
>>46
【マユリはぼっちクリスマス?】


『技術開発局のメリークリスマス VOL.01』


ク リ ス マ ス だ と ?

キ ィ ィ ィ イ イ イ ー ッ ッ !!!

もうその言葉は聞きたくない!!
見て解らないのか!
私は忙しんだヨ!

何がそんなに忙しいのか、だと?

五月蝿い!
説明している時間はないのだヨ!

そこに置いてある業務日報を読み給えヨ!
そうすれば君にも状況が理解できるだろう!



【技術開発局業務日報】

〇12月18日
記録者:眠八ごう

今日は、くちき隊長のお家へ行きました。
女性死神きょうかいのかいごうをしてきました。

クリスマスかいをやることになりました。
八ごうがいい子にしていれば、サンタさんが、おかしやおもちゃをくれるそうです。

これから八ごうはがんばっていい子にします。



〇12月19日
記録者:阿近

本日は朝から、涅隊長ブチ切れていて参った。
何でも、眠八號が開口一番、「サンタさんの正体は、マユリ様なのですか?」と言ったらしい。

子供の夢を壊すとは何事か!
犯人が誰か確かめてこい!とオレに言うんだが。
隊長も分かっちゃいねえな。

「こういうとき」の女どもの結束が、どれだけ固いか。
そりゃあもう、オリハルコンなんか目じゃねえぜ。

それでも隊長命令には違いねえから、伊勢副隊長に聞いてみたんだが……
当然、教えてくれるわけが無かった。

逆に、話を逸らすためかどうか知らねえが、男性死神協会がいかに役立たずか、痛烈に批判した上で、
来期予算の40%カットを通告されちまう始末だ。

畜生。射場さんになんて言うべきか。



56 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:31
『技術開発局のメリークリスマス VOL.02』

【技術開発局業務日報】


〇12月20日
記録者:久南ニコ

16時30分。
もう少しで仕事が終わるというところで、「とーう!」という掛け声とともに、入り口のドアが破られた。
局中大騒ぎになったが、スーパー霊子セラミックの4重複合装甲をぶち破って侵入したのは虚ではなかった。
現れたのは、九番隊のスーパー副隊長、久南白――お姉ちゃんだ。

お姉ちゃんは、今日も世界の平和を守るため、悪の秘密結社である技術開発局を破壊に来たのだ!と言った。

――ああ、そういえば。
今日は隊首会だったなあ。
六車隊長も檜佐木副隊長も居ないから、ヒマだったんだね、お姉ちゃん。

でもね?
隊首会ということは、悪の親玉である涅隊長もここには居ないのよ?
それを聞いたお姉ちゃんが、もの凄く悲しい顔をしたので、涅隊長が疑似亜空間に隠しておいた『清乃』のいちご大福をあげた。

本日の技術開発局の被害は以下の通り。
〇 入り口のドア
〇 涅隊長秘蔵のいちご大福
〇 負傷者1名(鵯州:全身複雑骨折及び内臓破裂)



〇12月21日
記録者:采絵

霊波計測研究所の鵯州科長が入院したらしいので、非番のアタシが代わりを務めることになりました。
……私の貴重な休日を奪った罪は重くってよ?鵯州サン?

でも、霊波の監視の仕事って、悪くないかも。
だって、現世のてれびが見放題なのよ?
スカパーもWOWOWもネットフリックスも好きなだけ見られるわ。

で、見つけたの!
コン・ユっていう俳優さん!
素敵だわぁ。

何十年後か分からないけど、もし死んだら真っ先に捕獲しなきゃ。
こんど隊長に、おっぱいがもっともっと伸びるように改造してくださいって言うわ。

本日、研究素材獲得予定リストへ追加した ?ひ?と?
〇 コン・ユ
〇 大沢たかお
〇 イ・ジュンギ
〇 ザック・エフロン


57 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:33

『技術開発局のメリークリスマス VOL.03』

【技術開発局業務日報】


〇12月22日
記録者:壺府リン

朝から涅隊長に怒られてしまいました。
とても怖かったです。
涅隊長が楽しみにしまっておいた『清乃』の大福が無くなったんですって。
ボクは何も知らないのに。

『清乃』の大福はすごく美味しくて有名だけれど、苺入り大福は期間限定の商品だったそうです。
隊長が、アレは何時間も並んで他に入れたモノなんだって、涙ながらに言うので、
「え?隊長って、そんな時間があったんですか?」って言ったら、もっと怒られました。
すごく怖かったです。

本日、涅隊長に没収されたお菓子
 〇 明治 きのこの山 復刻版
 〇 江崎グリコ クリームコロン
 〇 ブルボン シルベーヌ
 〇 やおきん うまい棒 めんたい味


〇12月23日
記録者:鵯州

今日から職場復帰した。
全身複雑骨折と内臓破裂から3日で復帰できるなんて、ブラックな(訂正)、素敵な職場だと思う。
俺は幸せだ。ああ、幸せだ。
疑いの余地なんて1ミリも存在しねえ。

リハビリも兼ねて、休憩時間に散歩した。行先は七番隊舎だ。
ここには犬の五郎が居る。元は狛村隊長が飼っていた犬で、今は射場隊長が世話をしている。

五郎の頭をなでながら、ジャーキーをやる。
ときどきこうやって五郎に会うのが、俺の気分転換の方法なんだ。

なあ五郎――と、いかに職場がブラックであるかを話そうとしたとき、
犬小屋の裏から人の気配を感じたので、視線を転じるとそこには……

ウチの阿近、浮竹隊長、射場隊長、檜佐木副隊長、大前田副隊長に加えて……
伊江村……なんだっけ?
七番隊副隊長だったのがクビになって、四番隊に左遷されたんだっけ?

まあいいや。
とにかく結構なエライさんが、グラサンかけて腹巻巻いて、ウンコ座りをしていたんだ。
犬小屋の裏で何やってんだ、こいつら(訂正)この方達は。

だが、どうやら俺は、見ちゃいけねえもんを見ちまったらしい。
たちまち全員が激高して俺を取り囲み、よってたかって暴行を加えて来た。
きっとアレだ。やべぇ薬の取引とかしてたに違いねえ。
世間の闇ってヤツを見ちまった気分だぜ。

本日の負傷箇所
 〇 頸椎骨折
 〇 腰椎挫傷
 〇 腸骨粉砕
 〇 腓骨骨折



58 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:36

『技術開発局のメリークリスマス VOL.04』

【技術開発局業務日報】


〇12月24日
記録者:眠八ごう

今日も、ひよすさんがいませんでした。
にゅういんしているそうです。
さびしいので、ひよすさんの机にしゃしんとお花をかざってあげました。
そのあとはマユリ様とお仕事をしました。

マユリ様に、クリスマスプレゼントは何をくれるのですかと聞きました。
そうしたら、とにかく今日ははやく寝ろと言われました。
いい子のところにしかサンタは来ないのだと言われました。

サンタさんはマユリ様なのに、ふしぎなことをおっしゃいます。
でも今日ははやく寝て、良い子にします。


〇12月25日
記録者:阿近

今日はクリスマスだな。
瀞霊廷中お祭り騒ぎになっているが、ウチの技術開発局も同じだ。
皆、サンタからプレゼントをもらったとはしゃいでいる。

俺も朝起きたら、枕元に綺麗にラッピングされた箱が置かれていた。
開けてみると、麻雀牌のセットだった……んだが。
たぶんこれ……象牙、というか、マンモスの牙製じゃねえのか?
どこから手に入れたんだ、こんなモン。

勤勉なサンタは、局員全員の枕元にプレゼントを配っていったらしい。
いや、配ったっていうより、転送蟲を送り込み、胎から吐き出させてたんだが……。

リンには、クリスマスブーツのお菓子の詰め合わせ。
ニコには、コンタクトレンズ。
采絵さんには、シャネルの香水。
鵯州は……気の毒に。入院中だから貰い損ねたな。

つーか、今日もヤツの机には、菊と百合と遺影が飾られていた。
いつもの事だから、別にいいんだけどよ。

にしても、現世の品々はどうやって手に入れたんだ?
まさか浦原さんに頭を下げたのか?

