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■ ■中世ファンタジー世界総合 11■ ■

1 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:41
ファンタジー世界を背景に持つオリキャラの総合スレです。
ファンタジー系のキャラクターを演じて
名無しさんの投下するネタや質問に答えたり、仲間に話題を振って会話をしましょう。

【ルール】
 1. 参加キャラは、このスレッド独自のオリジナルであること。
 2. 参加キャラは、キャラ紹介テンプレを使って自己紹介をすること。(>>2にあります)
 3. 単発系の質問・ネタ投下歓迎。
 4.誹謗中傷などはスルーすること。


【外部サイト】
中世ファンタジー世界総合スレッド避難所
 ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17089/

中世ファンタジー世界総合wiki
 ttps://wikiwiki.jp/medievalftsy/

151 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/03(Sun) 00:10
最近この辺りでガラの悪い奴らの集会があって治安が悪い感じ…

152 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/04(Mon) 23:20
 ――現在、私が置かれている状況を簡単にまとめると、こうなる。

・持病の状態が悪いので今すぐ宿に戻って休みたい。
・官憲に見つかったら恐らく捕まる。一巻の終わり。
・魔物に行き合ったら恐らく負ける。一巻の終わり。

 さて、ここで貴公に一つ、簡単な問題を解いてもらおうか。
 ここは土地勘のない異国の貧民街で、周辺は濃霧で視界が悪く、
 更に私は複雑な路地を人目や気配を避けて逃げ隠れしつつ歩いている。
 どうなると思う? 

>>150

 深い霧中を彷徨い続け、此岸と彼岸、現実と夢、あらゆる境が曖昧になる。
 私が彼らを目撃したのは、そんな時だった。

>「今回の霧も失敗ですね」
>「向こう側の瘴気が滲むばかりで門は開かない失敗作です」

 ……ああ、道を教えてくださいと言える雰囲気でないことは確かだな。
 もう少しよく観察させてもらうとしよう。……まず、身なりが良い。
 言葉遣いが整っており、この地方に特有の発音とは少々異なる訛りがある。
 見た目と雰囲気と発音と会話の内容、更にこんな霧の日に立ち話という状況。
 乏しい材料からなる判断で恐縮だが、これで善良な一般市民だったら驚きだ。

 彼らの会話の詳しい意味は分からないが、まあ大まかな推測ぐらいはできる。
 ――古来より、霧は異界に通じると囁かれる。魔物は異界より来るという。
 連中、神より固く禁じられた、異界との繋がりを持とうとしている。異端者か?
 魔物騒ぎとも無関係ではなかろう。ならば私の苦難も連中の責というわけだ。

 しかし、それを知ったところで何ができよう。
 官憲を昏倒させて逃げてきた不審な男がどこに訴え出るというのだ?
 今はひとまず、体力の回復を待つべきだろう。
 私は息を殺して、彼らが立ち去るのを待った。

153 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/04(Mon) 23:21
……霧が、少し薄くなったか。
これなら宿にも戻れそうだ。
散々な日だったな……。

>>151
集会か……現状、気味が悪いだけで特に被害はないと。
気になるのなら、冒険者ギルドに調査を依頼するのも良いかと思う。
貴公の懐が寂しければ、近隣住民と相談して費用を出し合っては如何かな。
どのような結果であれ、何も分からないよりは気が楽になるだろうさ。

以前に、こんな話を聞いたことがある。
夜な夜な人相の悪い連中が廃屋に集い、殺伐とした言葉が断片的に聞こえてくる。
これは悪党に違いないと通報を受け、衛兵たちが踏み込んでみれば、
なんと演劇趣味の素人集団が練習をしているだけだった、とな。
今回もそんな笑い話で済めば良いのだがね。

しかし……そうだな。今は、個人的に気になることがある。
その集会、いつ頃から目にするようになったものだろうか?
持病の状態にもよるが、私が様子を見に行ってもいい。
この街にはもうしばらく世話になるつもりだからな。
治安の悪化も、全くの他人事ではないというわけだ。

154 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/06(Wed) 00:28
火付盗賊改方である、おとなしく縛につけぃ!

155 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/06(Wed) 21:47
見えないものが見える体質?

156 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/07(Thu) 20:32
失われた過去の書物を旅のお方が見つけてくださった!
ありがたやありがたや

157 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/09(Sat) 00:10
数年前に、一度だけ妖精を見たことがある。
霧深い森で道に迷っていた時、不意にどこからか声をかけられてな。
周囲を見回すと、小さな――そうだな、およそ鳩に近い大きさだったか。
そんな子供のようなものが、木の葉の陰で眠たげに膝を抱えていたのさ。

紙を保管するにはどうしたらいいのかと聞かれたよ。
丁度、空いた瓶があったので一つくれてやった。
それに入れておけば、少しは劣化も抑えられるはずだとな。
返礼として、私は森から解放されたというわけだ。

>>154
遠方よりはるばる出向いて頂いたようで嬉しいよ。
個性的な発音で内容が全く聞き取れなかったのだが、とりあえず心には響いた。
そういうわけで、先ほどの感動を改めて味わわせて頂きたい。
もう一度……できれば、ゆっくりと言ってもらえるかな?

……。
…………ふむ。
『煮付け』『豚足』『温め方』『願う』、『愚かしく』……何だ? 『爆裂拳』……?
……そうか、違うか。だろうな。安心したよ。
突然そんなことを言われたら感動よりも恐怖に心を震わせるところだった。
よし、修正しよう。どこが違う? ……何、全部か?

ああ、そう興奮するな、貴公。
声を荒げてはますます聞き取りづらくなる。
私は決してふざけてなどいないさ。無論、挑発する気もない。
極めて真面目に、真剣に聞き取ろうと努力しているとも。

ところで、私に一つ名案がある。
筆談をしないか?

