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【オリジナル】国立光明学院11時限目 〜御剣家の新たなる旅立ち編〜 【異能】

1 名前:御剣 雪儚 ◆vmdp0Tew 投稿日:2019/05/13(Mon) 23:59

…ようこそ、“光明学院”へ

このガッコは“ぼんぼん”“おじょうさま”いっぱいの金持ち名門校……

しかして…そのしょうたいは…

異能者あつめて…そだてて…たたかわせ…
国の“まもりて”つくっちゃう…政府直属の“ひみつそしき”……
ぜったい…そとにはないしょ……です

でも…もちろん…
異能ない子も…いっぱいいる……ですよ?
異能者もちがう子も…なかよくまなんで…なかよくあそぶ……
そんなたのしいガッコにしていけたらな…っておもってます……

きょうみ…ある……? じゃ…これ……

ttps://www65.atwiki.jp/kkgakuin/

うちのパンフ…そこの“入学案内”のぺーじみて……?

転校・就職するのにひつような校則…かいてあるの……
ここも11スレ目だけど…新入生は“ぜっさんぼしゅうちゅう”……
いっしょに…はっぴーな“すくーるらいふ”…たのしんじゃおーぜ…べいべ…(廿_廿)b


†名簿とその他の施設†

名簿(キャラクター):
ttps://www65.atwiki.jp/kkgakuin/pages/43.html

美術室(イラスト置き場):
ttps://ux.getuploader.com/komyo/
(閲覧パスワードヒント:「光明学院と対を成す異能者学院の名前」)

分校(避難所):
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/24652/

旧校舎(旧避難所)
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17702/


374 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2019/10/23(Wed) 03:08
「…やっぱ分かんないな、貴方だけは」

絞り出すような声が聞こえた。あいつの声だ。
さんざん好き勝手アタシを振り回してきやがった変態ピエロの声だ。
突然ふらりと現れてアタシの居場所――姐さんの隣――を奪い取ってった挙げ句、
ガキでもあやすみてぇなヘラヘラした態度でのらりくらり挑戦を避けるチキン野郎。
そのくせ、姐さんの悪ノリで食われかけてる時には真っ先に飛んできて助け舟を出しやがる。
このアタシが大人の対応で礼のひとつでも言ってやりゃ、

――いえいえ、涙と脂汗、黒翼さんのヨダレ添えで仕上がったその泣き顔はSoCute。楽しめたのでWin-Winですよ。

一瞬でも感謝した自分をブン殴ってやりたくなる。
なんだよそのVサイン!最ッ高に気持ち悪ぃ!変態ドSのクソピエロが!くたばっちまえッッッ!

―――。
そんな願いが通じたのか、あいつは封印野郎に倒された。
姐さんの話じゃ「クロ」っつったっけ?まあ、なんにしたってよ。
こうなることは分かってたんだ。
頭に自信のねぇアタシにだって当たり前に分かる自明の理。
だってそうだろ。アタシが勝てなかった男にてめえなんかが勝てるわけねぇだろうが!ばーか!

封印野郎が黒コートを翻し、走り去るのを見届けてから、瓦礫にもたれたあいつの目の前に現れる。

「ざまあねぇな」

不意にかけられた声にやや目を見開いた様子。
アタシが現れるとは思ってなかったのだろう。
九死に一生を得たと思ったのか、さすがのこいつも素直に救助を求め

「…おや、冥土の土産に緊縛百合百合ショーですか?リクエストをお求めなら鬼ンジョーさんは…」

…てくるわけねぇか。ちっ、分かっちゃいたけどつまらねぇ。
セクハラじみた軽口も死にかけとは思えねぇくらいいつもと変わらん調子だ。

妄想の犠牲になってんのはおそらくアタシが引きずってきたこの女剣士だろう。
捕縛術なんて分からねぇから、
せめて解けねぇようにとグルグル巻きにしてやってたらこんなんなっちまった。

