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【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ参

967 名前：吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日：2020/05/12(Tue) 06:37

>>965-966（柚葉さん）

＞あ、申し訳ありません…。昼間は公民館の行事だけでなく、こうして私の作業にお付き合い頂いた上に…。
＞本来は私がお疲れのお嬢様に紅茶をお出しするべき所なのに…。

柚葉さん、今日は本当にありがとうございました。
わたくしにご母堂様へ贈り物をすることを許してくださって。
母の日の贈り物、それを考えたとき自然とご母堂様の顔も浮かんできたものの、
（いかに優しくしていただいたとはいえ、柚葉さんのご母堂様にわたくしが贈り物をするのは僭越が過ぎるのではないか？）
わたくしにとってもう一人の母と思える方…そして本当に愛おしい方であるけれど、わたくしがしゃしゃり出るのはどうか、と思っていましたら。

柚葉さんからごく自然に提案をいただいてどんなに嬉しかったことでしょう。
「共通の贈り物としてビーズのカーネーションを作りませんか？」
とそう言っていただけたときは胸にこみ上げる想いのままに抱きしめさせていただきたくなりました…。
とめどない親愛の想いのまにまに目に映った貴女の唇のつややかさに見惚れてしまい、おのが顔を近づけたくなってあわてて我が身を抱いて自制しましたけれど。
…な、何を申しているのでしょうわたくしは。（汗）

あらためてお礼申し上げます。
赤き蝶と青き蝶…、わたくしたちの母に新たな縁をくださって本当にありがとうございます。
母もこの縁の尊さをよくよく心に刻むことでしょう。
以前この屋敷でご母堂様と相まみえて、彼女自身でその出会いの特別なこと、よく知っているはずですから。

実は夕刻プレゼント作りの前に、くだんの吸血鬼の女性の噂の真相を確かめたくてその噂の近隣へと言ってまいりました。
柚葉さんからこのプレゼント作りのお誘いをいただく前から用意していた、カーネーションの花束を持って。
そして…先ほどお客様にもお話ししましたとおり母と顔を合わせることになりました。
こちらから噂の件を問う暇も有らばこそ、開口一番
「貴女ねえ、こぉんな将来有望な子が目と鼻の先にいるのにぃ、それに気づかないなんてぇ、それでもわたしの娘ぇ？」
とあきれ返ったと言わんばかりに溜息を吐かれてしまいました。

その後、噂の件を聞きますと、
「う〜ん？ここにきてから妖狼、妖狐、妖猫…、いろんな子をモデルにならないか、と誘ったからねぇ。
　その中にいたかも知れないわぁ。
　でもぉ、わたくしは可愛い人狼を怖がらせるような誘い方をした覚えはないんだけどぉ。」
（お母様がニマニマしながら近づいたら、普通に怖がられるのではないでしょうか？）
とは口には出しませんでした。
「それじゃあ、ことをハッキリさせるためにわたくしをそのグリッタちゃんと引き合わせなさいよぉ。」
と言われましたけれど、それはそれで面倒なことになりそうなので、母の写真を撮ってそれをグリッタちゃんに見せることといたしました。

（グリッタちゃんに写真をお見せする…、それはまたいつの日かあるかも知れない別のお話。）

そして渡しました青のカーネーションに母は珍しく優しい表情を見せてくれましたわ…。

我が家に来るつもりはあるか伺いましたが、
「まあ、気が向いたらねぇ。ここにいる彼のこと気に入っちゃったからぁしばらく逗留してるわぁ。」
と言っておりました。

そして申し遅れましたが公民館での行事の運営、どうもありがとうございました。
大勢の子どもたちへの細やかな配慮、優しい応対、やはり大学で本格的に学んだ教養はこんなにも素晴らしいのだと実感いたしました。
お母様と子どもとの思い出深い体験となったであろうこと、本当に柚葉さんのお陰でございます…。

「アラベスクローズ」、お気に召していただけたようで良かったですわ。
わたくしの紅茶でもこうして柚葉さんを喜ばせることが出来て、また一つ我が身に自信をいただけました。

では、わたくしも残りの包装をさせていただきますね。
どうぞもうしばらくお休みなさいませ…。


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