――イヤ、それはあり得ねえ。

とすると……矢動丸隊長のYDM出版……しかないな。
どんだけぼったくられたんだ?
隊長が、イヤ、サンタが気の毒になってくるぜ。

まあいずれにせよ。
今日の業務は午前で終了らしい。

隊長はまだやることがあるみてえだがな。

ああ、そうそう。
眠八號は、赤い髪留めを貰ってた。
シンプルなんだが、血の色みたいに真紅な髪留めでな。眠七號が使ってたヤツなんだよ。
八號はそんな事は知らねえ筈なんだが、長年の探し物が見つかったみてえな喜びようだったぜ。

良かったな、みんな。
メリー・クリスマス、って言っておくぜ。


59 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:53
『技術開発局のメリークリスマス VOL.05』

>>50
【死神がクリスマス祝うのおかしいが
凄い祝い方しそう】

凄い祝い方?
ソレは嫌みで言っているのかネ?

自分たちのルーツも歴史も忘れ、現世のバカどもに迎合し、南蛮の祭りにウツツを抜かす!
そんな奴らは、バカ面を晒して、惚けていれば良いのだヨ!

だが、そのイベントを開催するために、涙を流している者も居るのだ!
その労苦も知らずに居る者共を、私は決して許さん!!

……あのとき。

女性死神協会が、瀞霊廷でもクリスマスのイベントを大々的にやろう!などと発案してきたとき、
イヤな予感しかしなかったヨ。

まず、その開催準備からして波乱だらけだった。

大きなクリスマスツリーを飾ろうということで。
樹齢一万年、高さ60mを超えるモミの木を、狛村左陣が卍解し、黒縄天譴明王を使って運んで来たのだが。

更木のバカが対抗心を燃やしてネ。
もっとデカい木を持ってきてやると豪語したのだ。

で、結局、樹齢100万年のご神木『霊王の樹』を引き抜いてきてしまったのだ。
四十六室が十一番隊の討伐を命じるなど、それはもう、大騒ぎだったのだヨ。

あと、この日は是非ともホワイトクリスマスにしたい、という事で。
女性死神協会が日番谷冬獅郎に雪を降らすよう要請をしたのだが。
瀞霊廷の一部ならともかく、ほぼ全域となると、大紅蓮氷輪丸を持ってしても力が足りないのだヨ。

……だが。
実は、日番谷が「老ける」ほどの負荷を掛ければ可能らしい。

それを聞いた女性死神どもが狂喜してネ。
当初の目的を忘れ、「老けた日番谷隊長」見たさに卍解をしてくれという、本末転倒な要請するという流れになった。

そうしたら、あのガキも、意地になって拒否してネ。
要するにヘソを曲げてしまったワケだヨ。

おかげで雪を降らす役目が私に回って来たという訳だヨ。

マッタク!
迷惑な話だヨ!
このクソ忙しい時に!



60 名前:涅マユリ ◆SantaxOE 投稿日:2022/12/25(Sun) 22:54
『技術開発局のメリークリスマス VOL.06』


しかも、各種イベントが終了してから降らすはずだったのに……
そのイベントが予定通りに進まんのだ!

三番隊隊長、鳳橋楼十郎主催のコンサートは、2時間の予定が15分で終了。
理由は、ヴィジュアル系バンドを結成したものの、ボーカルが八番隊第三席の円乗寺辰房だったため……

「顔がザコっぽい」という理由で大ブーイング。

それから、十一番隊主催の格闘イベント『ザ・下剋上』
九番隊隊長の六車拳西と副隊長の檜佐木修兵のガチバトル!と銘打っていたのだが……
開始15秒、六車の右ストレートに檜佐木が轟沈。

……マア、これは予定通りだったネ。

次は、五番隊隊長の平子真子対謎のマスクマン『ザ・グレート・SARUGAKI』の一戦。
これは逆に60分目一杯のケンカ……というより、ほとんどド付き漫才だったネ。
最後は平子が救護室送りになって終了。

その他、セクハラの罪で補導される某八番隊隊長とか、酔って暴れる某三番隊副隊長を捕えたりとか。
リアルに「隠密機動・刑軍24時」の状況に陥ったり。

悪夢のようなイベントだヨ。
もう二度とやりたくないネ、私は。

サテ、とはいえもうこんな時間だ。
そろそろ締め括りと行こうではないかネ?

……ポチっとナ。



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..i   |    O (´・ω・`)  |O  |o @::| 。0ニニ二ニ|ミ田田彡|ニニ二ニ|   。   ○
ノ、.......,iー. __(_    _).. |..||  |$::::::::| | |二ニニ二ニニニ二ニニニ|`ー-、.,_.................................
     ,._,,,.,.,._.。--ー―'''''^"´,。=ー'^"´ ̄ ̄ ̄o ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_,.。-ー'''^         ,.。-ー'^"´         o         o
             _,.-'"        ..    ...           ..      ○
           /   ....  O    ....          ⌒

メリークリスマス!
皆にとって良い日とならんことを!



61 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/25(Sun) 23:23
予想より凄い祝い方だった!圧倒された…

62 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/25(Sun) 23:26
鏡花水月に掛かったらマユリでも破れない?

63 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/26(Mon) 23:42
今年最後は一時間スペシャルとは
アニメ本編も豪華だな

64 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/12/28(Wed) 23:20
剣八が最強の死神の称号と言うが
初代護廷十三隊の時点で卯ノ花より山翁のが強いし
罪人の藍染や護廷十三隊じゃない一護省いても
更木より山翁や京楽が剣八なんじゃない?

65 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/01(Sun) 22:43
あけましておめでとうございます!今年の豊富は何ですか?

66 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:29

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”
―Memory 666A―

『はじめてのてがみ』

その1――


アァ……
痛イ……痛いネ

痛く痛くて……

頭 が 蕩 け て し ま い そ う だ ヨ ! ! 

だからコレは涙ではない!
この目から溢れているのは、私の脳汁だヨ!

>>61
【予想より凄い祝い方だった!圧倒された…】

圧倒されたはコッチだヨ!

