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【鬼殺隊】鬼滅の刃・第弍章〜心を燃やせ〜【総合】

428 名前：名無しさん＠お腹いっぱい。 投稿日：2021/05/28(Fri) 14:59

猗窩座「また会ったな。さて、下らない提案をしようか…。


杏寿郎、お前は鬼に……

ならないな。

……
もうすぐ、夜が…明ける。
眩しく、美しい陽光が、オレたちの元にも来る頃だ。
オレはここで……体いっぱいに、全身でそれを受け取る。

さて杏寿郎………どうする。
オレをその刃で滅するか。オレを縛り上げて陽光を待つか。

まあお前の事だ。初めから斬る以外の選択肢などないんだろうな。
そうだろう。わかる。それでこそお前だ。
好きなやりかたを選べ。

まあ…どうするにしろ、どうもしないにしろ、オレはこのまま東を…日の昇るほうを見続ける。
眩い朝日をこの目で見る。そうして……
もう一度…澄んだ空を、青空を見る。そんな自分勝手な願いを最期の最期に叶える。
そんな勝手な最期を迎える。

杏寿郎。聞き流して構わない。だがオレはお前に勝手に伝える。

心の中に宿るその熱い物を、もっと強く灯して生きろ。
守れる者は全て守れ。今よりももっと強くなれ。

老いることも変わることも朽ちることすらその全てが愛おしい。お前の持論だな。
お前もいつかは死ぬ。その流れには逆らえない。
それがいつ来るのか、一体なににお前や他の人間の命は奪われるのか。
そんな事も予見すらできない。生きるという事は、余りにもちっぽけであっけない。
…だが、杏寿郎。こんな事を告げておいてなんだが…

生きろ。

しわくちゃの老人になるまで、その腕に子孫を抱くまで、お前は生きろ。
生きろ、杏寿郎。
戦いの中で死ぬ事はオレが許さない。
それは…それだけは、もうすぐオレの命が終え、地獄に落ちても、絶対に許しはしない。

もし所帯を持つなら、出会った妻ただ一人を生涯愛せ。
子を授かった時は、その時こそ命を掛けて守れ。だが死ぬな。生きて妻子と暮らせ。

お前は誰かを守る為に刀を振るう。
だがそこで死んだら、お前を愛する者がどれだけ嘆くと思うかお前にわかるか。
生きて帰れ。必ず。

オレは大事な約束を何一つ守れなかった。誰一人守れなかった。
鬼になり、数えきれぬ程人を食って、ここに立っている。

杏寿郎。お前は約束を全て守り切れ。生きとし生ける者を守れ。だが死ぬな。
愛する者の笑顔を、一生掛けて守り抜く事。それがお前に課せられた使命だ。

さあ、こんな長ったらしいオレのお喋りは終いだ。
縛るなり、一息に跳ねるなりしろ。
そして、生きて帰れ。」

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