158 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/09(Sat) 00:12
>>155
体質……というよりは持病の症状だな。
発作が近付くと、体調の悪化に加えて少しずつ幻視や幻聴が出てくる。
普段はもう少し緩やかに変化するのだが、今回はいつになく急激に悪化した。
霧中で身体を冷やしたのが悪かったか、あの霧そのものが……何か……。
……推論できるほどの材料はないにしても、記録はしておくべきだろうな。

この奇病を患ってから長く経つ。
私も随分と調べたが、原因も治療法も不明のまま時間ばかりが過ぎていったよ。
伝統的な治療にも効果はないか、せいぜいが気休め程度のものだ。
こうなると、もはや試していないものを片っ端から試してみるより他にない。

まあ、そう悲観するばかりでもなかろうよ。
少なくとも、すぐに死ぬ病でないことは確かなようだ。
それでも不安に苛まれる時は、運命神を口説き落とすことにしている。
「生かしておいた方が面白い男だと証明するので、私から目を離さぬよう」とな。
……願いの対価として、更なる困難を課せられているようにも思えるのだが。
それこそ見当違い、見えないものを見ていると、運命神の不興を買うか。

>>156
それは重畳。見つかったのは……ああ、魔女と鼠の断章か。
かつて、吟遊詩人の歌う叙事詩に耳を傾けたことがある。
私も物語は好きでな。特に騎士物語や英雄譚の類は好んで見聞きする。
いずれは全ての章が見つかるよう願っているよ。

貴公も書物を好むのならば、魔法の書物の噂を知っているかな?
気まぐれに現れては消え、失われたかと思えば再び姿を表す古代の魔法書。
一見するとただの古い書物なのだが……開かれる度に内容が変化するのだという。
失われたはずの物語、止まったはずの時間が、現れる度に進んでいくそうだ。

古代魔法の力が、どのような理屈で働くものかは計り知れん。
しかし、風の語らう噂によれば――それは意志なのだと。
人の望みに応えて姿を表し、熱で成長していく生きた魔法なのだという話だ。
私も旅を続けるうち、いつか本物を目にすることがあればいいと思っている。
たとえ手に取って読んでいたとしても、そうとは分からないものかも知れないがね。

159 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/09(Sat) 19:52
きみはこう言いたいのでしょう

 イ シ ャ は ど こ だ !

160 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/11(Mon) 15:51
そろそろいにしえのドラゴンが4年に1度の目覚めの時を迎える

161 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/12(Tue) 22:10
ああ困った、指輪を落としてしまった
青い宝石のあしらわれた指輪でね

あれは呪われているのだ
もし見つけたら私に報告するか、いっそ破壊してくれ
宝石の悪魔が君を魅了する前に……

162 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/13(Wed) 20:34
エルフ、ドワーフ、竜人に獣人……俗に亜人と呼ばれる者たち。
この大陸で、彼ら亜人の姿を見る機会はそう多くない。
旅をしていたり、人里付近に住んでいる変わり者が少数いる程度か。
大半の亜人は人間を避けて暮らしている。伝承も殆ど残らぬ大昔からな。

……しかし、何事にも例外はある。
大陸北西、海を臨む地の名をアケルナル亜人領という。
太古より聖地と呼ばれるその地では、人と亜人が共に暮らしているのだそうだ。

>>159
悪質な冗談はやめたまえよ。私は死ぬかも知れないのだよ。
ほら、私の顔はこんなに黒ずんでいるではないか。
おまけに嘴まで伸びてしまって……
……と、茶番は程々にしておくか。
貴公と戯れるのは愉快だが、続けていては私の寿命が尽きてしまう。

私が探しているのは医者というより賢者だな。それも亜人――エルフだ。
聖地に住まうエルフの中には、数千年もの時を生きている者がいると聞いた。
それだけ長く生きているのなら、病についても知っていそうなものだろう?
明確な治療法でなくとも、手がかりになりそうな事なら何でもいい。

……そう思って、大陸北西を目指していたのだが。
どうやら近年、帝国南部で亜人種が人間に虐殺される事件が起きていたらしい。
ただでさえ数を減らし、人間と距離をとって生きていた亜人たちだ。
聖地においても徹底的、いやテッテ的な警戒がなされていたとしても不思議はない。
こうなると目当ての相手に面会どころか、まず聖地に入れるかどうか……。
悪質な冗談はやめたまえよと、貴公よりもこちらの事件にこそ言いたいものだ。

>>160
童話『うたたねドラゴン ウールーのおはなし』か?
たった一日のみ意識を保ち、再び眠りにつく古竜……子供の頃に聞いたよ。
実在するなら、存外に規則正しい輩なのか、呪いでもかけられているのか。
あるいは本当に、単に何百年もの間うたた寝を続けているだけかも知れんな。

千年以上を生きる種に、我ら人間の常識など通じぬものだ。
いつも早春に目を覚ましては、軽く腹を満たして寒さが和らぐまでと二度寝をする。
そんな生活を続けているうち、すっかり名物になってしまった……とかいう話だろう。
だとすると、いずれはきっちりと目を覚ます日が来るのだろうかね。

……ああ。ドラゴンと言えば、そうか……嫌な話を思い出した。
先ほど他の客人と話した内容と重なるのだが……
帝国南部で起きた虐殺事件。その被害者たる亜人は、竜人なのだという。
純粋な竜と竜人との間に、どれほどの繋がりがあるものかは分からん。
だが貴公……微睡みの古竜が報復を胸に覚醒するというのは、出来すぎた話だろうか?
どうする? およそ二ヶ月半後、大陸が劫火に包まれていたら。
……あまり笑えんな。

>>161
おや貴公、それを私に聞かせて良いのかな?
確かに私は善良にして親切、更に金銭欲に乏しい男だと自負しているとも。
だが、残念ながら相談相手として致命的な問題が一つあってな。
鳥の仮面になぞらえて、光り物を好む? ……残念、外れだ。
問題は、私が薬師の端くれだということさ。
植物のみならず、鉱物にも薬効があることを知っている。

日頃あまり鉱物素材を扱わないのは、稀少さと原価の高さが理由でな。
もしもその指輪を見つけたら、嬉々として磨り潰してしまうかも知れん。
……いや、それは一般的には破壊行動のうちに入るのか?
貴公がそれでも良いと言うのなら私は構わないが。
まあ当面の方針としては報告を第一とするか。もし粉にしてしまったら謝ろう。

呪われた宝石を粉末にして薬にしたら、呪いはどうなるものだろうな。
細かく分散されて薬に宿るのか、指輪や宝石の形を失った時点で解けるのか……。
不謹慎ながら興味が尽きん。早くも宝石に魅了されているのだろうか。
いずれにせよ、砕いた時点で宝石の悪魔は泣き出すかも知れないが。
まあ、それはそれで悪魔にとってもいい薬になるのではないかな。
たとえ魅了ができたところで、執着心の表れ方には個人差がある、ということさ。

163 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/15(Fri) 01:21
うっふん、お花を買っていきません?

