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■ ■中世ファンタジー世界総合 11■ ■

52 名前:赤錆 ◆BIv/1NS2 投稿日:2021/02/08(Mon) 00:33
>>51
伝説的人物か。
少し古い話になるが、東の王国で謀反があった。
王様が急死して王子が後を継ぐはずだったのに、王様の弟が軍を率いて王子を殺しにかかった。
だけど、王子とその指南役はなんとか王弟の手を逃れて潜伏。その後、見事王弟を排して王座についたんだ。

特に指南役の活躍は海を渡って俺たちの耳にまで届いた。
混乱する王国の内外で仲間を集って軍団を編成し、常に前線に立って剣を振い、見事な用兵で難局を切り抜けた。
しばらく酒場はその男の話で持ちきりだったよ。

その男の名は……

男の名は……

……

すまん。度忘れした。
いや……でもこの話は有名なんだ。
酒場の親父にでもこの話をして貰えればすぐに分かるはずだ。

……悪い、俺はもう行くよ。役に立たなくてすまなかったな。

・・・

「ああ、それはフルド王国の内乱の話ですね。今から十数年前でしょうか」

「その英雄は確かに有名です。"王の剣"の2つ名で知られるヘイラム卿でしょう」

「内乱当時、年若い王子を支えながら王子派閥の陣頭指揮を執っていたが彼です。内乱の平定も彼に依るところが大きいと言われています」

「ところで、その話をした者の様子はどうでしたか?」

「どこか虚ろな様子ではなかったですか?」

「……忘れるのですよ。重要でない事柄から。そのうち、自分がこの世をうろつく理由すら忘れるでしょう」

「そうなる前に手を打たなければなりません。さあ、手をお出しになってください」

「聖水で穢れを払いましょう。貴方は運がよかったのです」

「あれは既にこの世の者ではありません。復讐の亡霊レブナント。もう近づかぬことです、命が惜しいならね」

「偽りの肉に備わる魂は冷たく、それを我ら生者の命で温めようとするのですから」

「我々が朝餉や夕餉を頂くように、彼らにも必要なことなのでしょう。全くもって迷惑な話です」

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