「あ?頭が高ぇぞ?このお方は政府軍お抱え3騎士団の1つ、アルタイルの団長サマだ」

実際は名前負けも甚だしい。期待外れもいいとこだったけどな。

「まだガキだが異能はそこそこだし、肉も引き締まってる。姐さんの昼飯にゃぴったりだろ」

その言葉を聞いて、反抗的だった表情がみるみる恐怖の色に染まっていく。
ま、捕虜って名目で連れてきたからな。
まさか食われるとは思っちゃいなかったのか、今さら必死で這いずり逃げようとする団長サマ。
アルタイルってのは確か彦星の別称だったか?
けどこれじゃヒコボシってよりかイモムシだな。超ウケる。……ってあとでツイートしとこっと。
這う背に無遠慮に腰を下ろす。キャッと年相応の声が漏れた。
視線の高さはこれでぴったりだな。満を持して皮肉たっぷりにクソピエロの顔を覗き込む。

「ンなことよりどんな気分だ?志半ばに死に際を嘲笑で見送られるってのはよ?さぞ無念だろうな?」

たまらねぇ優越感。
これがいつもアタシの目の前で優勢だったあいつの姿。くたばりかけてる。血だらけになってる。
この時ばかりは黒猫野郎に感謝しかない。

「…そう、ですねぇ」

クソの呼吸が少しずつ弱まる気配がした。死がもう、すぐそこまで迫ってる。
よっしゃ!ようやくこいつが死ぬ!こいつさえ死ねばアタシはまた姐さんの「唯一」に!

なのに、こともあろうか…

「飼っていた、生意気で、素直じゃない小鬼さんを置いて逝くのが、少々心残りですかね…」

こいつはぽつりと呟き、ほんとに寂しそうに笑いやがった。
頭の中でプツンと何かがきれた音がする。

「あぁん!?何だよそれ、てめえ死ぬんだぞ!もっと、もっと他にねえのかよ!?」

やめろ!そんな顔すんな!もっと悔しがれ!もっと抗え!もっと絶望しろ!…じゃねえと。
アタシの目から生温かいものがこみ上げる。
意味が分かんねぇ!なんでこのクソが死ぬだけなのに涙なんか出やがる!くそ!くそ!止まりやがれ!

「へっ!お涙頂戴ってか!今更ウゼェんだよ!なんなら今からでもアタシ自ら息の根止めてやろうか!?」

溢れ出る感情を制するかのように草太の細い首に手をかける。脈ももう弱い。
アタシが手をかけようがかけまいが、どちらにせよあと少しの命だ。ならせめて直接、引導を渡してやる。
これでアタシの憎しみが和らぐはず、涙もきっと止まる!これはアタシの居場所を奪ったこいつへの復讐なんだ!

375 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2019/10/23(Wed) 03:09
「…あは、そんな震える手で、僕を殺せると思ってます?もっと…力入れなよ」

草太の女みてぇに細長い指がアタシの震える手に絡まる。

「…ねぇ」

覗き込んできやがった。アタシの中に入り込んでくる。やめろ、ふざけるな。出てけよ、くそ!

「…ンだよ?」

呼びかけたくせに、こいつは何も言わない。
何か言葉を探してそうな表情、眉間に皺を寄せ、何か言おうとしてるくせに何も言わない。

「何も言わねぇなら、へし折ってやる」

「できないくせに」

「喋れんなら早くしやがれ。もう我慢できねぇ…」

「あー、もう…。急かすかよ。折角こっちが親切に言葉を選んでるのにさ」

「いいから…早く」

…早くしねぇと殺しちまう。
アタシの本性は鬼、鬼神だ。人をぶっ殺すのは本能なんだ。
感情に関わらずこうしてるだけで顔が上気し、濡れてきやがる。
それが憎(いとし)い相手なら快感も一入。さっさと言え。そしてさっさと殺させろ。

草太がアタシの手を引く。
それによって、アタシはこいつに覆いかぶさるように抱きつく姿勢になっちまう。
…ちっ、てめえは最期まで嫌がらせをしてくるな、本当に。

「…僕、やっぱり性格悪いからさ。忘れてとか、ゴメンとかは死んでも言えない」

「…ッ、ふざけんなよ!てめえのせいでこっちがどんなに…!責任取れよ!」

「あ…はは…、なんかこれ…彼女孕ませてヤリ逃げしようとしてるクソヤローみてー…」

「全ッ然、笑えねぇんだよ!てめえはそれ以上のクソヤローだろうがッ!」

何がおかしいのかあいつは堰を切ったように笑い出す。
そしてひとしきり笑った後、一度だけふぅっと溜め息を吐き…

「もし最期に会えたら一緒に死んでもらおうと思ってたけど、僕にはそんな力ももう残ってない。ここまで言えば分かるでしょ?」

こいつ、散々アタシを利用しときながら、自分が死ぬ時まで苦しめる気なのか。許せねえ。

「生憎、頭が悪いんで全く分かんねぇな…分かってほしけりゃはっきり言え」

最後の意地悪のつもりだった。
だが、こいつは怯むこともなく…

「好きだったよ、前から。割とマジで…。だから、ずっと…一緒…に…」

…ッ!

