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■ ■中世ファンタジー世界総合 11■ ■

1 名前:シェンリー ◆LnUU8pic 投稿日:2020/10/25(Sun) 00:41
ファンタジー世界を背景に持つオリキャラの総合スレです。
ファンタジー系のキャラクターを演じて
名無しさんの投下するネタや質問に答えたり、仲間に話題を振って会話をしましょう。

【ルール】
 1. 参加キャラは、このスレッド独自のオリジナルであること。
 2. 参加キャラは、キャラ紹介テンプレを使って自己紹介をすること。(>>2にあります)
 3. 単発系の質問・ネタ投下歓迎。
 4.誹謗中傷などはスルーすること。


【外部サイト】
中世ファンタジー世界総合スレッド避難所
 ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17089/

中世ファンタジー世界総合wiki
 ttps://wikiwiki.jp/medievalftsy/

169 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 12:18
解散した悪の組織の残党が新たなグループを作ろうとしてるらしい

170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 14:52
>>169
アルフ?

171 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 16:10
どうせいつか倒れるのなら、美しく前のめりに倒れたい。それが俺の憧れる生き様

172 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/17(Sun) 22:00
おれは大の字に倒れたいな。


173 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/18(Mon) 03:16
俺昨日武器ショップでカリバーン買ったわ!

174 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/19(Tue) 00:15
大陸南に広がる砂漠地帯は“竜の砂漠”と呼ばれている。
“赤竜峠”に“白竜山地”、“飛竜渓谷”。“黒竜峰”……いや、これはおとぎ話か。
竜の名を冠する地名は大陸各地にあるが、今でも竜が棲んでいるとは限らない。

……ああ、おとぎ話の“黒竜峰”か?
火口付近に狂った黒竜が棲み、永遠に孵らぬ卵を守っているという話だよ。
私の故郷では相当に古い時代から語られているものらしい。
しかし、肝心の黒竜峰がどこにあるのか伝わっていないのさ。

>>166
守護の効力か……ふむ。気になることがあるのだが。
その力は、本当に“赤竜”という種の特性なのだろうか。
同じ種の薬草でも、土地や育て方によって薬効に多少の差が出るものでな。
長命の竜ならば、個体差の幅も広いのではないか……と、ふと思った。

もしも特殊な効力が竜の個性だとしたら……そうだな。
守護の力をもたらす竜には、何か守りたいものがあったのかも知れん。
ありがちだろう? 主の意志や願いが遺品に宿るという話は。
竜は死して鱗を留め、人は死して名を残すという。
鱗を身につけた英雄が歴史に名を刻んだなら、竜の名もまた残るだろうか。
どのように生き、何を願い、死んでいった者だったのか。

……もしも私が鱗を手に入れたら? 無論、薬にするとも。
薬に竜の名を付けて、長い説明書に竜の生き様を物語として添えて売ろう。
ただ効力を謳うより、それらしい物語を添えた方が記憶にも残るものだ。
ついでに私の懐事情にも守護を頂ければ言うことなしなのだが。

>>167
古今東西、竜に魅せられる者は後を絶たんな。貴公もその口か?
虚構か史実かも曖昧な伝承の中で、これまた様々な特徴が語られる。
竜の血は不老長寿を得るという話があれば、逆に猛毒だと語る話もある。
神と崇める地域があれば、魔物と恐れる地域もある。
どちらでもなく、ただの巨大な動物に過ぎぬという地域さえある。

嘘や想像が混ざっているのか、単に個体や種類による差なのか。
私も気になっているのだが、この大陸に竜の棲家はさほど多くないようでな。
探せばいるかも知れんが、通常、道を歩いていて出くわすようなものではない。
竜の数も少なければ竜を倒せる者とて稀。
文献を漁れど先の通り意見はバラバラだ、情報の真贋を見極めるのは困難だ。

――ああ、だが善悪の話については分かるような気がするよ。
人間の語る物語においては、よくある話だからな。
生きている方が役に立つか、強すぎて倒せないなら賢く善良。
死んでもらった方が都合が良ければ、愚かで邪悪ということだ。
語り継ぐのは勝者の権利、都合の良い話にもなるだろうさ。

>>168
ふむ……世界は広いな。…………。
ああ、黙り込んですまない。少し考えていた。
エルフとドワーフは仲が悪いとよく聞くが、子を成すこともあるのか……と。
いや、それ自体には文句のつけようがない。
むしろ種族の不仲を乗り越えて結ばれるのは素晴らしいことだろうさ。

ただ、個人的な事情というものか……。
私はエルフの賢者に面会するため、大陸北西の聖地を目指していたのだが。
その聖地では種族を問わず受け入れ、共に暮らしているという話なのだ。
ないとは思うのだが、その店の在所はもしや、まさかと思ってな……。

……もしも目当ての賢者がそのように働いていたら、私はどうしたものか。
その風変わりな店で注文でもすれば良いのだろうか……。
しかし肝心の内容は「店員と個人的な話をするな」などと断られかねん。
かと言って、退店を待ちかまえているというのも変質者のようで気が引ける。
……運命神に深く祈りでも捧げておくか。
守護の対価に困難を課すにしても、そのような方向性はお許しくださいと。

175 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/19(Tue) 00:16
>>169
その話なら、私にも少しばかり心当たりがある。
少し古い話なのだが、大陸南東に位置する学術大国で事件があった。
非人道的な研究をしていた地下組織が暴走したとか何とか……。
事件の詳しい話までは伝わらなかったが、街はそれらしい噂でもちきりだったよ。