存亡の危機に立たされた男性死神協会が「年越しイベント」を主催するからと。
どうか参加してくれと阿近に泣きつかれて。

目に入れても痛くない可愛い部下の頼みだから、と参加してみれば、
「笑ってはいけない瀞霊廷24時」に出演させられて……!


24時間、ひたすら尻をシバかれ続けたのだヨ!


827回もネ!
痛すぎて涙が……ア、イヤ、脳汁が止まらん!

単なる座興と侮ったのがいけなかったネ……。
まず、『ケツ叩き隊の面子』が尋常ではなかった。

・浮竹十四郎(第十三番隊隊長
・射場鉄左衛門(七番隊隊長
・大前田希千代(二番隊副隊長
・吉良イヅル(三番隊副隊長
・檜佐木修兵(九番隊副長

……圧倒されたヨ。

まさか、隊長格が『ケツバット隊』なぞという道化をやるなどと。
男性死神協会のあまりの捨て身ぶりに、ドン引きしたヨ。

だが、奴らのケツバットは凶器そのもの。
その一発一発に、並みの人間なら30人は殺せるくらいの威力があるのだ。

しかも、吉良イヅルに至っては、あの鉄面皮を喜色で一杯にして殴ってくるのだヨ!

屍人として蘇らせてやった恩人に向かって……何という振る舞いをするのか!
理解しかねるヨ!

イヤ、まだそこまでならばまだ我慢できた。
最悪だったのは、机の引き出しを調べさせられて……
妙なディスクを見つけたときだネ。

再生してみれば、眠八號が、私宛の手紙を朗読しているではないか……。



. 。 o O 



67 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:30

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”
―Memory 666B―

『はじめてのてがみ』

その2――


. 。 o O 

マユリさまへ。

いつもおしごとをがんばっているマユリさま。
もっと、あそんでほしいと思うけど、いっしょにさんぽしてくれたり、
カエルのかいぼうをしてくれたりしたときは、とても楽しかったです。

はらっぱで見つけた、大きなイモムシ。
虫かごに入れて何日かしたら、さなぎになっててびっくりしました。

そのまま動かなくなって、死んじゃったかと思ったけど、
ある日の朝、キレイなアゲハチョウになっていました。

チョウを外へはなしてあげよう、とマユリさまがおっしゃったとき、
八ごうは、さみしいからイヤだったけど、アゲハチョウは元気にとんでいきました。

チョウが、お空でくるっとまわったのを見たとき、
ありがとう、と言ってるように見えました。

八ごうは、チョウをはなしてよかったと思いました。

マユリさまは、これがせいちょうだよ、とおっしゃいました。
よくわからなかったけれど、そのときのマユリさまの顔が、八ごうはすきです。

これからも、マユリさまのあの顔が見れたらいいなと思います。

じゅうにばんたい
ぎじゅつかいはつきょく

眠八ごうより


ついしん

マユリさまは……


た い き っ く 



……


……


……


……で。
出てきたのが、タイ王国ともムエタイともまったく無縁であるはずの……


更 木 剣 八 

眼帯を外して、ニィ、と笑ったヤツの姿は……
地獄の獄吏も裸足で逃げ出すような、理不尽な暴力がそのまま人のカタチとなったような……

そんな姿だったヨ……。

奴のキックで私の尻肉はキレイにえぐり取られ。
撮影所のある瀞霊廷西端の白道門から飛びに飛び……

東端の青流門の付近で発見されたと言う。

私も、内臓や骨のスペアは幾つも用意しているが……
流石に、尻のスペアまでは用意していなかったヨ……。

ところで、阿近?
あの企画、ちゃんと視聴率が取れたんだろうネ?

私の尻肉を500キロメートル以上も吹っ飛ばしておいて、低視聴率だったなどとは……

何?
放送以前に、スポンサーが集まらず、放映枠が買えなかった、だと?

どれだけ役立たずなのだ、男性死神協会は!!

……解った。
来年の男性死神協会の予算は50%カットとするよう、総隊長へ進言させてもらうヨ。

よもや文句はあるまいな?



68 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:35
檜佐木修兵編集長!
またページが足りないのかネ!?

今回原稿を落としたのは……京楽春水か!

まだ留置場から出てこないのか!
チカンとは言え、前科が多すぎるんだヨ!アイツは!

ええい、分かったヨ。
では、今回も書いてやるとしよう。

原稿料は弾んでもらうヨ?


――月刊『瀞霊廷通信』第7368号掲載。
『第852回 脳にキく薬 増量版』――

その1――

>>62
【鏡花水月に掛かったらマユリでも破れない?】

今回は、現世で死んで、流魂街へ来たばかりの読者……
浅野啓吾くんからの質問への回答だヨ。

現世に住む者でないと分かりづらい単語も出てくるかもしれないが、
そこは各自、コックリさんにでも繰繰(ググ)ってくれ給え。

藍染惣右介の斬魄刀、『鏡花水月』は『完全催眠』の能力を持つ、と。
その力自体は素晴らしいが。
何事もタネが分かってしまえば、対処は可能なのだヨ。

例えば……

我々は、光学センサーである眼球から得られた情報を、電気信号に変換し、
神経を通して脳に送り込み、脳がそれを映像に「変換」しているのだが。

実は脳は、見えた物を素直に変換し、認識しているわけではない。
過去の経験や知識に基づいて「それらしいモノ」を「当てはめて」認識しているのだヨ。

たとえば。
君の顔面に向かって、大谷翔平が165km/hのフォーシームを投じたとしよう?

しかし、君の目……
光学レンズに映っているのは、ただの「白い丸」であるに過ぎない。

ソレが自分の生命を脅かす危険なモノだと「判断」するためには、
「白い丸が見えた」というだけでは不足なのだヨ。

脳は、その「白い丸」に加え、過去の経験や知識、および前後の状況から、
「大谷翔平が自分に投げつけたボールが飛んできているハズ」という想定をする。

その「想定と合致する白い丸」が見えたことで……
脳は「納得」し、「この白い丸は、大谷翔平が投げたボールだ」と認識をするのだ。

このように、見えた物に、さまざまな情報を組み合わせて、脳は「自らが納得した認識」をしている。
だが、この「納得した認識」と、それを得るために「組み合わせる情報」というヤツが曲者なのだヨ。

情報が足りていれば良いヨ?
あるいは、収集した情報や過去の知識に、何も矛盾がなければ問題はない。

では……

その情報が不足していたら?
あるいは、その情報の内容に矛盾があったとしたら?

脳はどうすると思うかネ?


そういう時、脳は……
「真実」よりも「自分の納得できる説明」を優先してしまうのだヨ。
つまり、「納得したいがため」に、「在りもしないモノ」を「勝手に」産み出す事も厭わないのだ。

極端なことを言えば、赤子が君に向かって165km/hのボールを投げてきたとする。
しかし、君の脳はソレを納得できない。
そんな事があるハズがない、と考える。

その結果……

そこに居ないはずの、大谷翔平の幻影を作り出し。
自分は大谷翔平にボールを投げつけられた、と「認識」し、「記憶」するのだヨ。

馬鹿な事を、と思うかもしれないが。
実際に、そういう事は起こり得るのだヨ。

しかもそれを「無意識に」行うのだヨ?
厄介だとは思わないかネ?

