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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ四

90 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2020/09/20(Sun) 18:26
>>85

あの…ちゃんとおかずも一緒に食していらっしゃるのですよね?
日本人にとってお醤油のお味は最も親しまれているもの。
それだけに、美味しいご飯とのセットに慣れてしまいますとおかずが疎かにならないか心配ですわ。

わたくしは卵を溶いてかけてそこに醤油をかけることはたまにいたします。
生卵をそのまま食す、ということは日本に来て初めての体験で最初はおっかなびっくりでしたが、その美味しさにびっくりいたしましたわ。

でも、ご飯にお醤油のみかける、という食べ方は…そう、ここ400年くらいはやっておりませんでしたわ。
その昔、我がカルミーニオ侯爵家の領地で行き倒れている日本の女性を助けて城館に連れ帰ったことがございます。
その方は日本のキリシタン大名の家来の女忍者さんだそうで、ご主君が禁教令に触れて国外追放になったとき付き従い、その方の命を受けて伊太利亜ま参られたのだそうです。
ご主君は、
「追放された身で何も持たぬが、故郷を偲ぶよすがに米と醤油を持ってまいった。
せめてこの味を教皇猊下に献上申し上げたい。」
と仰って、その忍者さんに託されたのですよ。
それで、かつてわたしが在学したボローニャ大学の学友が教皇庁に作ってくれた極秘の裏ルートで連絡を取って、その方が教皇にご飯とお醤油を献上できるよう取り計らいました。
教皇庁との折衝…、我が家にも反対する声はございましたが、
「美味しいものを食べてお腹を喜ばせられたら、人の心も少しだけ優しくなれるかもしれないから。」
わたくしはそう我儘を言って、事を進めさせてもらったのですよ。

その際教皇が美味しく召し上がれるよう、事前に我が家の厨房でお米の一部を炊いてわたくしも試食してみましたわ。
ええ、とても美味しゅうございました。
ですがメイドさんたちから
「教皇のための味見役をお嬢様が為さるなど、こんな業腹なことはございません。」
と良い顔をされませんでしたので、醤油ご飯をいただいたのはそれっきりでしたわね。

使命を果たされた女忍者さんは、ご主君の待つフィリピンのマニラに戻っていかれました。
なお、教皇がホカホカの醤油ご飯を召し上がったことはどの歴史書にも載っていないそうでございます。

懐かしくなってまいりましたので、今宵は久しぶりに醤油ご飯をいただこうかしら。


>>86(柚葉さん)

秋の味覚を家族と堪能できる…。
季節の変わり目を最も楽しく実感できるときですわね。
柚葉さんの選んでくださった大根とかぼすでしっかり味わわせていただきましょう。

そして、これも秋の楽しき風物詩。
そして秋刀魚警護役は次女ちゃんがとても頑張ってくれてますわね。
普段は仲の良いお友だちの野良猫さんたちとも、この時ばかりは敵味方。
火花散らす次女ちゃんの気迫には猫さんたちもタジタジなので、わたくしも安心して七輪をパタパタと煽いでいられるのですわ。
使うのは柿渋を塗って丈夫にした「渋うちわ」と呼ばれる実用品。
七輪にはこれがとても見栄えがするんですよね。

(夕餉でございます)

ああ、大根おろしとかぼすが旬のさんまの味を引き立ててくれて、絶品ですわね。
この一本筋の通った新鮮な味、ほのかに混じった苦みは秋刀魚ならでは。
お箸を入れるたびに立ち昇る熱気は炭火ならではの風味を薫らせてくれますわ。

なめこ、ごぼうにほうれん草、居並ぶ野の恵みも交互に味わうとなお深みを増しますわね。
今年も涼しくなってまいりましたが、まだ冷奴は舌にひんやりと馴染んで美味しゅうございます。

そして伊太利亜の秋刀魚料理はまた今度味わわせていただけるのですわね。

ふるさとは、なお我と在り、秋の風…。


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