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【Fateシリーズ】質問？答えてあげても良いわよ。【聖杯戦争】

584 名前：間桐桜 ◆GD/sZsMA 投稿日：2009/04/25(Sat) 01:23

>>558
―――声がする。しわがれた老人の声。
それは姿さえ見て取れぬが、確かに存在する。いや、存在してはならない
からこそ･･･声のみぞ響くのか。
いずれにしても、自身を消し去ろうとするイレイザーの頭に幻聴の如く
響く耳障りなソレは、シニタクナイと無様にのたうちまわりつつ･･･
しかし憎らしい程、余裕に満ちたものであった。

『―――ほう、ワシを殺すと申すか並行の抹殺者。･･･まさか、お主ほど
　の存在が桜と呼ばれるこの肉の身に情を寄せた訳ではあるまい？
　なれば何故ワシの消滅を望む？･･･ワシの在り方を憎む個人的感情か？
　幾重にも連なる輪廻の中、果たす事の出来なかった栄誉への執着か？
　あるいは―――』

考え込むとも、言い淀むとも取れぬ一時の空白の果て･･･声は何かつまらぬ
結末に辿り着いたかの様に納得した。
姿カタチは如何な者とて視る事は叶わない。いや、存在しないものを捉える
事など出来よう筈もない。
しかし、それでいながら容易に･･････イレイザーの頭は老人の歯軋りしつつ
口元を歪める矛盾した表情を想像する事が出来た。　　

『―――カ、カカカ･･･成る程、抑止力か。なれば仕方あるまい。
　過去、幾たびに渡り根源への到達は世界そのものに阻まれおった。
　此度も同じ結末に導かれようと言うのか。カカ･･･何という道化じゃ！
　賽を振りなおし、次こそはと思えばまた同じ目を出しおる･･･！
　気が付きもせなんだ･･･！･･･賽を振っているつもりでいたが。
　いや、実際踊らされているのは我が身の方であったか･･･！！
　世界の手の平で輪廻という賽に踊らされ続け全てを失った結果が
　これとは･･･！クッ、カカカ、何という体たらく･･･』

辞世の句を読むかの様な潔さに反し、老人の声は生に執着する湿った笑い声
へと変わっていく。

『―――カカカ、いいだろう。やってみるがよい、星の抑止よ！
　お主の力量であれば、数秒もかかるまい。ワシの抵抗を危惧するか？
　なぁに、せいぜいこの肉が数秒ワシの身代わりとなって、苦しみその先に
　果てるのみ。滅びの要因を取り除く為とあらば小さすぎる犠牲じゃ。
　そののちであれば、ワシなどどうとでも出来よう？どうした、やるがよい？』

言葉と裏腹に、何かを腹に隠した余裕綽々の耳障りな笑い声はいつまでも
脳内に響き渡り。まるで己が消滅を逃れる事必然と言わんばかりのソレ
であった。

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