それぐらいに、脳と言うヤツは、「いい加減」な仕事をするのサ。

鏡花水月は、そういう脳の「いい加減さ」に付け入った斬魄刀、というわけだヨ。



69 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:39

――月刊『瀞霊廷通信』第7368号掲載。
『第852回 脳にキく薬 増量版』――

その2――


サテ。
ならばどう戦うか?

例えば、だが。
眼球を人工物に置き換えてみてはどうだろう?

あるいは目から得た電気信号の、映像への変換作業を脳にさせるのではなく……
「純粋な光学情報」を外部に接続した霊子コンピュータAへ転送する。

その「純粋な光学情報」を、下手な知識や経験に頼ることなく、
そのままの情報で、シンプルに「純粋な映像化」を行う。

それを受けた霊子コンピュータBは、自らのメモリに蓄積した「知識や経験」から、
「それに該当しそうな候補となる情報」を1000万個ほどピックアップする。

それらの情報を霊子コンピュータCが収集し統合、分析をし……
「それが何であるか」の「判定と認識」をする。

その「認識」が出来てから、私の脳へ転送する――
そういう方法を取るのだとすれば?

鏡花水月は、私とは離れた場所に隔離された、それぞれ独立した霊子コンピュータ達へ
何らかの作用を及ぼせるのだろうか?

もちろん、眼球だけではない。
耳も、鼻も、口も。
あるいは皮膚に張り巡らせた感覚神経でさえも。
すべて人工物に置き換える「改造」をしていたとすれば?

それでも、私は騙されるのだろうか?

君が、テレビやYoutubeで見ている映像のように。
私が「見る」のは、私の前に立つ藍染惣右介を映し出した「デジタル信号が作り出した映像」だヨ。

そこには、私自身の脳ミソによる「下手な判断」や、
「情報が不足・矛盾した場合の、身勝手な補完作業」は、一切存在しない。

もっと言ってみれば……
君が、『バイオ・ハザード』をプレイしていたとする。

背後から迫るゾンビに、『アリス』は気づいていない。
しかし、プレイヤーである君は、『アリス』の危機に気付き、彼女に最適な行動を命じるだろう?

そういう戦い方をすれば、問題は無いのではないかネ?
マア、これは仮説に過ぎんがネ。

要するに。
戦いにおいて、何より重要なのは、相手の情報を知る事なのだヨ。
情報戦を制する者が、戦いを制するのだ。

だが……仮に、『鏡花水月』を無力化できたとしても。
藍染惣右介が敵として、手強い相手であることに変わりはない。

ヤツの手ごわさは、その智略にあると私は考えている。
あれほどの奸計を、眉ひとつ動かさず、湯水の如く産み出すとは、ネ……。

浦原喜助と意地の悪さでは良い勝負だヨ。
善意を細胞膜で包むことで出来上がっている私などには、到底理解できんヨ。

君も、悪人に騙されないよう、十分に気を付け給え。
希望するなら格安で、君の五感を人工物へ【改造】してやるヨ?


……と、こんなところだネ。
これで良いかネ?
檜佐木修兵編集長。

何?
この質問者……浅野啓吾はもう流魂街には居ない?

『正義の味方・カラクライザー・デリケート』として活動中に、
道端で転んで頭を打って、臨死体験をして、ここへ来て……
その時、たまたま『瀞霊廷通信』を読んで、質問をして来たと?

……死んで早々、ここの生活様式に馴染み、雑誌に投稿してきたのか。
どこがデリケートなのかネ?
そこまで来ると、ただの厚かましいヤツとしか思えんヨ。


70 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:41
>>64
【剣八が最強の死神の称号と言うが
初代護廷十三隊の時点で卯ノ花より山翁のが強いし
罪人の藍染や護廷十三隊じゃない一護省いても
更木より山翁や京楽が剣八なんじゃない?】

マア、更木ごときへの評価はともかくとして。

『剣八』という称号に、そこまで深く拘る必要は無いのでないかネ?

そう、アレは称号だ。
最強という言葉も含めてネ。

現世で言うところの『横綱』や『チャンピオン』に近いモノだと思っているヨ。

実際に……
誰が最強か、を決めるのは、簡単な事ではないのだ。

勝負というのは、その時の環境や、運に大きく左右されるモノだ。
だから、常に強い者が勝つとは限らない。

実際、現世の『横綱』でも、勝率は良くて80-90%程度だヨ。

最高勝率記録は「雷電 爲右エ門」の254勝10敗、勝率96%だったかネ?
それでも真剣勝負なら、10回は死んでいるという事になる。

最多連勝記録で見ても、「双葉山」の69連勝が最高だ。
彼を破った「安芸ノ海」の当時の番付は、前頭3枚目だった。
大関でも関脇でも無い者に、『最強横綱』の双葉山は屈したワケだ。

プロ野球チームならどうかネ?
優勝チームの勝率は6割前後。
つまり、優勝チームでも、弱小チーム相手に40%程度は負けているワケだヨ。

だからこそ、だ。
勝負という物はオモシロイ。

身体の小さい者、力の弱い者が、知恵と工夫と努力で、強者を倒す。
それが勝負事の面白さだろう?

逆に……
常に、必ず、強いヤツが勝つのであれば、面白くもなんともないじゃアないか。
そうだろう?

十一番隊の連中が、なぜアレほど勝負に拘ると思うかネ?

ヤツらだって、全員が強者ではない。
更木や班目ならばともかく、無官のヤツの戦闘力はタカが知れているヨ。

にも関わらず、最弱の隊員でさえ勝負をしたがる。
戦いたがる。
それは何故か?

それは……
ヤツらは、そういう「勝負の面白さ」を知っているからだヨ。

だから……
君の言う、山本のクソジジイや卯ノ花が、更木より強いか、弱いか?

そんな事は、大して意味のある問題ではないのだヨ。

常に、100%勝てるほどの、隔絶した力の差が無い限り……
誰が勝つかは、戦ってみなければ分からない。

だが、分からないからこそ、面白い。
だから、戦いたい。

それをよく知り、その勝利の可能性に、己を、全てを賭けて戦う……
そういう戦いが出来るのならば、死んでも構わない。

そういう連中の頂点が……

『剣八』なのだ。

私は、そう思っているヨ。
『剣八』に対する認識としては、それで十分なのではないかネ?


71 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:44
>>63
【今年最後は一時間スペシャルとは
アニメ本編も豪華だな】


――ボク、濡れちゃったなァ
   死神相手はラクでいいんだ
    サクっとゾンビになってくれるからね――


……ナルホドナルホド。
敵をゾンビにする能力か。
コレはまた実に興味深いネ?


――まぶしくてあんま見えないんだけど
    あんた誰?――


ククク……
偉大な相手と言うのは……

輝 い て 見 え る も の だ ヨ !!


「はーい、カットぉ!!」

……エ?
もう終わりかネ、阿近?

「はい、局長のシーンはこれで終わりです。
もう撮れ高十分なんで。
よーし、みんな!撮影終了だ!」
 
「はーい!」
「いやー、今日の仕事終わったー!」
「さっさと片付けようぜー」

オイ、お前たち!
私を置いてサッサと帰ろうとするんじゃないヨ!