言い終える前に両手に力を込めた。
言えと命じときながら言う前に殺す。
我ながら理解不能の行動。だが言わせたら駄目だ。
何故かそれだけは分かった。言わせたらきっと、アタシの中の鬼が死ぬ。
折れたような潰れたような、妙な感触が指に伝わり、全身が感電したかのように緊張する。
瞬間、涙と共に凄まじい快感が襲った。

「…ッ!」

哀情のもたらすそれは全身を駆け巡り、しばらくの間、指1本まともに動かせない時間が続いた。
肺はしきりに酸素を求め、整わない呼吸のまま、アタシは何とか上半身を立て直す。

さっきの言葉を最後に草太は動かなくなった。
なら、もう…いっか。賭けはてめぇの勝ち逃げだ。
こいつ好みの涙と汗に塗れた顔のまま、糸の切れたマリオネットのように項垂れた道化に吐き捨てる。

「…アタシもさ。てめぇより先に言わねぇって決めてただけだ。」

だってこいつより先に好きって言ってたら、間違いなく馬鹿にされてた。
自分でアタシを蛇の道に引き入れたくせに、ストックホルム症候群ですよとか、
平気な顔して無責任なこと言いそうじゃねぇか、こいつ。
だから結局こいつが死ぬまで言わねぇ。そう心に決めてた。
てか、アタシがこいつより長生きすることはねぇって直感的にそう思ってたから、
そもそも言うつもりはなかったんだろうな。…アタシも大概、チキン野郎だわ。

376 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2019/10/23(Wed) 03:10
――さて、と軽く腰を上げた。
重しのなくなった少女は再び逃れようと這いずり出す。
その背の夏の大三角形が刺繍された豪奢なマントを鷲掴んで、
快楽の残り香をざっと拭き取る。哀情の残り香は手で拭えてもこっちはやっぱり布巾がほしい。

「!!!くぁwせdrftgyふじこ…」

それを見て捕虜の立場の少女もさすがに何やら喚いていたが、
鬼神の睨みで黙らせてやった。

…この戦争もじきに終わる。
姐さんに指示された通り、政府軍の主戦力はアタシが潰してやった。
黒猫野郎は姐さん自ら相手するって言ってたし、
レイは少し惜しいが涛風が片付ける手筈になってる。
御剣は前野と羽藤が相手するって言ってたか…2人がかりなら何とかならないこともねぇだろう。

ならば後は神代さえ潰せば勝ち――

「見つけたで、千草ァ!」

背後から声がかかる。…。
…相変わらず空気の読めねぇ奴だな。人が珍しく頭使ってやってる時に。
聞き慣れた声に気だるく振り返る。
そこには予想通りの光景。見慣れた八重歯の少女がファイティングポーズで睨みつけていた。

「…あぁん?なんか用か、愚図鬼」

「誰が愚図鬼や!せっかく迎えにきたったライバルに!」

姐さんが腹空かしてるのに、こいつと漫才やってる暇はない。
早いとこ姐さんの待つ玉座に行って騎士団の少女を献上――

「せやァ!」

「…ッ!」

引き糸が手刀によって切り裂かれ、引き擦られていた騎士団少女が床に背を打ちつける。

「…てめぇ」

「ウチに勝てば献上する御馳走は2つに増えるで?1+1や。なんぼ勉強が苦手なお前でも足し算くらいは出来るやろ」

――それとも、ウチが怖いさかい尻尾まいて逃げるんか?と挑発してくる八重歯の少女。

……。
誰に口聞いてんだ、愚図鬼。上等じゃねえかッ。
両拳を胸の前で撃ち合わせ、自身に喝を入れる。

姐さん、飯はちょっくら遅れそッス。
その代わり、極上の食材を2つも持ってくんで、そんときゃまた「いい子いい子」して下さいッ!

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