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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ六

325 名前:水橋 パルスィ@メイド服 ◆Parseejo 投稿日:2024/02/18(Sun) 19:18
>>320-321 アーチェロ公女
姫様も過ぎ去り秋にお会いした楽師、パノッティがまたあきれ返った祭を催しまして。
ヨシュアの生誕祭と年越し<レヴェイヨン>、公現祭<エピファニア>を連続して祝うものですから大いに妖力を集めることができました。
その有り余る妖力の使い途はこうして不死者の王に連なる方を謀るため。
許せぬ、と仰せならばいつでもこの皺首差し出す覚悟にございます―――ふふ、どうやらそれは杞憂のようで。

欧州<オルパ>の方々は貴賤賢愚を問わず東方のものがお好みでいらっしゃる、東洋趣味<オリエンタリズム>とでも申しますか。
姫様は特に極東のものがお好きでいらっしゃるようですから唐土の故事に倣ってみました、一方でヴァレンタインの趣向も忘れておりませぬ。
ほほほ、それはいけません兎角人間や妖精、下級妖怪どもは噂話を好むもの、私の如き端女が姫様のお眼鏡に叶ったなどと流れては一大事
取るに足らぬ者どもが姫様の情けを頂戴しようと押し寄せるに相違ございません、もっとも首から上のみ姫様に検分賜ることへなりましょうが。

流石に盆と正月のみとは参りませんが、月に一度も帰れば大抵の用向きは果たせまする。
それに我が分身は一つきりですが、我が姿を与えた使い魔も一匹飼っております。
迷い込んだ人間を捕らえて、狼藉者を討ち取る程度はできましょう。
それに多少騒がしくなれば暇と力を持て余した鬼共が四方八方から湧いて参ります故、姫様が御憂慮あそばすまでもございませぬ。

姫様の使い魔として末席に連なることをお許し賜り恐悦至極、犬馬の労を厭いませぬ。
ええ、如何なる場でも先達の教えには従うものでございます、種族で相手を侮る者とお思いでしたら覆す振る舞いを心がけましょう。
主より禁じられたならば否やもございません、嫉妬を操る能力は封じまする。
何、嫉妬など勝手に湧いてまいりますし、皆様と交流していればなおのことでございます。

―――羽藤侍従の中へ妾が取り込まれることになりますね。
勝手ながら姫様の感情を頂戴しております、何をお思いになられたか態々申し上げるのは野暮というものでございましょう、ただ美味とだけ。
されど想い人の代わりに姫様ご自身が犠牲になってしまいました、羽藤侍従は斯様なことを気にする器では無いと存じます。
一つ申し上げますならば、いずれは甘味に代えて姫様ご自身でこの口塞がれたいものですが。

ふふふ、申し訳ございません嫉妬の妖怪故、嫉妬から出た言葉とご寛恕賜りたく存じます。
一番手間のかかる時期を飛ばし、両親と同程度の心身を持つに至ったとは妬ましい限りにて。
その在り方は妖の身とも人の身とも違えど幸い多いものとなるでしょう、重ねて妬ましい。
ご家族が千秋に渡って妬まれるよう、身命投げ打ってお仕えすることをお誓い申し上げます―――カーテシーは不慣れですが失礼は無いでしょうか。

世界の全てを歩いたわけではございませぬし、過去の百万年に比べれば昨今の一世紀は目を見張るばかり。
故に姫様と同じく学び続ける途上でございます、その中で高貴な方にお仕えできればと思った次第にて。
かつては魔女に仕え、その次は天使、そしてこの度吸血姫たるアーチェロ公女へお仕えすることが叶いました。
我が旧主は束の間に無限の嫉妬を与えて姿を眩ませた者ばかり、今度の主ばかりは永遠に逃がさぬ所存でございます。

ほほほ、姫様や羽藤侍従のような哲婦の前では隠し事ができませぬ。
二つ目の意味で用いましたが一つ目の意味も忍ばせておりました、複数の意味に気付くか気付かぬかを眺めるのも妾の悪癖にて。
姫様が賢君では無いとは謙遜が過ぎまする、そうでなければ世の大半の賢者を名乗る者どもは三千世界に身の置き場もございません。
力を持つ御方ははかなき者どもについてもいくらか憐憫を賜ることをお忘れなきように、僭越ですが言上仕ります。

――――斯様な仰せとは先程の言葉はお忘れください、姫様を侮っておりましたのは妾の側、過ちでございました。
ご友人様からの贈物は何時貰おうと何を貰おうと嬉しいもの、自らに心を砕くだけの余裕があるということですから。
友と思う相手が息災ならばそれに勝るものはございませぬ、まして遠方におわす方であれば猶のこと。
永く生きておりますとついつい上下の別を気にしてしまいます、平にご容赦を。

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