「あー、ちなみに。
局長の次の登場シーンの撮影は……半年以上先っすね。」

半年以上!?
夏じゃないか!
この「光る服」は、地味に発光部分が熱を持つから暑いんだヨ?
夏にこんな格好をしたら死んでしまうヨ!

「だから言ったじゃないっすか。
白熱球で作るんじゃなくて、LEDにしましょうよって。
 それを局長が、予算をケチったのがいけないんすよ?」

ぐ、ぐぬぅゥゥ……
これから私がバッタバッタと敵をなぎ倒すシーンがあるというのに!
それを後回しにするとはなんと酷薄な!!

ン?
いや、そうか。
『真の主役は遅れてやってくる』というからネ!

私の登場を渇望する視聴者達を、ギリギリまで焦らそうという作戦だネ?
そういう事だろう?阿近?

「おいお前ら、いつまでもチンタラしてんじゃねえ!
とっとと帰らねえと置いてくぞー!」
「おーう!寒みー寒みー、早く帰ろうぜー」

「お疲れさまでしたー!ジジさーん!」
「ジジさん、暖かいココアをどうぞ!」
「ありがとー!ニコ!リン!
 ねーねー、このあとカフェ行こうよ!」
「いいですねー!行きましょう!」

「阿近、俺たちも一杯引っかけて行かねーか?」
「いいな、熱燗をきゅーっと行くか?」
「おう!行こうぜ!」

あの……皆さん?
おーい?

……。

……眠八號。
これもアレだろう?
性悪な浦原喜助の、企みなのだろう?

「絶対に違うと思います!!マユリさま!!」

……声が大き過ぎるヨ。
全くお前は。
どうしてそうなってしまったのかネ……。



72 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/02(Mon) 19:47
>>65
【あけましておめでとうございます!今年の豊富は何ですか?】

ウム、明けましておめでとう、と言いたいところだが。
新年早々、布団の中から失礼するヨ。

少々ワケあって、尻肉の再建手術をすることになってネ。
つい今しがた、解剖室から出たばかりなのだヨ。

で、今年の抱負……豊富?

イヤ、気にしなくていいヨ。
どうも「この場所」との連結が最適化されていないようでネ。
私もしょっちゅう「誤字脱字」をやらかしている。
そういうのはお互いに、“見なかった事”にするのが精神衛生上は良いと思っているヨ。

サテ。
今年の抱負だネ?

それは勿論、技術開発局二代目局長 及び 護廷十三隊十二番隊隊長としては、
尸魂界の安定と、瀞霊廷の安寧のために、粉骨砕身して……


<<警報!警報!
外部よりの強制転送波を確認!
何かがワープアウトしてきます!>>

何?敵襲か!?

<<ワープアウト先は……
第十三解剖室脇の、特別病室です!>>

この病室じゃないかネ!
一体、何が来るのだ……!?


“びちゃあぁつ!”

ヒィッ!
何かが弾けて壁が真っ赤に!
イヤ……何か、血文字の、ダイイングメッセージのようなモノが浮かんで来たヨ?


『あけましておめでとうございまーす!涅隊長!
元気ですか?楽しいですか?最高ですか?特に何もないですか?』

……コ、コレは!!

『新年早々、更木隊長にお尻を吹き飛ばされて、災難でしたねー?
まあ、厄除けだと思って、諦めてくださいね♪
今年も色々あると思いますが、ここはひとつ、ヨロシクお願いしますね!』

……あの男!
相も変わらずフザけたマネを!!

『P,S,
今これを見て
「ダイイングメッセージみたい」とか
ありきたりな事を思った人は、
ツッコミの才能が無いです。』


五 月 蝿 い ん だ ヨ !

毎度毎度、同じ追伸文を付けるんじゃアない!

アレか!
在庫処分か!
いつまでもハケない不稼働在庫で、私へのアイサツをして来たのか!!

……おのれ、浦原喜助ぇェェェ!

今年こそ!!!
お前が吃驚するような発明を成し遂げて見せるッ!!

お前は今後、しがない駄菓子屋としての余生を送るがイイ!
お前にはソレがお似合いだ!!

いいかネ!名無し!
以上が今年の抱負だヨ!!

という訳で、今年もヨロシク頼むヨ!
名無しの研究素材の諸君!


73 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/02(Mon) 20:25
マユリ様は強すぎる

74 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/02(Mon) 22:07
射場の斬魄刀名知ってる?

75 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/02(Mon) 22:15
そういや現世の道化の笑ってはいけないSP無くなったのは
人気道化達が老いた事や文句言われる事増えたかららしい

76 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/05(Thu) 00:13
最近ようやくBLEACH映画版1作目見たが
やはり尺魂街側の説明キャラとしてマユリ貴重
そして千年血戦篇で聞かなくなった
前テレビ版の緊張感有るBGM聞けて懐かしかった

77 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/06(Fri) 23:02
マユリの返レスは一レス辺りの満足感高え
長くて面白いだけでなく起承転結有り
改行や台詞も適度で読みやすい

平伏して検体ならざるを得ねえ…

78 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/08(Sun) 23:28
マユリは地獄行ったら何したい?

79 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:27
>>73
【マユリ様は強すぎる】

ホウ、そう見えるのかネ?

だが、昔はそう見えなかったようでネ。
よほど弱そうに見えたのか、チンピラからは侮られるし。

お節介なババ……いや、老婦人からは、
『あんた、今にも死にそうな顔をしているじゃないか!』と本気で心配される始末でネ。

そういえば、あのババ……婦人はどうしているだろうか?

フム。
この時間に出れば、帰路はちょうどいい頃合いになるネ。

よし、眠八號を連れて、出掛けるとしようか。



80 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:28

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”

――Memory 027A――
『青い体験』 その1


――――120年前――――


空は晴れ渡り、風も心地よい。
こういうときは、二本の足で外を歩くのも悪くはない。
だが、それはあくまで……


「おはようさん、マユリ!」

――こういうヤツに出くわす可能性が無ければ、の話だ。

「余所余所しく涅と呼べと言っているだろう。
不愉快な男だネ」

実際、こういうヤツ――
五番隊隊長・平子真子と同業者だと思われたくはない。
なぜなら……

「ウチへのアイサツはどうないしたぁ!」
「ええんですー!俺は隊長、オマエは副隊長!
だからアイサツなんか要らないんですー!」
「なんやと、このクソハゲコラァ!」

真昼間の往来のド真ん中で、猿柿ひよ里と頓痴気な騒ぎを起こす。
それも、実に下らない理由で。
こんな連中の仲間だと思われるのは、苦痛以外の何物でもない。

こんな奴らは放っておいて、さっさと技術開発局へ戻ろう。
歩き出した私だったが、初老の女がこちらへ近づいてくるのに気付いた。

いや……
気づいてしまった。

その女は、護廷十三隊、三番隊の副隊長――

射場千鉄だった。



81 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:29

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”

