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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ弐

876 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2018/01/08(Mon) 09:50

>>873（柚葉さん）

＞そしてこのお屋敷の神棚までそれはもう綺麗にする事が出来ました。
神棚まですっかり綺麗になり、門松を飾り終えて、ようやく一息つけますわね
…あら、神棚の下にいつの間にか、おかっぱの愛らしい女の子がいます…いらっしゃいますわ
自然に敬語になってしまう不思議な威厳を湛えた、紅い小袖を着たあの方は…
あら、わたくしを手招きしていらっしゃいますから、ちょっと行ってみますね

え？だっこして神棚まで届かせろ、と仰いますの？
では、失礼いたします…
あらあら、指で神棚をなぞって、得心したというように頷かれますのね
なるほど、埃が残っていないか調べられたのですか
「あの娘は実に良い仕事をしておるの。これで歳神様を迎えるわらわの顔も立つというもの。」
と？それは、恐れ入ります
では、下ろさせていただきますね
あらあら、女の子様が柚葉さんの傍に寄っていかれて…、手を伸ばされて…でも手が届きませんのね
柚葉さん、すこししゃがんでくださいますか？
この屋敷を守護してくださっている方が、頭を撫でたいとご所望なのですよ

（そして、とても有難くも微笑ましい情景を以て大掃除は終わったのでございます）

＞それでは私とお嬢様は…商店街への買い出しに参りましょう。
はい、参りましょう
柚葉さんに手袋をつけていただいて、わたくしはセーターを着て、足取りも軽やかに

こうして洋装で出かけるのも久方ぶりでございます
スカートやウィンターブーツを手入れしておいて良かったですわ
柚葉さんお手製のセーターに合わせたコーディネートが出来なくては、痛恨の極みでございますもの

＞女性同士ですけれど、これもデートなのかしら。（微笑）
…あ、ああ、あのあの、それを仰ってしまわれては、困ります
意識すまい、すまいと思っていましたのに〜
その言葉を意識してしまったら、頬が熱くなって…
でも、この際ですから…この際ですから…
（そうして、わたくしは柚葉さんの腕に速攻で自分の腕を搦めてしまって）
すみません、今だけ、今だけ、わたくしの我儘を受け容れてくださいませ
これで振り払われたら、わたくしお正月の間中立ち直れない自信がございます
どうか、今はこのままで…、ああ、足元がおぼつかない…

（その日の買い物では、どこで何を買ったのか、ほとんど記憶に残りませんでした）

＞はい、これも母の直伝です。
やはり、そうでございましたか
それにいたしましても、『お蕎麦の作り方』と仰いますとお蕎麦の打ち方からご母堂様から伝授されていたのですね
たしかに、この腰の強さ、心地よい噛み心地は今まで口にしたことはございません
これまで市井のお蕎麦屋様で何度か食したお蕎麦とは、この麺も汁もいずれとも違ったふくよかな味わいでございます

そして…、長女ちゃん渾身のピッツォッケリをお気に召していただけたようですね
あらあら、柚葉さんばかりか長女ちゃんも感涙にむせんでおりますよ
敬慕している師にして姉である柚葉さん…本人は『姉匠（ししょう）』なる造語で密かに呼んでいる　−　あ、ごめんなさい長女ちゃん、言ってしまいました　−　に喜んでいただいて、この娘にとって最高の大晦日になりましたわ

そして、仰るとおり二つのお蕎麦が海を越え、国を越え、種族も越えて、わたくしたちがご一緒に年越しを祝う食卓を囲んでいる…、本当にこんな巡り合わせを今年も変わらずいただけたことに、目頭が熱くなってまいります
どうか、このような日々が来たる年も変わらず続きますように…

京都での年越しですか？
ええ、繰り返す年のまた何時かの時に、皆で確かにその気持ちを共に出来たなら、それも良うございましょう
でも、今はこうしてこの屋敷で、ご守護の女の子様に見守られながら皆で過ごすのが最高でございます


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