掲示板に戻る 全部 前 50 次 50 1 - 50 最新 50 スレ一覧



レス数が 1000 を超えています。残念ながら全部は表示しません。

【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ参

424 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2018/11/23(Fri) 18:57
>>420(柚葉さん)

はあ…存分にお祭りを満喫できて満足でございます
パレードやステージでのライブを見たり、露店を周って色々食べたり遊んだり、そして夜を迎えて花火を堪能したりと楽しかったですわ
夜空は金銀砂子を撒いたまさに満点の星空でしたゆえ、織女様と牽牛様の逢瀬もさぞ楽しいものだったことでしょう

それにしてもお母様と来たら
本当に長年友人を相手にするかのように、ご母堂様とご一緒にはしゃいであちこちのお店を周られて
そのうちわたくしたちと別行動をとったりして目の届かない時もありましたので、ご母堂様にご迷惑をおかけしていないか、気にかかって仕方がございませんでした
今はお二人とも二階の星見台にいっていらっしゃいますが、どんなお話をされているのかしら?

(星見台よぉ)

>この度は、はるばる伊太利亜からお越し頂き誠に有難うございました。

あら、お礼には及びませんわ
日本に来るのは久しぶりですが、わたくしにとっては左程の旅程ではありませんもの
『お前は本当に翼から生まれてきたような魔物だ』
と親からも言われるほど放浪癖が治まらないわたくしから見れば、アーチェロの自称『放蕩娘』など些細なものですわ
それより、柚明様こそ娘に随分と良くしていただいて有難うございます
あんなのに大事なお嬢様を仕えさせるとか、ご寛容に感謝いたしましてよ

>そしてお互いに、可愛い娘がもう一人増えたような喜びを実感しているのではありませんか?

柚葉さん、わたくしに娘にしては過ぎたお嬢さんでけれどね
いつかは故郷にお連れしたいですわね
うちの旦那が頭抱えてましたよ
『あまりに出来の良い人の娘が傍についたために、アーチェロに一向に里心がつかん。』
ってね
だからと申して、柚葉さんを快くお迎えするようにまだ城の者たちも心構えが出来ていないから…まだ先のことになりましょうけれど

>その…オルキデア様…。
>今宵が共に過ごせる、最後の夜と言う事になりますね。
>オルキデア様さえよろしければ、その…。
>私と縁を、糸を…“アカイイト”を結んでいかれませんか?

…驚きましたわね
力を欲するわけでもない、永遠の命を望むわけでもない、ただ心と心を共にするために、自ら望んで吸血鬼と縁を結ぼうとは
なるほど、人族が我が子を魔族の許に置くことを認めるとは、どんな方かと興味はありましたが
このような心をお持ちの方とは、あらためて貴女の懐の深さに…、自分でも驚いていますがちょっと飲まれてしまったわ
長きにわたり魔の者と渡り合う人間はあまた見てきたけれど、こんな澄んだ心を持てる人がいようとは、と

では、憚ることなくわたくしの牙を貴女様のうなじに立てさせていただきましょう
さあ…、その白く嫋やかな首筋を露わになさって…

(わたくしの牙が鮮やかな紅の液体を運ぶ)

これは…これが『贄の血』の味と力
喉を通しながら、見えてくるわ
長い長い命の連なりの中でこの血を宿す者が刻んできた心の形が
運命への抗いの中にも光明を失わない、仮初めではない本当の心の輝き
もうどれほど生きたか忘れてしまうほどのこの永らえの時の中でも、最も美しい心の調べ

(わたくしの牙が彼女のうなじより離れる)

…驚いたわ
これと同じ『贄の血』をアーチェロは柚葉さんから摂り果(おお)せたと言うの?
この血は…並みの吸血鬼には、極上の蠱惑、到底平静を保てるものではない
歓喜を越して狂喜に囚われてしまって、どうなるか分かったものではない

あの子が噂に聞く『贄の血』を飲んで、なお自分を失わなかったのは、あの子の長年の『禁血』の成果かと思っていたけれど、決してそれだけじゃない
『贄の血』を持つ者に対する心底からの情愛が無ければ出来ないこと
どうやら我が娘は思っていたより見どころがありそうね

柚明様、あんな頼りない娘ですけれど、柚葉さんに対するお気持ちはこれ以上ないほど深い
それは、娘を受け容れた柚葉さんの尊さの証しでもあります
そして柚葉さんを我が娘に託してくださった貴女の慈愛をわたくしもまた心より尊いと感じています

(わたくしは爪で自分の心の臓の近くに穴を穿つ)

…これで貴女とわたくしの血もまた一つとなりました
これを二つの珠に分けましょう
わたくしの心はこの緋色の珠で貴女と結ばれた
貴女を尊び愛しむわたくしの、その証しとしてどうか受け容れてくださいませ

(星見台からは以上よぉ)

掲示板に戻る 全部 前 50 次 50 1 - 50 最新 50 スレ一覧

read.cgi ver.4.21.10c (2006/07/10)