164 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/16(Sat) 00:40
寒いとついつい防具を中心に購入してしまう…

165 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/16(Sat) 03:23
私の生母はラベンダーの花を好んだと、幼い頃に父から聞いた。
理由は教わらなかったが、まあ何も言われずとも想像はつくよ。
それを語った父の瞳は、あの花とよく似た色をしていたのだから。

>>163
このような時期に咲く花とは珍しい。
貴公の言葉には魅力を感じるが、あいにく今の私は甲斐性のない病人でな。
花の美しさを愛でるより、自らの生活を立ち行かせる方が優先だ。
花とて、私のような男に買われては不憫だろうさ。
言うなれば、まさに高嶺の花というわけだ。

さて、人の生業に口を出すのは野暮なことだが……
できれば、あまり遅い時間に娘一人で出歩かぬよう。
冷えた空気は害虫の活動を鈍らせるが、同時に人にも花にも毒となる。
そのくせ、粋人気取りの花盗人は季節を問わず見境がないものだ。

……ああ、却って引き留めてしまったか。すまない。
昨今は治安に些か不安があると耳にしたもので、つい気になってしまってな。
次は良客に恵まれるよう祈っているよ。
口先で冷やかすばかりの鳥ではなく、懐の広く暖かい者にな。

>>164
金属鎧は快適さとは縁のない代物だと聞く。
着るも一苦労、脱ぐも一苦労。夏は暑く冬は寒い。
重い上に手入れも手間で、かと言って怠れば我が身が危うい。
より良い装備を揃えたくなるのも道理というものだ。
定住者ならいざ知らず、旅暮らしでは衣装持ちというわけにも行かぬしな。

それで貴公、掘り出しものは見つかったか?
体に合う大きさ、性能の良さ、金額……重視する点は様々だろう。
だが、注意したほうがいいことが一つある。全体のバランスだ。
よくいるよ。多くの店を回り、一つ一つを注意深く厳選した結果……
全てを合わせて装備した時、滑稽な姿になってしまう輩が。
まあ、見た目に頓着しないと言うのなら、それも一つの選択だろう。

……私はどうなのか、と?
確かに私も珍妙な装いだが、これはこういうものだからな。
この面が――特に鳥の如き嘴が、人の目に奇怪に映ることは知っている。
だが貴公、命には替えられぬという点では前線に立つ戦士と同じさ。
いざという時、命を守る効果がどれほどあるものか怪しいところも含めてな。

166 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/16(Sat) 12:32
赤竜のウロコは守護の効力があると噂に聞いたな…

167 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 07:50
色のドラゴンは悪。鉱物のドラゴンは善とか昔BEEPの幻想辞典に書いてあったな
ブラックドラゴンは悪で、シルバードラゴンは善だそうだ。
悪のドラゴンは頭が悪く善のドラゴンは賢かったという。


168 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 07:53
そういえばどこぞのエルフ喫茶という魔法使いのエルフがやってるメイド喫茶があるという
ところがそこの看板娘が小柄で怪力。
どうやらドワーフとエルフのハーフらしい。

169 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 12:18
解散した悪の組織の残党が新たなグループを作ろうとしてるらしい

170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 14:52
>>169
アルフ?

171 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 16:10
どうせいつか倒れるのなら、美しく前のめりに倒れたい。それが俺の憧れる生き様

172 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 22:00
おれは大の字に倒れたいな。


173 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/18(Mon) 03:16
俺昨日武器ショップでカリバーン買ったわ!

174 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/19(Tue) 00:15
大陸南に広がる砂漠地帯は“竜の砂漠”と呼ばれている。
“赤竜峠”に“白竜山地”、“飛竜渓谷”。“黒竜峰”……いや、これはおとぎ話か。
竜の名を冠する地名は大陸各地にあるが、今でも竜が棲んでいるとは限らない。

……ああ、おとぎ話の“黒竜峰”か?
火口付近に狂った黒竜が棲み、永遠に孵らぬ卵を守っているという話だよ。
私の故郷では相当に古い時代から語られているものらしい。
しかし、肝心の黒竜峰がどこにあるのか伝わっていないのさ。

>>166
守護の効力か……ふむ。気になることがあるのだが。
その力は、本当に“赤竜”という種の特性なのだろうか。
同じ種の薬草でも、土地や育て方によって薬効に多少の差が出るものでな。
長命の竜ならば、個体差の幅も広いのではないか……と、ふと思った。

もしも特殊な効力が竜の個性だとしたら……そうだな。
守護の力をもたらす竜には、何か守りたいものがあったのかも知れん。
ありがちだろう? 主の意志や願いが遺品に宿るという話は。
竜は死して鱗を留め、人は死して名を残すという。
鱗を身につけた英雄が歴史に名を刻んだなら、竜の名もまた残るだろうか。
どのように生き、何を願い、死んでいった者だったのか。

……もしも私が鱗を手に入れたら? 無論、薬にするとも。
薬に竜の名を付けて、長い説明書に竜の生き様を物語として添えて売ろう。
ただ効力を謳うより、それらしい物語を添えた方が記憶にも残るものだ。
ついでに私の懐事情にも守護を頂ければ言うことなしなのだが。

>>167
古今東西、竜に魅せられる者は後を絶たんな。貴公もその口か?
虚構か史実かも曖昧な伝承の中で、これまた様々な特徴が語られる。
竜の血は不老長寿を得るという話があれば、逆に猛毒だと語る話もある。
神と崇める地域があれば、魔物と恐れる地域もある。
どちらでもなく、ただの巨大な動物に過ぎぬという地域さえある。

