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巫女さん

123 名前:咲宮あかり 投稿日:2007/02/25(Sun) 22:33
>118
この辺りには、こんな昔話が残っているんです。

神さまに見守られたこの地は、みんなが仲良しでした。
月と太陽のように、お互いに顔をあわせないようにしているものなどいないくらいに
山も仲良しでした……その中でも、特に仲がよい二つの山があったそうです。
その二つの山はいつも寄り添っていたので、ぴったりとくっついてしまっていました。それが何より嬉しかったんでしょうね。
その他の山々も、左右の山にくっついて、いつの間にやら連なって大きな一つの山になっていました。

神さまはその山々を見て、一つ一つの山に花を植えていきました。
輝くような、でもどこか可愛げもあるとっても素敵な花で村人達は見惚れました。
山も前よりずっと仲良しになりました。

ある日、特に仲がよかったその二つの山が、些細なことで喧嘩してしまいました。
あんなに仲がよかった山が喧嘩をしたのは、初めてみたけど、すぐに仲直りするだろう
……と、他の山は気にとめなかったのですけど
ずっと、二つの山は顔を背けたままでした。
見かねた山達は、仲を取り持とうとしたけど、聞き入れません。

「どうして喧嘩をしてしまったんだい?」
すると、二つの山は同時に答えました。
『そ(こ)いつが、神さまが僕に植えてくれた花を枯らしてしまったんだ。』

見ると、綺麗に咲いていた花が両方の山で枯れてしまっていました。
『花を枯らすことの出来る奴はくっついているお前しかいない。』
神さまが仲良くと願って、良くしようと願って植えた花が喧嘩の原因になってしまいました。
根気よく仲を取り持っていた山の花も次々と枯れてしまって
「右の奴がやった」「左の奴がやった」と……悪口をいいあうようになってしまいました。

神無月、10月が終わり……神さまが戻ってきた時には、
山達はばらばらになってしまい、それを嘆いた神さまは、ごめんなさい。
と、自嘲するように、ひっそりとこの高い丘に住まわれたそうです。

巫女舞などこの社に行事が殆ど残ってないのも、そのせいで
傍から見ると、信仰心が無いように見えますが、神さまは望んでいないみたいなのです。
神さまにもそういう気持ちがある、だからこそ私はこの神さまが好きですし、
人のことばかり考えている神さまですから、
心配掛けたら申し訳ないですので、無理はしないように仕えようと幼い時に思いました。

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