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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ参
976 名前:
吸血姫アーチェロ ◆
ufrlRV4E
投稿日:2020/05/16(Sat) 16:56
>>974
(柚葉さん)
>………。
>(首から下げたお守り袋の中の『朱珠』をそっと握りしめています。)
>お嬢様がお望みであれば、御心のままに…。
>今は自制なされたようですが、私は何時でもお待ちしていますよ。(微笑)
…!!
(わたくしは震える指を何とか動かして、わたくしの『朱珠』を握り締めました。)
……柚葉さん、どうか、それ以上優しくなさらないで。
貴女の美しすぎる唇をこれ以上意識させないで。
この『朱珠』を手に入れたあのとき、貴女の首筋に牙を立て『贄の血』を我が内に摂り込んだあの日、わたくしは誓った。
貴女の慈しみに、愛情に、わたくしの誠を以て応えようと。
貴女のお導きに、わたくしに最も高貴な輝きに充ちた魂に触れさせてくださるいざないに対して、決して情欲によって縋らず、心からの誠のお慕いによってお応えしようと。
それが愚かなこの身にできる唯一の道であり、決して踏み外してはならないのだと。
なのに、なのに…。
怖いのです。自分の愚かしさが怖くてならないのです。。
今貴女の唇をいただいてしまったら、もはや自分が抑えられないのではないか、と怖れるのです。
もしや溢れすぎた想いから貴女の何もかもが欲しくなってしまったら。
貴女が貴女の想い人と並び立つことを微笑んで見ていられなくなるんではないか、そんな思いさえ浮かんできてしまって…。
だめですね、ごめんなさい、自分はまだまだ未熟だと思い知りました。
…わたくし、もっと強くなりとうございます。
貴女が彼の方と結ばれる、その時でさえ最大の歓びを以て祝福できるようになるほどに。
その時こそ本当の想いを以て貴女と唇を重ねさせていただきとうございます…。
(あまりの恥ずかしさで、その後小一時間ほど一人自室へ籠って落ち着こうと努めました。
じっとしているだけではさらに悶々とした想いが湧いてまいりますゆえ、音楽をいろいろ鑑賞いたしながら。
ああ、『青空のラプソディ』は良い曲です。わたくしの気持ちを代弁してくれるかのようで。
この『【MAD】青空のラプソディ』という映像がまた素晴らしい。)
>グリッタちゃんのスイーツ作りの腕前に触発され、私ももっと精進せねばと思い
>このカーネーションの型の練り切りを作ってみたんです。
まあ…、これはまた何という素晴らしい仕上がりでしょう。
カーネーションの繊細な花弁をこうも見事美しく再現なさって、そして甘美に見るものを誘います。
柚葉さんのお腕前は誠に日進月歩でいらっしゃいますね。
ありがとうございます。
ぜひとも母に贈らせていただきますわ。
>ふふっ…。今度は長女さん、そして三姉妹さんとあの娘との間に縁が生まれたのは間違いないわね。
>そしてどのような絆を織り成すか…楽しみで仕方がありません。(微笑)
はい、三姉妹には長く留守番をさせてしまい可哀想なことをしたと思っておりましたが、こんな形でご縁をいただけて良かったですわ。
長女ちゃんが言っていましたわ。
「お姉様が感心なさっていただけあって、とても優しくて魅力的な方でした。
人狼族については今まで何も知りませんでしたけれど、これから良いおつき合いをできるようにいろいろ学びたいと思います。」
と。
あの子にとっても、視野を広げる良い機会となることでしょう。
(そして次の日でございます。)
…お母様、突然のご訪問ですわね。
そしてなぜ画家の方がご一緒に?
「ちょっと〜、貴女のメイドさんのお陰で絵画の制作が中断しちゃったわよぉ〜。
今まで制作に夢中でサンドイッチ一つ手に持たせるのも一苦労だったのにぃ。
あの練り切りを食べた途端に目の色が変わっちゃってぇ。
『お腹空いた…。』なんて言葉、ついぞ聞いたことが無かったのにぃ。
責任もって彼女の食欲を満足させてあげてよねぇ。」
…その前に、一度お風呂で身綺麗にしてさし上げてはいかがでしょうか?
いかに絵を描くのに夢中でも、若い女性が髪はぼさぼさだし、それに汗臭いですよ?
それでは健康にも良くありません。
(かくて思いがけないお客様をお迎えすることになりました。)
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