【オリジナル】異国小路の吸血姫　新館ノ六

354 名前：水橋パルスィ@メイド服 ◆Parseejo 投稿日：2024/02/25(Sun) 11:57

>>331 アーチェロ公女（1/2）
早速姫様より賞賛を賜り恐悦至極
一方で恐れながら姫様こそ古今東西の装束を華麗に着こなされる様は嫉妬を禁じ得ませぬ。
昨年の祭典では母君の伯爵夫人と共に平素の着物から先進的なドレスまで早着替えした上に舞踊まで見せつけ、衆生を沸かせました。
今年は下賜された装束にて羽藤侍従と共に姫様の従者として参加できればと存じます。

はい、姫様が催しに親しまれる様は時と空を超えて勝手ながら覗き見ておりました。
東西の妖魔が揃って主の御子＜ヨシュア＞が生誕した日を祝おうとはなんたる皮肉かと。
街のイルミネーションを見下ろしながら羽藤侍従と寄り添われるとは、私の気配を察して嫉妬を抱かせようというご配慮でしょうか。
そうであれば姫様の趣向堪能致しました、狂おしい程の嫉妬で我が身を燃やし尽くさんばかりに。

―――己はどうなのか、パノッティの笛で身体を操られておりました故、如何とも致し難く。
更に申せば世に言う「東方の三博士」とは我が祖国の神官＜マギ＞ども、これだけで言い訳が立ちましょう。
そして進物として捧げた香料、羽藤侍従へ贈った蜂蜜と併せて、三博士がマリアへ贈った黄金、乳香、没薬に擬えました。
誤算があるとすれば、姫様の美貌と芳香に絡め取られた哀れな犠牲者はどうやら私だったようで。

アフラ＝マズダーは天地開闢より最後の審判までの間、一切の存在と概念に対して運命を定めました。
姫様とて例外ではございません、故に今のお立場に満足しておられるのでしたら恩寵があるということで妬ましく存じます。
倭国は英国と並んで奇妙な国でございます、大陸から離れた島国にありながら引けを取らぬ文化と国力を備えた国
繊細で高雅な文化が花開くかと思えば、瞬く間に海を通じて世界を跪かせる、その原動力は不可思議なもの。

姫様然り羽藤侍従然りまるで棘の無い薔薇、故に有象無象が容易に集まりましょう。
ご安心下さいませ、魔の気を放つまでもなく侍従長と私が茨となり、棘の役目を果たして御覧に入れますわ。
倭国の妖怪共とかの人造人間は精々、人を喰らうか酒を呷るか程度しか考えておりませぬゆえ、姫様の敵ではございません。
しかし九尾の狐とは不吉な、2匹存じておりますがいずれも何を企んでおりますやら、外つ国の神霊妖魔は総じて腹に一物、背に荷物でございます。

いえいえ、地底に乱れがあれば鬼共やその眷属が一致して立ち向かうという意味でございます。
四天王をはじめとした主だった鬼に従う者、秩序や義を重んじる者、単に暴れたい者と戦う理由はそれぞれにございますが。
そして奥羽の鬼共が束ねたる瀬織津姫に相見えられぬこと、我が夫＜つま＞星熊勇儀も口惜しがっておりました。
生憎、年度の変わり目の近付く頃、鬼も人間も慌てて作事を行う時期にございますれば。

姫様の配慮は痛み入りますが、橋姫もまた鬼の一にして分身の心得がございますれば、二倍三倍こなせぬようでは面目が立ちません。
ふふふ、嫉妬の妖怪に嫉妬を忘れさせようとは姫様は鞭の心得もおありのようで安堵致しました。
姫様のお顔を拝しますだけで十分嫉妬が湧きますし、人妖の別なく嫉妬を感じております。
態々私が操るまでもなく妬み嫉みの炎が熾る永久機関、楽で良いと申せば失言にあたりましょうか。

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