【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ六

327 名前：水橋パルスィ@メイド服 ◆Parseejo 投稿日：2024/02/18(Sun) 19:25

３　幻想郷へ来るまで
（1）　宇治の橋姫
　　　一条天皇の御代は妖怪が猛威を振るった時代の一つであり、都は貴賤を問わず鬼や物の怪を恐れていた。
　　宇治の橋姫もその一つであり、さる貴族の姫が夫の浮気に対し、嫉妬のあまり鬼へ変じて夫と妾、そして無関係な大勢を憑り殺してしまう。
　　パルスィが一条戻橋を散策していた際、宇治の橋姫退治にあたっていた頼光四天王の一、渡辺綱に人違いで右腕を落とされた。
　　謝罪と「鬼切」の名刀を受け取り、腕は治療したものの、橋姫が鬼で妖怪とされたために宇治の橋姫を恨んでいる。
（2）　星熊童子
　　　橋姫騒動は宇治の橋姫を見つけ出して封じたことで落着を見せたが、大江山を根城とする鬼の四天王もまた御悩の種であった。
　　ついに源頼光とその一族郎党、安倍晴明率いる陰陽寮、汚名返上を企図するパルスィが討伐に名乗りを挙げる。
　　手始めに頼光らが修験者に化けて攫われた姫君達の返還交渉を行うそぶりを見せて油断を誘う。
　　機は熟し、術式を完成させた陰陽師達の式神が一斉に鬼達を襲い、その間隙を埋めるように矢が雨霰と降り注いだ。

　　　それを合図に頼光らも抜刀し、不意を衝かれた鬼達は次々に深手を負う。
　　激怒した鬼の四天王達も力の限りに武者や陰陽師達へと掴みかかり、あるいは自慢の大段平で大立ち回りを繰り広げる。
　　最後は矢の尽きたパルスィが「鬼切」を引っ提げて踊り込み、鬼や土蜘蛛、天狗に河童の子供達を人質に取ったところで大将達が降伏を申し出た。
　　姫達と財物の大半を返還し、大江山の退去で許された鬼達であるがその履行を監視し続ける者が必要である、この世の終わりまで生き続ける者が。
（3）　幻想郷
　　　山を越え谷を越え時に空を越えて着いたのは西国の果てか東国の果てか、鬼とその眷属、そして枷となったパルスィが着いた郷は妖怪の楽園であった。
　　一方で力の欠如は無法を生み出す、鬼達は地上を天狗と河童に任せて自らは凶悪な妖怪と怨霊の塒と化していた地底へと乗り込んで行く。
　　閻魔王十柱が運営する彼岸の是非曲直庁は彼女らを獄卒として迎え、地獄が移転した後は跡地を彼女らの都とすることで労苦に報いた。
　　パルスィも枷であることを半ば忘れ、星熊童子や土蜘蛛と睦み合いつつ、無用の犠牲が出ないよう地底と地上を見張っている。

些か長くなりましたが、屋敷の皆様今後よしなに。

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