――Memory 027B――
『青い体験』 その2


射場千鉄は、髪を勝山髷に結い上げていた。
死覇装を幅広の真紅の帯で締め、隙なく着込んでいる。

元より勝山髷とは、左右の出っ張りの大きい、いかにも武家の女が好みそうな結い方なのだが、
その下の目つきの鋭さは、むしろ戦国期の女と言った方が似合いだろう。

――現世では文明開化だのハイカラだのと言っているときに……。

悪く言えば保守的、より悪く言えば頑固そのもの、と言った気風が、
その表情にも良く表れていた。


……やれやれ。
一番厄介なタイプだ。

それは浦原喜助にとっても同様だったらしい。
気付けば、平子達はとっくに逃げ去っている。

ここには自分たちしか居ない。
意を決した浦原は、表情だけでなく、声まで引きつらせながら、その女にアイサツをした。

「こ、こ、こんにちはー。
今日もいい天気っスねえ、射場さん」

射場千鉄は、冷ややかな目で私達を見まわした後、呆れたように言った。

「まったく!アンタら!
 ちゃんと飯を食うてんのかい!
 ひよ里は相変わらず、こまいままじゃし……
そっちの青白いの!
あんた、今にも死にそうな顔をしているじゃないか!」

いきなり人の顔を見て、死にそう、とは。

『こまい』と言われた猿柿ひよ里が何か言っているようだったが、
もはや私の耳には入ってこなかった。

「これは血色が悪いのではない!
化粧、今風で言うなら『めいくあっぷ』だヨ!」

「こんカバチタレが!
傾奇者にでもなったつもりかい!
 そがいな事じゃけえ、ロクでもない事ばかり考える、やくざ者みたいになるんじゃ!」

やくざ者?
一番言われたくないヤツに言われて、流石に言葉を失う。

私が『やくざ者』なら、お前の息子は何なのだ。
後ろで、浦原と猿柿が笑いを堪えているのが分かるだけに、余計に腹が立つ。

「ほら、浦原さんもひよ里も、一緒に来んさい!
飯に連れってってやるけえ!」

そうして私達3人は、あっという間に小料理屋に連れ込まれたのだった。



82 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:31

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”

――Memory 027C――
『青い体験』 その3


そこは『竹葉亭』という看板を掛けた、崩れかけの小さな料理屋だった。
射場千鉄は、店の奉公人に一声かけて、どんどんと店の奥に入る。

粗末な衝立で仕切られただけの座敷に上がり、座布団に座るや女将を呼びつけ、
私達の意志など関係なく、とっと注文を済ませてしまった。

「浦原隊長。
アンタも隊長になって10年じゃろ?」

「9年っス」

「あん?何だって?
あたしゃ最近耳が遠くてねえ?」

「あはは、イヤだなあ。
 10年っスよぉ」

危うく絞殺されかかった浦原の喉元から手を放した射場千鉄は、
私と猿柿ひよ里を指さして言う。

「隊長たるもの、部下にひもじい思いをさせちゃいけんよ!」

この女は、私達を戦災孤児か何かだと思っているのだろうか。
猿柿ひよ里が、ふくれっ面でそっぽを向いてしまったので、
彼女の口撃は、私と浦原に集中する事となった。

「特にこれ!この男!
 目えが死んどる!
 この無気力ぶり、ウチの隊長とええ勝負じゃ!」

三番隊隊長の鳳橋楼十郎が、ノイローゼになっているという噂を聞いた事があったが。
私はその噂が真実である事を確信した。

彼女の指弾はその後も続くかと思われたとき……
救世主が現れた。

「はいはい。皆さん。
 旬のサンマが焼きあがりましたよ」

女将の声で、射場千鉄の攻撃が止んだ。

後に浦原は、あのときの女将は天女に見えた、と言ったが。
これは、私と浦原の見解が一致した、ただ二つの例のうちの一つである。

そして……

「――!!」

「これは!」

私と浦原は、顔を見合わせた。

「美味いっスね!」
「美味いネ!」

私と浦原の見解が一致した、ただ二つの例のうちのもう一つ。
それが、この時のサンマの美味さだった。

「ほら、ね。
旬のサンマには、人に元気を与える力があるのさ。
あんたたち、良い顔になったよ!」

射場千鉄は笑った。
こうして彼女は、私にとって、サンマの美味さを体験させてくれた『恩人』となったのだった。



83 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:33

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”

『青い(魚の)体験』 その4


――――現在――――


「そして今は……
貴方の方が、よほど悪い顔色をしているじゃアないか?」


私と眠八號の前で、射場千鉄は眠っていた。
射場千鉄が答えるはずはないのだが、それでも私は声を掛け続けた。

「私や浦原に、偉そうに説教しておきながら、なんというザマだ。
病魔ごときにやられて黙っているのが、射場家の女というモノなのかネ?」

私の言葉は、聞く者によっては、怒り出す類の物だったのかもしれない。
実際、阿近はそれを気にしたのか、横に控えた射場鉄左衛門を見た。

だが、射場鉄左衛門は黙っている。
そんな彼に、私は言った。

「それで?
 真央施薬院への転院の許可は下りたのだろう?
なのにまだ駄々をこねているのかネ?」

真央施薬院とは、瀞霊廷の中心部にある貴族向けの医術院だ。
総代・山田清之助を始め、回道の達人が揃っている。

本来は、たとえ隊長格の家族と言えど、その施術を受ける事は許されないのだが……。

護廷十三隊総隊長・京楽春水と、六番隊隊長で四大貴族の朽木家当主である朽木百哉の尽力で、
彼女の受け入れが許可されていた。

しかし、当の本人が頑としてそれを拒否していたのだった。

「……フン!
大貴族どもの世話にはならんという意地かネ?
相変わらず、君の母親は頑固――」


「そんなつまらない理由じゃないよ、涅隊長」


――驚いた。
私も眠八號も、阿近も、咄嗟に言葉が出ない。

「お袋!!」

射場鉄左衛門が前のめりになって叫ぶ。

射場千鉄が、目を開いていた。


84 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:35

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”

『青い(魚の)体験』 その5


「どんな理由があろうと。
射場の女が、家を留守にするわけにはいかないだろう」

「ワシがおるけえ、安心せえ!」

「馬鹿。あんたは七番隊の隊長じゃろ?
 隊員さん達の事だけを考えんさい」

「分かっちょる!
 分かっちょるが!」

「あんたにはあんたの役目。
ウチにはウチの役目がある。
それを通すのが、射場家のモンじゃろう?」

「……ぐくっ!」

射場鉄左衛門は、続く言葉を無理やり飲み込んだようだった。
射場千鉄はこちらを目た。

「おやまあ。
 一段と傾いてるねえ、涅隊長」

「だから。
私は傾奇者になったつもりはないヨ?」

「フフ、まあいいさ。
 男ってのは、それぐらい突っ張っていて丁度いいんだよ。
 あらあら、八號ちゃんも、大きくなったわね。
 こっちにおいで」

彼女は眠八號の頭を撫でながら言った。

「時代は変わる。
 時代が変われば人も変わる。それでええんよ。
 今は時代はあんた達の時代なんだ。
 あんた達がしっかり生きて、次の子たちに繋いで行くんよ?」

私達は黙って聞いている。

「この子達は、あんた達の背中を見て育つ。
だから、しっかり気合入れて生きるんよ?
分かった……ね……」


「お、お袋おおお――!!」

射場千鉄は、そっと目を閉じた。




85 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:36

“THE MAD MEDICINE will make me THE KING OF MUD”

