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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ六

494 名前:水橋 パルスィ@チャイナウェイトレス ◆Parseejo 投稿日:2024/03/24(Sun) 22:46
>>393 アーチェロ公女
流石は姫様、かの皇妃に謁見あそばされたことがございましたか。
伝え聞く話と姫様のお考えは所々被るように感じます、思うところとお立場の狭間で苦悩される様が。
―――楽な道では無いとだけ申し上げます、皇妃は伝統に従い、吸血姫は人間を搾取しておれば容易に尊敬を集め何不自由なく暮らせましょう。
されど御両所ともそうされなかったのはアフラ=マズダーが考える力を賜ったからであり、深謀遠慮を重ねる方を賢者と後の世の者は称します。

このお客様が勝安房守あるいは勝伯爵に比肩する人物であれば否やもございませんが、生憎それほどの慧眼は持ち合わせぬかと。
されど姫様が許せとの仰せならば従うのみでございます、刀も斧も用いれば普段より入念に手入れせねばならぬ手間がございますから。
血肉を得るだけが力を得る方法ではございません、手軽であることは認めざるを得ませんし、私も食べたことが無いと申せば嘘になります。
しかしながら獣や魚を神が食料として創り給うたのに、神に似せて創られた存在を態々食べるのは神に背くこと、全く姫様は不思議なお方でいらっしゃる。

いえ、斯様に香りの強いものを貴人にお出しするべきでは無いと愚考したまででございます。
我が祖国は狂信者どもに教えを強要されるまでは自由に飲み食いしておりました、豚も酒も宴を彩ったもの。
姫様が構わぬとの仰せであれば羽藤侍従と相談してお出し申し上げます、美味との仰せでしたならなおのこと。
よく食べることは悪との戦いに必要な力をつけることでございます、アフラ=マズダーは断食をはじめとした苦行に価値を置かれません。

くくく、姫様の「存ぜぬ」は凡百のそれとは異なります、姫様が「存じている」と仰せの時は白狼天狗の千里眼さえ及ばぬでしょう。
よくご存じでいらっしゃる、真祖直系の侯爵令嬢から名を覚えられていると知ったら彼女がどのような顔をするか想像するだけで面白うございますわ。
最初は互いにまごつかれるでしょうが、打ち解けて友人となるであろうことは火を見るよりも明らか。
人のために生きようという奇特な悪魔同士、是非とも友誼を結ばれることを姫様の臣下として、彼女の友人として切に願います。

おのれあの店主め、姫様と羽藤侍従に懸想し見世物にするだけでは飽き足らず、給仕の真似事までさせようとは。
姫様、やはりこの応援が一段落つきましたならば、かの店主に落とし前を付けさせるべきかと。
―――おや、食指が動いたということはこの姿であれば私の血をご所望ということでしょうか、あるいは伽を。
四方世界<オリエント>の英雄達が求めたこの身体、神の血として味わうか、鬼の血として啜るか、如何様にも。

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