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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ六

706 名前:水橋 パルスィ@メイド服 ◆Parseejo 投稿日:2024/04/30(Tue) 15:56
>>429, >>475, >>481, >>485, >>506
世話をする仕事……確かに侍従長以下使用人達は主にお仕えしておりますし、主君は星空の天蓋の下全てを治められる領主でございますわ。
封建的な響きは苛斂誅求の圧制を想起させますが、戦災からの防衛、天災からの救済もまた領主の義務―――弁えぬ者も多うございましたが。
この館は地域住民にも広く開かれており、我が君は民との懇談を常にお望みで、従者一同調度品から菓子まで全霊でお輔けしております。
主も朗読の主題を選ぶことを楽しんでいるようで妬ましい限り、お客様も想像のみならず令息令嬢を伴ってお越しくださいませ。

我が主を保育士に―――くくく、お客様も人が悪い、幼子を贄へ捧げるのと大差ございませんわ。
食通どもの間で子牛や子羊は絶賛されるもの、主君もまた美食で知られておりますゆえ子どもを膳に添えれば寵を賜ることは必定
そして姫様も客人の巧言に乗せられてその気になっていらっしゃる、羽藤侍従、これは臣下としてお輔けしなくてはなりません。
かつてオスマン=トルコにあっては神の影<スルタン>であろうと手に職を付けたとか、高貴な姫様が生業を持つことも良きお考えと存じます。

当館は救護所や診療所ではありませんわお客様、更に重篤な者を連れて来られても困りますが。
さりとて主と上役が手を動かしている以上、何もしないわけにも参りますまい。
椅子と救急箱をお持ちしました、手当するには必要かと存じます。
そして羽藤侍従は菓子まで用意されるとは、時々時間を止めているのではないかと疑っておりますわ。

羽藤侍従、子どもの手当てお疲れさまでした、姫様のお世話と保護した子のことにつきましては私が引き継ぎますわ。
何分、この街の勝手には不慣れでございますので恐縮ですが羽藤侍従に買い出しをお願い申し上げます、後はお任せください。
―――行ったわね、禁血されているとはいえ血の香りを嗅いだ後で「贄の血」が近くにあっては万が一を否定できない。
買物程度新参の私が行くべきでしょうけれど、姫様を力づくで止められるのは私だけ、主の大御心へ従うことが忠臣の条件よ。

おや、いつぞや令息を担ぎこんでこられたお客様では―――今度は貴方が倒れてしまったと。
まったく、侯爵令嬢の手を文字どおり煩わせるとは失礼ですが分を弁えられるのがよろしいかと存じます、ああ妬ましい。
そして羽藤侍従もいつもながら用意周到でソツの無さが妬ましく感じられます。
まったく大丈夫たる者が情けないこと、子の相手は犬猫へ任せて私の膝でお休みくださいませ。

犬は人間の古い友、とは誰が言ったか、言い得て妙と言っておきましょう。
かつては猟犬や番犬、人の死を看取るものとして、そして今は子ども達の遊び相手を務めている。
姫様の仰る長老とは貴方のことだったのね、貴方のお陰で姫様が安堵されている、従者として私からも礼を申し上げますわ。
面倒を見る人間が此の体たらくでは春を存分に楽しめないでしょうけれど、アフラ=マズダーの深謀遠慮があっての運命よ。

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