『青い(魚の)体験』 その6


「んがぁー すぴぃー」


「……寝てるネ」

「……寝とり、ますね」

射場鉄左衛門は大きく息を吐き出した。
サングラスをしていても、顔中に安堵の色が広がっているのが分かる。

「ところで、いつも言っているのだが。
 いっその事、内臓も脳ミソも、人工物に置き換えてみないかネ?
 そうすれば、ほぼ永遠に生きられ……」


「 お 断 り し ま す 」


「……ああ、ええっと……」

「真顔で、しかも食い気味に断られてしまいましたね、局長」

「解説されなくても分かっているヨ、阿近?」

いささか心外だった。
が、気を取り直して言う。

「まあいい。気が変わったら、いつでも言い給えヨ。
 格安で請け負うヨ?」

「……さあさあ、五郎に噛みつかれる前に出ましょう。
 お邪魔しました、射場さん!」

「おう!阿近!
 ありがとうのう!
あの、涅隊長……」

「何だネ?」

「今日は、どうもありがとうございました!」

「……フン!
気色悪い。礼など要らんヨ。
ただ、彼女には、一飯の恩がある。
それだけの事だヨ」

あっさり改造手術を断られながら、礼を言われるというのは想定の外だった。
顔面の表皮の血流量が増えてゆくのを感じる。

だから私は、早々に射場の家を出た。

「サテ、眠八號。
 この後は、『竹葉亭』のサンマを食べに行くヨ?」

「マユリ様!
 あそこには先週も行きました!」

眠八號が不服そうに言う。

「それより八號は、七条に出来た『bills』のパンケーキが食べたいです!
あそこは『腹ペコログ』で3.8点のお店なんです!
 苺花ちゃんが、お父さんとお母さんとテリヤキマンゴー味のパンケーキを食べて!
すごく美味しかったって言ってました!」

「ヤレヤレ。
そんなモノばかり食べているから、舌も脳もバカになるんだヨ!
あの夫婦は!」

眠八號には悪いが、私はあのサンマの味を、お前に伝えなければならない。
ましてや、今日は特別な日なのだ。

その体験が、お前の血となり、肉となり……
お前の「生きる理由」を補強する力ともなるだろう。

そしてそれが、お前を前進させるのだ。
これからも。ずっと。



86 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:38

>>74
【射場の斬魄刀名知ってる?】


……オヤ?
これは珍しい。
伊江村八十千和君じゃないかネ。

だが……
チョット、何を言ってるか分からないヨ?

射場の斬魄刀の名を知りたい?
七番隊の副隊長だった君がかネ?

頓狂な事を言うもんじゃアない!
副隊長が、隊長の斬魄刀の名を知らぬ筈が……


――あるのか?

エ!?
冗談だろう!?

そんな副隊長が居るものかネ!
どれだけ信用されてな……

って、オイオイ!
いきなり泣き出すんじゃないヨ!

うわぁ、これは……
ドン引きだヨ。

七番隊をクビになったとは聞いていたが、まさかこれほどとは……

で?
悔しいから、射場に復讐をしたいと?
だが、ならば何故、斬魄刀の名を?

ホウ、ホウ?
ナルホド?

浦原喜助に、藁人形を渡されて?

その人形に、射場と、彼の斬魄刀の名を書いた紙を入れて、木に括り付け……
五寸釘を打ち込めと?


……フン!

馬鹿な事を!
君は浦原喜助に騙されているんだヨ!

そんな非科学的なやり方で、復讐など果たせるわけがないだろう!

……よろしい。
ならばこの私が正しいやり方を指南してやるヨ?

まず!
君には、このハチマキと懐中電灯を授けよう。
このハチマキを巻いたら、頭の両側に懐中電灯を1本ずつ差し込むのだ。

そして、五寸釘を打ち込むときに、こう叫ぶ。


『受けてみよ!我が恨み!
八つ墓村明神様の祟りよ、今こそ我に力を!
行くぞ!暗黒アターーック!!』


ククク……
これで君の非願成就は疑いナシだヨ。

今回は特別だ。
講師料は教材コミで、12万9800環にしておいてやるヨ?



87 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/23(Mon) 03:40

>>75
【そういや現世の道化の笑ってはいけないSP無くなったのは
人気道化達が老いた事や文句言われる事増えたかららしい】


ホウ、それは残念だネ。
あの番組は、嫌いでは無かったのだが……

……ン?
何だネ、リン!
騒々しいんだヨ、お前は!

何?
檜佐木修兵編集長が来ている?
フム、通せ。

久しぶりだネ。
檜佐木修兵編集長。
何か事件かネ?

ナニ?
根巣湖で死体が発見された?
その死体は、上下逆さまにされ、水面から両足を突き出している、と?

それは溺死かね?

……スケキヨ死?
それは死因の名称ではないだろう!

ホトケは……伊江村八十千和君、か。

で?
彼が失踪前に会っていたと思わる人物を、二番隊が捜索していて、
私の名前が上がっていると?

イヤイヤ……


私 は 何 も 知 り ま せ ん ヨ ?


私を疑うなど、無礼だろう!
さっさと帰り給え!


……ヤレヤレ。
済まなかったね、>>75

スケキヨと言えば、あの番組にも出ていたネ。
アレは笑ったヨ。

腹がよじれて、呼吸困難になって心臓が止まり……
緊急手術を受けて、腹直筋と横隔膜を交換するハメになったヨ。

板尾創路という男は、死んだら最優先でスカウトしなければならないネ。
アレは良い技術者になるだろう。

しかし、マア。
コンプライアンス、と言うのかネ?

あんな事をいちいち取り決めで禁止しなくても、事の良否を判断して行動するのが、
紳士と言うものだと思うのだがネ?

私自身、細かい取り決めをするのは好きではない。
だから、この場所を開設したときも、細々とした規則を列挙したりはしなかったのだヨ。

私は、君達を信頼しているのだ。

何故なら……
私の検体を志願する者とは、世の為に、自らの身を投げ打つと決断した者達なのだからネ。

事の善悪と公正さを正しく判断する、「オトナ」だけが集まる場所だと思っている。

とは言え、オイタの度が過ぎる者に対しては……
例えば…そう。

無麻酔で内臓をぶっこ抜いて、口に突っ込み、「人は自分の内臓を自分の内臓で消化できるのか?」
の実験台になってもらうとしようかネ?

ククク……ハハハハハッハッハァ!!

ハ……ハ?

イカン、また、笑い過ぎて、横隔膜……が?

ゼヒューッ!
ゼヒューッ!

リ、リンは……どこに行った?

おい、おおーい?

リン……リンさーん??
どこですかー??



88 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/23(Mon) 13:25
浦原もなんか怪しい機械開発してそうだよね

89 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/23(Mon) 21:43
藍染惣右介の怪しさを見破れなかったの?