嘘や想像が混ざっているのか、単に個体や種類による差なのか。
私も気になっているのだが、この大陸に竜の棲家はさほど多くないようでな。
探せばいるかも知れんが、通常、道を歩いていて出くわすようなものではない。
竜の数も少なければ竜を倒せる者とて稀。
文献を漁れど先の通り意見はバラバラだ、情報の真贋を見極めるのは困難だ。

――ああ、だが善悪の話については分かるような気がするよ。
人間の語る物語においては、よくある話だからな。
生きている方が役に立つか、強すぎて倒せないなら賢く善良。
死んでもらった方が都合が良ければ、愚かで邪悪ということだ。
語り継ぐのは勝者の権利、都合の良い話にもなるだろうさ。

>>168
ふむ……世界は広いな。…………。
ああ、黙り込んですまない。少し考えていた。
エルフとドワーフは仲が悪いとよく聞くが、子を成すこともあるのか……と。
いや、それ自体には文句のつけようがない。
むしろ種族の不仲を乗り越えて結ばれるのは素晴らしいことだろうさ。

ただ、個人的な事情というものか……。
私はエルフの賢者に面会するため、大陸北西の聖地を目指していたのだが。
その聖地では種族を問わず受け入れ、共に暮らしているという話なのだ。
ないとは思うのだが、その店の在所はもしや、まさかと思ってな……。

……もしも目当ての賢者がそのように働いていたら、私はどうしたものか。
その風変わりな店で注文でもすれば良いのだろうか……。
しかし肝心の内容は「店員と個人的な話をするな」などと断られかねん。
かと言って、退店を待ちかまえているというのも変質者のようで気が引ける。
……運命神に深く祈りでも捧げておくか。
守護の対価に困難を課すにしても、そのような方向性はお許しくださいと。

175 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/19(Tue) 00:16
>>169
その話なら、私にも少しばかり心当たりがある。
少し古い話なのだが、大陸南東に位置する学術大国で事件があった。
非人道的な研究をしていた地下組織が暴走したとか何とか……。
事件の詳しい話までは伝わらなかったが、街はそれらしい噂でもちきりだったよ。

当時、私もその国――フォーマルハウトにいたからな。
ちょうど師と別れて一人旅を始めた頃だったか。
検問もやたらと厳しくなって、どこに行くにも難儀したものだ。

……思えばあの頃のフォーマルハウトは、少しばかり厭な雰囲気だった。
学園都市でおかしな事件が続き、街道にアンデッドが湧く。
北の隣国、魔法大国アヴィオールとの関係は雲行きが怪しい。
海を挟んだ東の隣国、東西の交差路フルドでは内乱が長引く。
大きな戦争でも起きるのではないかと零す者もいたな。

貴公、その情報はどこで耳にした?
私の師は今もあちらの国にお住まいだ。
あるいは全く無関係な別組織かも知れんが、動向には注意しておきたい。

>>170
貴公、何か知っているようだな。人名か、はたまた組織名か……
いずれにせよ、情報を漏らす場所と相手は慎重に選んだほうが賢明だ。
組織の関係者と疑われれば、捕縛されて尋問でも受けかねん。
あるいは、秘密漏洩を恐れた組織の側から消される可能性もある。
巷でもよく言うだろう? “お喋りな奴は早死にする”と。
私もよく言われる。大概、武器など突きつけられてな。

……さて貴公。改めて、私とお話をしようか。
先の客人にも話したが、私はその情報が欲しくてな。
なに、真贋などはこちらで判断するさ。自信がなくとも構わない。
貴公がするのは、知っていることを私に話すことだ。分かったかな?

>>171
そうだな。美しいかどうかはさておき、私もそう思うよ。
倒れたところで命があれば、また幾度でも立つこととなる。
予め倒れる際の心構えをしておけば受け身も取りやすかろう。
立ち上がりやすい姿勢で倒れれば、順調に歩き出せるというものだ。

だが貴公、生き方まで前のめりになってしまうのは少し問題だ。
分かるだろう? 前傾姿勢の時、後ろから押されたらどうなるのか。
追い風にできるような事態でも、簡単に倒されてしまうかも知れん。
前へ前へと急ぐあまり視野が狭まれば、見落とすところも多くなる。
時にはバランスを意識するか、足りないところを人に補ってもらうといい。
一人旅は気楽なものだが、仲間がいれば可能性は相当に広がるからな。

何より、貴公は美しく倒れるのだろう。
いかに美しかろうと、鑑賞者がいなければ面白くなかろうよ。
誰に見られずとも美しく誇り高く、というのも立派な心構えだとは思うがね。

>>172
なるほどな。つまりこう、両手を広げて後ろにばったりと……
……いや貴公、その倒れ方はまずい。
後頭部を強打しかねん。命にかかわるぞ。

さては貴公、相当に疲れているな?
勢いよく寝台に身を投げ出したくなる日は私にもある。
だが、倒れ方にはくれぐれも気をつけたまえよ。
竜殺しの英雄とて、女に刺されたり頭を打ったりすればあっさりと死ぬものだ。
我々のような凡夫ならば尚更だろう。たとえ頭が無事でも腰をやる。

まあ……そうなったらそうなったで別に構わんか。
湿布薬の処方なら私に任せたまえよ。なんなら先に買っておくか?
特に安くはしないが、効果は保証しておこう。

>>173
ああ、歳末大売り出しか? よく売れているらしいな。
その剣を買ったという者を見るのは貴公で三人目だ。
同工房の銘剣、エクスカリバーシリーズに並ぶ人気と聞いた。

私も広場で宣伝をしている様子を目にしたが、あれは見事だったな。
「岩に突き刺しても折れない」とかいう派手な芝居をしていたろう。
流石に本物の岩を使っていたとは思えんが、いかなる細工を施したものか……
いずれにせよ、頑丈さを訴えるには良い演目だったと、皆が認めることだろう。

