掲示板に戻る 全部 前 50 次 50 1 - 50 最新 50 スレ一覧

あの世で俺に……詫び続けろーーッ!

110 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2022/09/24(Sat) 15:37
魔王になった後、ルクレチア王国の民を皆殺しにしたオディオも、おそらくはファミリオ村の、オルステッドに強い憧れを抱く少年だけは殺さなかったのではないだろうか?
というより、村に来た時、↓のように村人たちによって処刑された直後に居合わせたのかもしれない。

村長「この子供は、未だに魔王などを信じた愚か者だ。魔王に魂を売り渡した悪魔の子だ。よって処刑する。」
子供の父「はい、すべて仰る通りです。こんなバカな息子を持ってお恥ずかしい限りです。いえ、もう我が子とは思いません。」
子供の母「産まなければ良かったわ。一思いに処刑してください!」

子「やめてよッ!! もうイヤだッ!!
 どうして!? どうしてみんな、そんなヒドイことを言うの!?
 オルステッド様は……オルステッド様は…………魔王なんかじゃないッ!!!
 こんなの……こんなの………何かのマチガイだよッ!!
 おねがいッ!! おとうさん……おかあさん……みんな………目を………目を、覚ましてよぉ!!!」

処刑執行人「黙れ悪魔ッ!! 死ねぇ!!!」

『ザシュ!』『ドサッ』『コロコロコロ……………』(大きく開かれた、涙が溢れた目の少年の生首が落ちて転がる)

村長「今、魔王の手先を我々の手で退治した。これで我々の村の潔白は証明される。村から魔王の手先を出したなどとなって、村ごと焼き討ちに遭っては敵わん。」
父だった男「俺たち夫妻の潔白も、これで信じていただけますよね!? アレはもう俺たちの家族ではないから、俺たちまで処刑はしませんよね!? 『分かった分かった。だから落ち着け。』あぁ…良かった。」
村人「―――ん?
   ……ヒィ!! あ………あそこに、魔王が!!」

オディオ
「―――――醜い。何という醜さよ。
 貴様らの醜さは………死に値するッ!!!」

『ヒィィ!!』『や…やめ……』『ゆ…許してくだ…さ………』『誰か……たす…け……』『おのれ……魔王……め………』『この悪魔……地獄に……落ちろ………!』

村人を全て殺し終えた後、天を仰ぐように転がっている少年の生首に気付くオディオ。
ただ純粋に自分に憧れ、誤って王を殺めてしまった後も自分を信じてくれた少年の言葉が蘇る。

『やっぱり武闘大会で優勝したオルステッド様だ!』
『ボク、いつかオルステッド様のような……強くて、優しくて、カッコよくて……そして、ルクレチアのみんなを守る立派な騎士になるよ!』
『そんな………ウソだよね!
 オルステッド様が、王様を殺したなんて!
 ウソだよね! オルステッド様が、魔王だなんて!』

そんな少年の、大きく開かれた両目にそっと手を添えて、閉じてやるオディオ。

『勇者オルステッドは死んだ………。君の信じる勇者は………もう、いない。
「許せ」とは云わぬ。ただ……せめて君にだけは、詫びたい。
 ―――――魔王になって、すまない。
 弱い心だったばかりに挫け……君の望む、勇者のままで在り続けられず………
 ―――――すまなかった。』

人間への憎悪に染まり切った中、かつての人の心の僅かな残骸をこの時ばかりは思い出し、オルステッドは目を閉じて冥福を祈った。
………そして、再び目を開いた時には、貌はオディオに戻っていた。

『―――――もはや、ここに勇者はいない。いるのは魔王のみ。
 憎しみを胸に、人間共の愚かしさを死を以って思い知らせる魔王として、在り続けるまで!』

少年への別れと自身の人の心との決別を告げ、オディオはルクレチア城にまだ存在する人間全てを滅ぼしに向かうのであった。

掲示板に戻る 全部 前 50 次 50 1 - 50 最新 50 スレ一覧
名前: E-mail(省略可)

read.cgi ver.4.21.10c (2006/07/10)