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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ弐

745 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2017/11/25(Sat) 21:50

>>743（柚葉さん）

＞でも、後輩ちゃんが新たな部長となった時は初心者の子が多かった事もあって
＞ボーカルの練習とか作曲とかきちんと指導をしていて、やっぱり良い先生だなあって思いました。

はい、普段は部員のお友達のように気さくで、時にはちょっと子供っぽかったり頼りなさげに見えたとしても、ここ一番という時に部員を助ける頼もしい顧問にして先輩になれる、
あの大事なところをちゃんと見据えた大人の態度、わたくしも尊敬のまなざしで見ておりました
むしろ、数十倍の年月を生きてまいったこの身を振り返って恥ずかしいほどでございました…

＞でも桂叔母さんは　〜
そうなのですか、叔母上様がそう仰って下さったのですか…
それはとても有難い、そしてとても勇気づけられるお言葉でございます
これまでわたくしを怖れた人間の中で、一握りとはいえわたくしの言葉に耳傾け、わたくしの為すことを見て、わたくしを信じてくれた、少なくとも信じようと努めてくれた、そのような人たちがいてくれたことを、あらためて思い出さずにはいられません
それは嵐の中の小さな灯火にも似て、わたくしが求めて進む道が誤っていないことを教えてくれた、魂の輝きでございました
今また、叔母上様のお言葉に、わたくしがこの身の内にある心を曇らせることなく、他人様に表していくこと、その大切さを教えていただくことができました
叔母上様がそれが感じられたのが、わたくしと同族の方とのお付き合いの中でのことならなおさら、わたくな人の世への望みをさらに感じずにはおれません

わたくし、あらためて決意いたしました
あの眼鏡先生にわたくしたちの顧問になっていただくこと、そのために今一度頑張って部員の勧誘に頑張って参ろうと
次の登校日に向けて、同好会の皆さまと連絡を取って勧誘のポスターの準備をするといたしましょう

（そして次の登校日の放課の後の夕方でございます）
ただ今戻りましたわ
…柚葉さん、先日仰って下さった顧問の先生のおもてなし、近々お願いすることになる、きっとそういたしますわ
はい、お約束をいただいたのですよ

…順番にお話しいたしますね
本日、ようやく新たにご入会くださった方が居て、これで計5名になりましたので、先生に顧問になっていただくようお願いに上がりました
先生は、かなりお顔を引きつらせられて
『それがね、エスペラント語同好会も、メンバーが増えて部に昇格できることになったの。
申し訳ないけれど、やっぱり二つの顧問の掛け持ちは、負担が大きいから…。』
と仰り、こちらがなんとお願いしても言を左右にされて、なんとか断ろうとする態度がありありだったのです

そうしましたら、わたくしの横合いから凛とした声が響きました
『先生にはご負担を掛けないように、わたしたちも頑張ります。
　だから、どうかわたしたちエスペラント研究部とカルミーニオさんたちの社交部の兼任、お願いします！』
声の方を見ますと、軽部様が、それは懸命な眼差しで立っていらっしゃいました
そしてさらに、
『わたしも以前はずっと、カルミーニオさんのことを怖がっていて…、彼女のことを避けていて、でも、カルミーニオさんの言葉を、態度を見ていて、だんだん怖さが無くなっていって…。』
その後、これまで柚葉さんにもお話してきました、あの方とわたくしの関わり合いを次々と、先生に訴えて…
そうしましたら、先生もとうとう
『…分かった、分かったから。引き受けるから。
あなたがそんなに言うんだから、きっと…、多分、もしかしたら…、怖く…ない、のかも…。』
そう仰って、やっと頷いてくださいました
わたくし下校の時、軽部様にお礼を申したのですが、彼女は
『わたしもカルミーニオさんに嫌な思いをさせた。
　でも、あなたがわたしのことをあきらめないでいてくれたから、わたしも先生にああ言えた…。』
と仰って下さって、わたくし思わず泣いてしまって…
　そうしたら、軽部様がわたくしの手を取ってくださって　−　初めて彼女の方から　−　そして、二人で並んで帰ってまいりました

これで先生を顧問に迎えることが出来ました
ですが、これはまだ第一歩
これから、わたくし自身の態度で以て先生の本当の信用を得なければなりません
そして、きっと先生を我が家での活動にお招きしてご覧に入れますわ
その時は、どうか…先生の籠絡、よろしくお願いいたしますね

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