荒事は冒険者の常だが、扱いが荒ければ剣はあっさり折れる。
得物が駄目になっては、食い扶持どころか命が危うい。
少しばかり切れ味に目を瞑っても、頑丈な剣には需要があるということだな。
なまじ頑丈だと、油断して手入れを怠る者も後が絶たんと聞くがね。
貴公も、剣に対する礼節は持っておきたまえよ。
たかが道具と侮れば、肝心な所で裏切られるかも知れんぞ。

176 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:51
エクスカリバーはカリバーンを聞き間違えた名前だったはずだよ


177 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:55
大の字に倒れたいといったがそれは死ぬ時だ。
前のめりはプライドとして俺は好きではない
使命を果たしてやり遂げた死には大の字だこればかりは譲れない。
ライバルと戦い相打ちでも倒れるときは大の字だな

178 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:59
いや、毒ガスばらまいて集団殺人を行ったとある宗教団体が逃げるように設立したのがアルフだあったからな。
元の宗教関係者は全員死刑になってるから俺が追われる可能性はない

179 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/21(Thu) 00:56
馬車が通るぞどけどけー!!

180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/21(Thu) 17:59
メンタルの弱さは、フィジカルの強さでカバーするつもりだ

181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 00:07
せめて戦士として一旗揚げてからじゃないと恥ずかしくて田舎に帰れないんス!

182 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/23(Sat) 01:46
霧は異界へ通じているという。
我々の頭の中にも、それぞれの異界へと通じる霧が充満しているのかもな。
……ああ、喩え話だよ。頭蓋の内側ならば見たことがある。

>>176
伝説は人から人へ、口から口へと伝わるうちに変化を重ねていくものだからな。
同じ名でも、語られる場によって異なる姿を取るのは珍しいことではないさ。
あるいは私の知る武器屋か工房の方が、聞いた話を元にして剣を作ったのか。
量産品でも、伝説にあやかって立派な名を付けるというのはよくある話だろう?

世界は広く、語られる伝説、物語は星の数ほどある。
だが、私はこの“アルデバラン”と呼ばれる大陸から出たことがない。
大陸の外には、私には想像すらつかぬものが多くあるのだろう。
貴公も同様に、この大陸や近隣の文化を殆ど知らぬのではないかな。
知りたいことがあれば聞いてほしい。私の知る範囲で答えよう。
そもそも本来、ここはそういう場だ。

……だが、知らぬ話については語りようがない。
私は今後も私の知識に基づいた話のみをするし、それしかしない。
貴公にとって、私の言葉は的外れなものと感じられることが多いのだろうな。
それを逐一訂正されたとて、私の見ている世界は何一つ変わらんのだが。

>>177
そうか。素晴らしいな。よく分かった。
確固たる信念を持つ者に自説を述べたところでさしたる意味はない。
ましてや茶化そうなどと考えては無礼というものだ。
だが、場合によって意図的に曲解したり、関連性を無視したりするのが私の性分でな。
貴公とは相性が悪いのだろう。口を噤むことが適切な対応なのかも知れん。

>>178
そうか。近隣諸国でそのような大事件は聞いたことがない。無関係か。
貴公にとっては、遠方の地でさえ想起するほど印象深いものだったのだろう。
これ以上は追求すまい。語られたとて、私には理解しかねることと思う。
私は何も知らぬ立場の者。安易に語るのは犠牲者への冒涜に他ならん。
非礼を詫び、ただ哀悼の意を表明させて頂くのみとしよう。

183 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/23(Sat) 01:49
>>179
ああ、貴公らほど勤勉な者の道を妨げては天罰が下るだろうさ。
大変な仕事なのは見ていて十分によく分かるとも。
どこの世界でも、上司や雇い主が横暴だと下は苦労するものだ。
この寒い中、頭が下がるよ。道中くれぐれも気をつけて。

……おや。何か言いたげな顔がちらほら見えるな。
私の発言がらしくない? また体調でも悪いのかって? まさか。
私は常日頃から、勤労者を非常に尊敬しているよ。
礼節を弁えぬ猿の檻を引く仕事など、私だったら絶対にお断りだ。
なぜか運搬されている猿の方から返事を頂くことが多いのだがね。

しかし、ああ急いで何を為そうというものか……。
あの馬車の来た方向は……ふむ、貴族街だったか。
貴族家の紋章らしきものは見えなかったが、商人の様子とも思えん。
微妙な違和感はあるが、何かが起きているとも言い難い。
いっそ本当に馬と会話ができたなら、詳しい事情も伺えたのだがな。

>>180
貴公、良い心がけだな。素直にそう思う。
己の精神の強さ弱さを判別できる者は稀だ。
明確な基準を設けられるようなものでもなく、把握は極めて難しい。
ならば鍛えやすい方を鍛えるのも合理的な判断というわけだな。

だが、身体を鍛えるうちに勘違いしてしまう者も多い。
肉体の屈強さを粗暴な形で誇示したがる馬鹿――失礼、口が滑った。
精神の弱さを力で克服したと思い込む乱暴者は珍しくなかろう。
貴公がそのような存在になってしまわぬよう願っているよ。
すなわち、自らの持つ強さ弱さで何を為したいのか忘れぬように。

もう一つ助言をするのなら、鍛えられずとも手入れはしておくことだな。
精神も肉体も、貴公の持ちうる替えのきかぬ道具。
まるで使わねば衰えゆき、誤った扱いをすれば歪み、酷使すれば壊れる。
適切な手入れの具合を知るにも、自らと向き合うことは避けられんのだろうな。
あるいは、そうして自分と向き合い続けることこそが最も辛いのかも知れん。

>>181
貴公、随分と励んでいるようだな。
一旗揚げるほどでなくとも、よく働くと評判だ。
冒険者などという稼業では、まず不運な者が命を落とす。
次いで、思慮や経験の足りぬ者、人の善い者が続くと言う。
冥府の女神殿は常に我々を品定めしておいでだ。気をつけたまえよ。

田舎か……。
帰れる立場なら、帰れるうちに……と考えるのは、こちらの勝手な感傷か。
なまじ受け入れられてしまえばこそ、決心が鈍ると思えば帰れぬものかも知れん。
だが、せめて手紙ぐらいは書いてやっても良いのではないかな。
実際に送るかどうかはともかく、文字にすれば気持ちの整理もつく。
背負った過去も抱いた感情もどうにもならんが、紙なら捨て去るのも簡単だ。

まあ、私とて人のことは言えぬ身の上だ。あまり深入りはすまい。
元より面倒な立場の人間が面倒な病に罹ったら、この上なく面倒な事態になった。
そんな訳で、この厄介な病を治さぬうちは、故郷に帰ることが叶わんのさ。
うっかり帰ったら父か弟か、もしかすると妹に斬られてしまうかも知れん。

184 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 15:03
カタールってかっこいいですよね!

