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【オリジナル】地上に舞い降りた、飛べない天使

220 名前：水橋 パルスィ ◆Parseejo 投稿日：2022/10/15(Sat) 22:07

>>200
―――そんなわけで人間の口車に乗せられて舞天市の奥地にある親水公園までやってきたわ。
欲を言えば道もそんなに悪くなかったからロードバイクの方が良かった気もするけれど些末事か。
川の潺の音がなんとも心地良くて妬ましい、木々も色付き始めて紅葉狩りも楽しめそう。
敷島の道を嗜む人間が居ればこの情景をなんと詠むのかしらね。

げに恐ろしきは本能か、睡眠欲に色欲は抑え難いけれども何よりも御し難きは空腹ね。
ヴィーネの前で悪いけれども、まずはこの悪魔＜ダエーワ＞を滅するとしましょう。
敷物を広げて取り出しましたるはランチボックス、大分ヴィーネがやってくれたからありがたいわ。
るり、貴女の執事として昼餐を用意したわ、気に召してくれると良いけれど。

野趣に親しむということでそんな肩肘張ったものは用意していない。
けれども十二分に満足してもらえるはずよ、お品書きはこちらに。
秋晴れの麗らかな日差しを浴びてゆるりとするのは良い休息になると思わないかしら。
人間、褒美を取らすわ、るりの後に膳へ手を着けなさい。

　本日のメニュー
〇　前　菜
　　 アボカドのグリルにバジルソースを添えて
〇　スープ
　　 オニオンスープ
〇　肉料理
　　 鴨肉のポワレ、ローストビーフに赤ワインソースを添えて
〇　主　食
　　 スライスしたバゲット
〇　サラダ
　　 ベビーリーフとパプリカのサラダにサウザンアイランドドレッシングを添えて
〇　デザート
　　 マカロン

>>204
鴨が葱を背負ってやってきたとはこのことか。
ヴィーネ、今宵はこの人間と鶏を捌いてメインに据えましょう。
そんなに大切にしているペットならば運命を同じくするのも本望の筈
天使が人間の血肉の味を覚えたらどうなるのかということにも興味があるわ。

―――恐怖と嫉妬をご馳走様、栄養はバランス良く摂らねばならず、感情を喰らう妖怪も然り。
嫉妬はもとより、喜怒哀楽、興奮、安心、慢心、軽蔑、困惑、罪悪感、そして今貴方から得た恐怖も必要なの。
これで貴方も妖怪との付き合い方を覚えたのではないかしら？
貴方の父祖が弁えていたことを忘れたのであれば何度でも思い出させてあげる。

さて、一方的な搾取に対して別段罪悪感を感じるわけでは無いけれど、粗餐でもてなそうと思うわ。
古来より鬼の宴で興を得たならば財宝を得たり悪疫から逃れることができる。
そして勇気の無い者にはその資格は無く、怯懦を軽蔑されて命を落とすこともあった。
貴方はどうかしら、取って食うつもりも無いし人間に害やタブーとされるものも無い、さあ返答や如何に。

>>205
あら、これは中々麗しい白衣の天使が二人も出来上がったわね、実に妬ましい。
るりは回診について十分こなせそうね、人間のことを学んでいるようで何よりだわ。
そしてこの服はこのまま貰っておいたらどうかしら、今は元々の服とセーラー服しか無いのでしょう？
服は有るに越したことは無い、どんな不測事態があるとも限らないから。

ヴィーネ、貴女本当に悪魔なのかしら？可能であれば種族を変えることを検討しても良いと思うわよ。
看護婦を装い悪疫を流行させ、人心を心胆寒からしめようというのであれば理解できる。
けれども貴女のことだから真に人間達に尽くそうというのでしょう、その清らかな心が妬ましい。
はっきり言っておく、審判の日に貴女は悪魔の中で最も短い浄めの火を受けるでしょう。

天使は三人も必要ない、白衣の堕天使が一匹紛れ込んだわ。
私にこれを着せたということは看護婦と医師が背徳に耽る様を体験したいということかしら。
ならば貴方も疾く医師の装束に改めなさい、丁度精気を必要としていたところ。
さあ、貴方の注射器で私に必要なものを注入なさい、私は既に重篤よ。

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