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334 名前：水橋パルスィ ◆Parseejo 投稿日：2023/09/24(Sun) 11:06

>>273 アーチェロ公女
―――姫様、一瞥以来お変わり無いようで祝着に存じます。
ふふ、妾の如き端女のことなど覚えておりますまい、桃の練り切り大変美味しゅうございました。
屋敷森で行われたノウルーズの舞踏会は木陰より眺めて妬んでおりました、進言をお入れ下さり恐悦至極
盛会の内に終わり何より、これも姫様の仁徳によるものでしょう。

一つ驚きましたのはかの屋敷森に精霊アータルが居りましたことでございます。
千年の昔、帝都が陥落して歴代の大王が定めた神殿の数々が忌まわしき狂信者どもに辱められて以降、その身を案じておりました。
妾も取るもの取りあえず唐土＜もろこし＞にて捲土重来の秋を狙っておりましたが、果たせずこの極東の島国へ流れ着く始末
どのような経緯かは存じませぬが、姫様の庇護の下で暮らしておるのであれば如何なる心配も杞憂というものでしょう。

さて、あの時名乗らなかったのは姫様の慧眼で見抜かれた通り故あってのこと。
今はその枷もありませぬ故名乗りましょう、我が名は完全＜ハルワタート＞、不滅の聖性＜スプンタ・マンユ＞の一
水の概念、四季の巡行を司り、最後の審判の刻に灼熱の魔王タルウィを滅ぼす者
姫様の下に寄寓するアータル、ここに控えるアナーヒトと共にかつては波斯の地にて祀られておりました。

「我＜あ＞は中級善神＜ヤザタ＞が第二位清浄＜アナーヒト＞
水を持つ者、湿潤にして力強き者、豊穣、歌舞音曲、商売繁盛、そして戦勝を司る者……汝には弁才天の方が通りが良かろう。
遥か天上から、あるいは地上に祀られる分霊を通して汝の行いは視て来た、日ノ本の神霊妖魔と昵懇のようだな。
吸血鬼という種がそうさせるのか、汝の資質がそうさせるのか……愚問か、言葉と杯を交わせば分かることだ」

姫様の気高き血に敬意を表して真名を名乗りましたが、他の者には橋姫の水橋パルスィと名乗っております。
縁切りを司る神格である一方、妬み嫉みを糧とする鬼の一、妖怪としての性格が大分強い存在ですわ。
本朝へは今を遡ること千年、聖武帝の御代に参りました、以来波斯姫、神格としての橋姫、妖魔としての橋姫として今に至りました。
憚りながら姫様のエスコートを務めさせていただければと存じます。

>>274 イツ花
季節外れの春を感じたと思ったら―――そう、貴女だったの。
春の鷓鵠が牧場から飛び去り、薔薇から微笑みを湛えた花弁が散り雨雲の如く泣き叫ぶ日々
一陽来復とはこのことかしら、我が夜は今貴女と言う太陽を得て光輝かんばかり。
巡りあひて見しや……の句を私に詠ませないで、いくら貴女が月の如く美しくてもそこまで真似ることは無いでしょう。

暫し留まることはできないかしら、時の神＜ズルワーン＞よ、理を曲げてその流れを鈍くし給え。
パノッティもこの一年、修練に励んだ成果を見せたいと言っているわ。
彼の調べは昨年聴いたでしょう？あの心地良い音色を今一度耳に響かせたいと思わなくて？
私はそうよ、恋焦がれる貴女と二人して聴けたらその激情はなお高まるでしょう。

そして貴女は巫女、なれば神を楽しませるハレの日こそ貴女の在るべき場所ではないかしら。
丁度別の世界から一匹巫女が来ているのだけれど、例えるならば夏の夕立か台風のような者でね。
それも十分妬ましいけれど、夏への手向けと秋の出迎えには春の如き嫋やかな貴女が相応しい。
四季の巡行を司る神の推薦よ、まだ不足かしら？

>>282 羽藤柚葉
これはこれは侍従長殿、姫様と同じく変わらぬようで何より。
桃の羊羹は姫様より下賜された練り切りに劣らず美味しゅうございました。
飲み食いするより楽しみの無い端女には何よりのもてなし、実に感じ入っております。
そして姫様の下でノウルーズの一切を手配された手腕はまさに辣腕、公私共に得難い存在でしょう。

真名は伏せるもの、特に時として我らを討つであろう人間に対しては。
されど貴女は君臣の別を越えてかの姫君と一心同体と言っても過言ではないお方
故に同じく明かしましょう、我が真名はハルワタート、他の者の前では仮初に水橋パルスィとお呼び下さい。
今は此岸と彼岸を分かつ橋の守人、鬼の四天王の妻に過ぎませぬ。

―――ふむ、一度お会いした時も気になったのですが、何かを隠しておられますね。
特に妖の者に対して隠す術が仕込まれております、強いて暴くつもりはございませぬが。
我が祖国はかつて三大陸を支配し、その版図には全ての魔術師の故地たるべきバビロニア＜バービルシュ＞もございました。
故に妾も呪術は些か心得がございます、くれぐれも心悪しき者に気取られませぬようご用心を。

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