185 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 22:05
俺が無口なのには理由がある…………
人間の正体は言っている事ではなく、やっていることだ……
だから、俺は行動で全てを示そうとしているのだ……

186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/24(Sun) 06:54
この辺にもクリスマスみたいな風習ってあるの?

187 名前: 投稿日:2023/12/24(Sun) 19:15
お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!

188 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/26(Tue) 01:16

「リーミルンの森の奥には聖夜の間にしか咲かない花があるらしいです」
「その花を煎じて飲めば、どんな病気でも治るって婆ちゃんが言ってました」
「でも、森には魔獣が棲みついてて、採りに行く人もいなくなったって……」

 ――この情報は、貧民街の調査を続けて得た、数少ない収穫の一つだった。

 一年の終わりにかけての数日間は、正教において非常に重要な祝祭だ。
 聖夜祭、生誕祭、降誕祭、降臨祭……様々な呼び名があるが、示すところは同じ。
 現人神アルカンフエルが降り立ち、奇跡を起こした神話に由来する祭である。

 ……だが、我々のような流れ者が、祝祭日をこまめに祝えるわけもない。
 街の人々が盛大に聖夜を祝う頃、私は森の中で焚き火を囲んでいた。
 連れ合いは若い冒険者(>>184)、寡黙な狩人(>>185)、異国の戦士(>>186)の三人だ。
 魔獣の討伐任務を請けた三人に、目的地の近い私が同行を願い出た形になる。

>>184

>「カタールってかっこいいですよね!」

 偵察から戻るなり、若い冒険者がそんなことを口にした。
 同行している異国の戦士が微笑み、自らの得物を自慢げに掲げて見せる。
 どうやら、彼女の持つ風変わりな武器をカタールというらしい。

「ありがとう。これね、私の故郷だとジャマダハルって呼ぶんだよ。
 この辺の人、なんかみんなコレのことカタールって呼ぶよねえ。
 カタールはカタールで別のがあるから、ややこしくってさあ……」

 皆がそう呼ぶのなら、かつてそう伝えたものがいたのだろう。
 拳を突き出すように扱う独特の戦技は、剣術というより近接格闘術に近い。
 とにかく素早く、刃の軌道が読みづらい。
 仮に読めたところで、その速さに対応するのは至難の業だ。
 使い手の珍しさも相俟って、確かに魅力的な武器だった。

 異国の戦士と武器談義を交わすうち、夜も更けた。

>>185

 ――ところで、その武器談義に全く加わることのなかった者もいる。
 彼は仮眠から覚めた後、黙々と自ら仕留めた雉の羽根をむしっていた。
 我々が愉快なお喋りに興じている間も、羽根をむしり、捌き、下処理を施す。
 気付いた時には、野営としては妙に豪勢な串焼き肉が出来上がっていた。

「なんか一人でやらせてしまってすみません」
「言ってくれれば手伝ったのに」

 我々が口々に声をかけると、狩人は静かに首を横に振った。

>「俺が無口なのには理由がある…………」
>「人間の正体は言っている事ではなく、やっていることだ……」
>「だから、俺は行動で全てを示そうとしているのだ……」

「なるほど。私と貴公は似た者同士のようだな」

 私がそう言うと、たちまち「お前は何を言っているんだ」と野次が飛んだ。

「私も初対面の相手には必ず『善良だ』と名乗るのだが、
 本当に善良な人物だと信じて頂くのは非常に時間がかかるよ」

 つまるところ、中身のないお喋りと何も言わないのとはあまり違いがない。
 善良な者は食い物にされる。弱者も同じく、利用されて捨てられるばかりだ。
 その両方が揃えば、それはもうご自由に搾取してくださいと掲げるようなものだ。
 私が善良であることは、ある程度の付き合いを経た相手だけが理解すればいい。
 彼の寡黙も私と同じく、経験と人生哲学に基づいたものなのだろう。

 それはそれとして、言ってくれれば手伝いぐらいはしたのに、と私も思った。

189 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/26(Tue) 01:17
>>186

 食事の後は数時間おきに交代しながら、周囲の警戒と仮眠を行う。
 一人の野営は危険極まりないが、数人いればこの通り安心だ。

>「この辺にもクリスマスみたいな風習ってあるの?」

 火の様子を見ていた異国の戦士が、不意にそんなことを口にした。
 彼女の祖国では、この日をクリスマスと呼んで祝うらしい。
 遥か異国の地でも祝祭日とは、偶然なのか、何らかの意味があるのか。

「25日はアルカンフエルが生まれた日だって聞きましたよ」
「諸説あるな。この大陸に降り立ち、悪魔を撃退して平和を取り戻した日とも」
「その聖なる戦いの日々が聖夜祭の期間で、勝利した日を年の初めと定めたという……」
「私の故郷ではその説だった。だが近隣では神聖帝国を興した日だという説も……」
「君らの国のお祭り、諸説ありすぎでしょ」

 致し方あるまい。なにぶん古い話である。数千年だ。古すぎる。
 人の頭では、たかが十数年前の出来事でさえ記憶が曖昧になるというのに。
 その数千年の間に、神話も記録も相次ぐ戦乱で失われ、隠匿され、歪められた。
 その間ずっと生きていたエルフなら、と改めて思う。
 たとえ覚えていなかったとしても、記録さえ残っていれば――