90 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/24(Tue) 01:09
BLEACH映画1作目の頃は安田大サーカスは
トリオで活動していたんだな
今ではクロちゃんのゲスさばかり注目されて
団長やHEROはあまり見ない

91 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/24(Tue) 03:28
>>76
【最近ようやくBLEACH映画版1作目見たが
やはり尺魂街側の説明キャラとしてマユリ貴重
そして千年血戦篇で聞かなくなった
前テレビ版の緊張感有るBGM聞けて懐かしかった】


ホホウ。
随分と懐かしい作品を観たのだネ。

私も大分忘れていたものでネ。
先日、『浮竹十四郎コレクション・平成の名画の旅』をひっくり返して観直したヨ。

まあ、アレはフィクションだからネ。
現世へのプロモーションのために、映像庁と記録編纂室が協力して作ったモノだ。

だから、話のパターンも決まっているだろう?

・まず、正体不明の敵が現れる。
・不意を突かれて喧々諤々の議論を交わすも、有効な手を打てない護廷十三隊。
・真実を知る、もしくは真実に近しい位置に居る数人が、事態解決の為の行動を起こす。
・その邪魔立てをするのは敵ばかりではない。
 時には「無理解な」護廷十三隊も邪魔に入る。
・しかし、最後には誤解も解けて、皆で協力して敵を倒す。

大雑把に言えば、4作品ともこの流れだネ。

唯一の事情を知る人物が、周囲にロクに相談もせず、説明もせず。
勝手に一人で深刻ぶって、猪突する。
結果、余計に事態を悪化させる。

呆れたモノだヨ。
フィクションではあるが……
あの登場人物たちの愚かさだけは、実にリアルだネ。

だから、君の言う通りだヨ!
本来なら、しっかりとした説明役が必要なのだ。
この私のようにネ。

しかし……
あれらの作品で描かれたそれぞれの事件が、フィクションでよかったヨ。
アレが現実だったらと思うと、怖気がする。

もしアレが現実なら……

日番谷冬獅郎と松本乱菊は、とっくに罷免されているヨ。
劇場版第2作の暴走でネ。

あるいは、毎度のように勝手な行動をする黒崎一護に……
阿散井恋次、朽木ルキアもクビだろう。

さらには、毎度のごとく早とちりをして、味方に捕縛命令を出す山本のボケジジイは……


切 腹 が 妥 当 だ ネ


そして……
劇場版第3作で、瀞霊廷の3分の1を破壊した私は……

どうなるだろうネ?
今後100年に渡って技術開発局の予算を凍結され、極貧生活に陥るのだろうか?

イヤ、下手をすると……?


浦 原 商 店 で 下 働 き ? ?


……。

紬屋雨に身体をバラバラに分解されて。
肉団子にされて。

ソレを握菱鉄裁が投じる。

その球速は180km/h。
しかも、打者の手元で鋭く曲がるツーシーム。

だが、ソレを物ともせず。
花刈ジン太が、ボストンのグリーンモンスター超えの一発を放つ。

……ウン。
死ぬネ。
確実に。

アア……本当に、フィクションで良かったヨ。



92 名前:涅マユリ ◆kkMAYURI 投稿日:2023/01/24(Tue) 03:36
>>77
【マユリの返レスは一レス辺りの満足感高え
長くて面白いだけでなく起承転結有り
改行や台詞も適度で読みやすい
平伏して検体ならざるを得ねえ…】

何だネ!
私は今、チャーハンを作るのに忙しいんだヨ!

炒めすぎてはダメだ!
やはり高火力で、一気に作るのが一番だヨ!

あらかじめ、卵とごはんを混ぜておくなど、邪道だヨ!

炊きたてのご飯に、油の中でふわふわに焼き上げた卵に……
こうやって……包み込むようにして、炒めるのだ!

さぁ、出来た!
>>77
君も冷めないうちに食べ給え!


フム?
私のこの場所での活動を、褒めてくれるのかネ?

マア、素直に喜んでおくヨ。

……そうだネ。

本来、「こういう話」をするのは好まないのだが。
今回だけのつもりで、話をしてみようか?

私が【この場所】を見つけてから、もう16年、イヤ、17年も経った。

我々死神にとっては、大した年数ではないが。
君達、現世の人間にとっては、相当な長さだろうネ?

当初は勿論、研究の為の、ただの観察対象だったのだヨ。
しかしある時、【この場所】の中に、驚くべき部屋があるのを見つけたのだ。

そこを牽引しているのは、「隊長」と呼ばれる人物だった。

彼の返答は圧巻だった。
彼の言葉には、魂が宿っていたのだ。
ただの、無異質な文字烈に過ぎない筈なのに、ネ。

彼は、確実に、読み手の目の前に「居た」のだヨ。
そうとしか、思えなかった。

それほどに、彼の存在感は際立っていた。
アレは……本当に衝撃だったネ。

さらに、その脇を固める、二人の人物も凄腕の持ち主でネ?

一人は自分は地味だ、などと言いながらも、アレは……
天性のネタ師だったヨ。

先日、私がこの場所を開設したときに、細々としたルールを、敢えて定めなかったことは、
>>87で話したネ?

恐らくは彼も、いや、彼こそ、細かいルールなど必要としなかっただろう。
つまり、訪問者達が何を話しかけようと、空気を無視した書き込みをして来ようと……

彼ならば、すべて極上のネタへと昇華させてしまっただろう。
そういう男だったヨ。

そして、いま一人。
その隊長とネタ師を柔らかく、卵のように包み込む、天才的なバランサーが居た。

彼ら3人によって運営されたあの部屋は、【この場所】の歴史において
最高級のものだった、と思っているヨ。

その後、彼らは来なくなってしまったが。
今もその場所には、一人の少女が居る。

そこで戦う彼女の願いが何処にあるのか?
私には分かるつもりだ。

そう、彼女は守っているのだヨ。
「彼の3人」が返ってくる場所をネ。

私にとって、彼女こそ、まさに英雄。

厳しいプレッシャーがあっただろう。
大変な思いもしただろう。
その中で戦い続けた彼女だが、今ついに、一つの区切りを迎えようとしている。

素晴らしい事じゃアないか。
ここで言うのも変だが、お疲れ様、と言っておこう。

これで、「彼の3人」が帰ってくる日が現実のものとなれば……
言う事は無いのだが、ネ。

マア、私も。
状況によっては、あの場所を守るために、戦っても良いと思っている。
技術開発局長としての職務が多忙に過ぎるのが、珠にキズだがネ。

そのためにも、チャーハンをもっと上手に作れるようにならなくては、
と思っているヨ。

というわけだ、>>77

せっかく褒めてくれたのに、興が覚めるような事を言ったかもしれないが、
このチャーハンに免じて、許してくれ給え。

ああ、そうだ。
美味しかったら、グゥレイト!と、と言ってくれ給え。
あくまで、心の中でだけ、ネ。


93 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/24(Tue) 17:37
彼女にはもう少し続けて欲しかったわ

質問
マユリおすすめの戦闘がイカス死神は誰?

94 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/01/24(Tue) 19:58
卍解はチート

なので今後使用する時は罰金を支払ってもらう

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