 そう考えた時、近くの茂みが大きな音を立てた。

>>187

 皆、一斉に武器をとる。
 仮眠をとっていた狩人もすぐさま得物を手に構えた。
 茂みの奥から姿を表したのは――見覚えのある少女だった。

「その女は魔女なのよ。お兄ちゃん、騙されないで」

 少女はそう囁きながら、まっすぐに異国の戦士を指さす。
 懐かしい姿に、懐かしい声。見間違えるはずもない。
 その少女は、十年以上前に別れたきりの、妹の姿をしていた。

「……悪くはないが、命をくれてやれるほど見事な余興でもないな」

 最後に会った時、妹は十歳ぐらいだったか。もう少し小さかったか。
 いずれにせよ、本物の妹はもう大人になっている。
 結婚どころか、子持ちでもおかしくないような歳である。

 仲間たちの様子を伺う。
 皆、呆然と少女を眺めているように見えるが、視線の向きが少しずつ違う。
 それぞれに馴染み深い相手の幻覚を見せられているのだろう。
 言われている内容も違うのだろうが、まあ大体の想像はつく。
 あまり嬉しい経験ではないが、私は幻覚にも幻聴にも慣れている。
 武器を構えると、妹の姿をしたものは叫んだ。

>「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」

 私が少女の首の血管の位置を裂くと、霧が晴れるようにして幻はかき消えた。
 同時に、仲間たちも正気に戻ったようだった。

 ……後に残った魔獣?
 ああ、幻覚さえ解いてしまえばそう特別なこともなかったよ。
 皆でさっさと片付けて終わりだ。


 こうしてリーミルンの森の魔獣は討伐され、後は薬草探しの仕事だけが残った。
 薬草を探す様子など、語ったところでそう面白い話でもないだろう?
 何か話せることがあったしても、報告は街に帰ってからになるだろうな。
 雪や道の様子によっては、帰る頃には年が明けているかも知れないが。

 そういうわけだ。よい祝日、よい年を。

190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/26(Tue) 22:56
獣と言えば赤錆は今頃どうしてるかのう…赤ずきんちゃんと小鳥ちゃんが揃ったら殺伐メルヘン珍道中になりそうでちょっと期待しとったんじゃが

191 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/27(Wed) 16:32
氷使いであることを嘆かざるをえないのがこの季節ですよ…

192 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/28(Thu) 20:13
釣りをしてたら巨大なクラーケンを釣り上げてしまって驚きましたよははは

193 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/28(Thu) 23:37
赤錆の野郎が赤い頭巾を被ってるなんて聞いたこと無いぞ!

でも絶対汚れと血と錆で赤黒いぞ!間違いなく赤頭巾ちゃんだぞ!

194 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 00:37
自分の顔を捨てどんな顔にでもなれる能力
ついに身に付けたのさ
過去を捨てたからこそ…な

195 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 07:14
なんでも願い事が叶うとしたら何を願うべきだろう?

196 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 13:58
「ありがとう。これね、私の故郷だとジャマダハルって呼ぶんだよ。
 この辺の人、なんかみんなコレのことカタールって呼ぶよねえ。
 カタールはカタールで別のがあるから、ややこしくってさあ……」
間違って伝わってしまったからである。


197 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/29(Fri) 21:09
今年の問題は今年のうちに片付けておきたい。
……ということで、予定外だが少々失礼。後日、改めてまた来る。

>>196
貴公が博識であること、人に物を教えたい意欲が強いことは非常によく伝わった。
だが、残念ながらその知識は場違いな上、やり方にも問題がある。

貴公の故郷の知識はここでは役に立たず、求められてもいない。
加えて、名乗りもあげずに話に割り込むのは、近隣の文化では無礼な行いだ。
終わらせた話を長々と繰り返そうとすることも同様にな。
どうしても自身の知っている話をしたいのなら、相応の場を設けるべきだろう。

大事な話なのでもう一度言う。

・貴公が何か知っていると感じても、それはこの場で通用する知識ではない
・他の客人の言葉や私の返答に対して、横から口を出したり、訂正したりしないでほしい

私から貴公に申し上げられることは以上だ。
言葉を重ねることではなく、行動にて理解を示されるよう願う。

198 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/31(Sun) 00:28
今年はどうにか、街で年を越せそうだな。

“万病を癒す薬草”……そのような植物の伝説は、思いのほか各地にある。
大概は険しい山や森の奥、入手困難な地でのみ育つもののようだ。
実際のところ、物珍しさや美しさから薬草扱いされているだけのことも多い。
中には有用な薬効を持つものもあるが……。

……今回?
さあな。今のところ、目立った変化はないとだけ言っておこうか。
良くも悪くもいつも通りだ。……なに、毎度こんなものだよ。

>>190
貴公もなかなか人が悪いようだ。
いかにも可愛らしい“赤ずきんちゃんと小鳥ちゃん”という表現で
http://www.10ch.tv/bbs_img/img-box/img20231230233904.jpg
このような想像をさせておいて、実際に出てくるのは
http://www.10ch.tv/bbs_img/img-box/img20231230233923.jpg
ご覧の有様なのだからな。

場合によっては詐欺罪で覚悟の準備を強いられるぞ。
ああ、赤ずきんに関しては面識がないので評判を聞いての想像だよ。
殺伐としているのだろう? ……ふむ、何か間違えたかな。
まあいい。あまりに違っていれば、訂正のために出てくるかも知れん。

珍道中に関しては、私としても望むところなのだが……こればかりはな。
歩む速度が異なれば、共に行くのは厳しいものだ。
残念ながら、私も人に合わせるのが上手い性質ではない。
互いの道が交わることがあるのなら、どこかで会うかも知れないが。

いずれにせよ、私とアルデバランの大地はいつでも旅人を歓迎するだろう。
懐かしい顔も、新たな顔も喜ばしいものだ。
長く滞在することはもちろん、一時的な帰還や来訪もな。
それまでは小鳥の囀りに耳を傾けて頂こうか。
多少、物足りない思いをさせてしまうかも知れないがね。

>>191
ほう、氷使いか。……それは、この季節……色々あるな。
何事にも良い面と悪い面がある。今回は良い面から話そうか。

地、水、火、風――自然の力を借りて行使する魔法は、
その力の多く存在する場所では強力になるというような話を聞いたことがある。
貴公もそうなら、今の時期こそ最も活躍できるのではないかな。

さて、お待ちかねの悪い面だ。
これは、力が強くなりすぎて制御が難しくなるという点だろうな。
よくある話だよ。魔物を氷漬けにしようとして、
前線で戦っていた仲間ごと凍らせてしまったというのは。
その様子だと、貴公も似たようなことをしでかしたか。

まあ、誰にでも失敗はある。そう気に病むものではないさ。
気晴らしに少し散歩でもしてきてはいかがかな。
こんな辺鄙な場所では、見るものもないが――いや、あれがあったか。
実は向こうの平原に、素晴らしい氷像が設置されていてな。
なぜこんなところにあるのかは分からないが、実にいいものを見た。
おそらく名のある職人の作だろう。まるで生きているような躍動感だったよ。

>>192
雑談をしていたらクラーケンを釣り上げた豪傑が現れて驚いたよハハハ。
釣りでクラーケンといえば、こんな話を聞いたことがある。

とある山沿いの田舎町で、小さな洞窟が見つかったのだという。
洞窟の中には湧き水があり、釣りをすると目のない魚がよく釣れた。
見た目こそ不気味だが味はたいそう良く、町人は好んで食したそうだ。

――ある時、その湧き水の中に、何かキラキラと輝くものが見えた。
金貨でも沈んでいるのかも知れぬと、泳ぎに自信のある老人が潜ったが……
町人たちがいくら待てども、老人の腰に結んだ縄が飲み込まれていくばかり。
呼び戻した方が良いのではないかと話し始めた頃、猛烈な勢いで縄が引かれた。
やがて岩に括り付けた縄が凄まじい力で引き千切られた。
老人は戻らなかった。

その時、湧き水の中に触手がうねるのを見たと証言した町人が何人かいたそうだ。
そのうち一人は完全に恐慌を来たしてしまったようでな。
あのキラキラと輝くものは、金貨などではなく巨大な瞳だったのだと言った。
釣りをしていたのは自分たちではなく、怪物のほうだったのだ……と。

……しかし、貴公ほどの者にこのような話をしても脅かしにもならんな。
喰らい合えば強い方が生き残る。結局、それが自然の摂理というものだ。

199 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/31(Sun) 00:29
>>193
貴公、そんなことを言ったら私が小鳥ちゃんだったのは大昔の話だぞ。
だが小鳥ちゃんなる呼称を否定はすまい。
今なお“ジャックドウ”などと名乗るからには……と、言っても伝わらんか。
この付近の言葉だと何と呼ぶのだろうな、あの鳥は。ル・シュカ?

話を戻そうか。件の御仁は――なるほど。
元の意匠はともかく、とりあえず赤っぽく染まってはいる、と……。
なんとも末法めいた雰囲気の赤ずきんちゃんだな。
……いや、待てよ? 赤黒い頭巾、神出鬼没、殺伐とした……まさか……。

……貴公。少々、荒唐無稽な話になるのだが。
こちらで聞いた複数の情報を繋ぎ合わせるうち、私は一つの想像に至った。
聞いたことがあるのだ。東の果ての、恐ろしい怪人の物語を。
死地より蘇り、復讐の炎を胸に各地に姿を現す殺戮者……。
もしかすると、赤錆の正体は……ニン……

……いや、これ以上はやめておこう。あまり滅多なことを言うものではない。
すまないが、今のは忘れてくれたまえよ。いいね?

>>194
ほう? それで、そんな顔をしているのか。……なるほどな。
貴公は過去も顔も捨て、今と未来しかないというわけだ。
その割には、まっさらな気持ちで生きているようには見えんがね。

私はあいにく、貴公とは逆の立場だ。
確かに今は、この鳥の面こそが私の顔のようなものだが……
この下にある顔も過去も、何一つ捨てるつもりはない。
いつか自然に薄れて消えるかも知れんが、それでも抱えているだろう。
わざわざ他の顔になりたいとも思わんな。捨てるには惜しい。
今は鳥の面しかお見せできず非常に残念だが、こちらも男前だろう?

――なあ貴公、一つ聞かせてほしいのだが。
顔を失くし、過去を失くして、それから鏡をじっくりと見たことはあるか?
気を悪くさせたら謝るが、迷子になった幼児のような顔に見えたものでな。
せっかく生まれ直したのだ、いっそ派手に泣き声ぐらい上げてみてはどうかな。
記憶にこびりついた過去の残滓も、案外すっきりと洗い流せるかも知れんぞ。

>>195
こうするべき、などというものはないさ。
自らの望むこと、欲するものを存分に願いたまえよ。
際限なく願いが叶うのなら、それこそ神にでもなったようなものだ。
神が人の機嫌や都合など伺うものではないだろう?
何をしようと、人は人の方で勝手にそれらしい理由を見出すものだ。

だが、叶う願い事がたった一つに限られるのなら……そうだな。
強く叶えたい願いがないのなら、何を願ったところで後悔するだろう。
いっそのこと、どうでもいいことを願って忘れてしまうのが楽かもしれん。
例えば『今後の人生で、やたらと猫に懐かれるようになりたい』程度の。
あってもなくてもいいが、あれば少し幸福になる程度が平和ではないかな。

この手の話をすると、思い出す寓話がいくつかある。
どれもこれも、降って湧いた大金に狂わされる話だよ。
あればあるだけ良いように思えても、結局、金に振り回されて自分を失う。
これが願い事でも、だいたい似たような結果になるのでは?
まあ、私に限れば、今すぐにでも病を完治させて頂くより他に願うことはないがね。

200 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 03:45
鳥のおじさんは病気なの?
俺の兄ちゃん何年か前に病気でしんじゃったんだ…
強くて優しくて…女にもモテモテの兄ちゃんだったのに…

なんか梅の病気だって先生が言ってたから
鳥のおじさんも梅の病気でしんじゃだめだよ!

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