当時、私もその国――フォーマルハウトにいたからな。
ちょうど師と別れて一人旅を始めた頃だったか。
検問もやたらと厳しくなって、どこに行くにも難儀したものだ。

……思えばあの頃のフォーマルハウトは、少しばかり厭な雰囲気だった。
学園都市でおかしな事件が続き、街道にアンデッドが湧く。
北の隣国、魔法大国アヴィオールとの関係は雲行きが怪しい。
海を挟んだ東の隣国、東西の交差路フルドでは内乱が長引く。
大きな戦争でも起きるのではないかと零す者もいたな。

貴公、その情報はどこで耳にした?
私の師は今もあちらの国にお住まいだ。
あるいは全く無関係な別組織かも知れんが、動向には注意しておきたい。

>>170
貴公、何か知っているようだな。人名か、はたまた組織名か……
いずれにせよ、情報を漏らす場所と相手は慎重に選んだほうが賢明だ。
組織の関係者と疑われれば、捕縛されて尋問でも受けかねん。
あるいは、秘密漏洩を恐れた組織の側から消される可能性もある。
巷でもよく言うだろう? “お喋りな奴は早死にする”と。
私もよく言われる。大概、武器など突きつけられてな。

……さて貴公。改めて、私とお話をしようか。
先の客人にも話したが、私はその情報が欲しくてな。
なに、真贋などはこちらで判断するさ。自信がなくとも構わない。
貴公がするのは、知っていることを私に話すことだ。分かったかな?

>>171
そうだな。美しいかどうかはさておき、私もそう思うよ。
倒れたところで命があれば、また幾度でも立つこととなる。
予め倒れる際の心構えをしておけば受け身も取りやすかろう。
立ち上がりやすい姿勢で倒れれば、順調に歩き出せるというものだ。

だが貴公、生き方まで前のめりになってしまうのは少し問題だ。
分かるだろう? 前傾姿勢の時、後ろから押されたらどうなるのか。
追い風にできるような事態でも、簡単に倒されてしまうかも知れん。
前へ前へと急ぐあまり視野が狭まれば、見落とすところも多くなる。
時にはバランスを意識するか、足りないところを人に補ってもらうといい。
一人旅は気楽なものだが、仲間がいれば可能性は相当に広がるからな。

何より、貴公は美しく倒れるのだろう。
いかに美しかろうと、鑑賞者がいなければ面白くなかろうよ。
誰に見られずとも美しく誇り高く、というのも立派な心構えだとは思うがね。

>>172
なるほどな。つまりこう、両手を広げて後ろにばったりと……
……いや貴公、その倒れ方はまずい。
後頭部を強打しかねん。命にかかわるぞ。

さては貴公、相当に疲れているな?
勢いよく寝台に身を投げ出したくなる日は私にもある。
だが、倒れ方にはくれぐれも気をつけたまえよ。
竜殺しの英雄とて、女に刺されたり頭を打ったりすればあっさりと死ぬものだ。
我々のような凡夫ならば尚更だろう。たとえ頭が無事でも腰をやる。

まあ……そうなったらそうなったで別に構わんか。
湿布薬の処方なら私に任せたまえよ。なんなら先に買っておくか?
特に安くはしないが、効果は保証しておこう。

>>173
ああ、歳末大売り出しか? よく売れているらしいな。
その剣を買ったという者を見るのは貴公で三人目だ。
同工房の銘剣、エクスカリバーシリーズに並ぶ人気と聞いた。

私も広場で宣伝をしている様子を目にしたが、あれは見事だったな。
「岩に突き刺しても折れない」とかいう派手な芝居をしていたろう。
流石に本物の岩を使っていたとは思えんが、いかなる細工を施したものか……
いずれにせよ、頑丈さを訴えるには良い演目だったと、皆が認めることだろう。

荒事は冒険者の常だが、扱いが荒ければ剣はあっさり折れる。
得物が駄目になっては、食い扶持どころか命が危うい。
少しばかり切れ味に目を瞑っても、頑丈な剣には需要があるということだな。
なまじ頑丈だと、油断して手入れを怠る者も後が絶たんと聞くがね。
貴公も、剣に対する礼節は持っておきたまえよ。
たかが道具と侮れば、肝心な所で裏切られるかも知れんぞ。

176 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:51
エクスカリバーはカリバーンを聞き間違えた名前だったはずだよ


177 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:55
大の字に倒れたいといったがそれは死ぬ時だ。
前のめりはプライドとして俺は好きではない
使命を果たしてやり遂げた死には大の字だこればかりは譲れない。
ライバルと戦い相打ちでも倒れるときは大の字だな

178 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/20(Wed) 17:59
いや、毒ガスばらまいて集団殺人を行ったとある宗教団体が逃げるように設立したのがアルフだあったからな。
元の宗教関係者は全員死刑になってるから俺が追われる可能性はない

179 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/21(Thu) 00:56
馬車が通るぞどけどけー!!

180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/21(Thu) 17:59
メンタルの弱さは、フィジカルの強さでカバーするつもりだ

181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 00:07
せめて戦士として一旗揚げてからじゃないと恥ずかしくて田舎に帰れないんス!

182 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/23(Sat) 01:46
霧は異界へ通じているという。
我々の頭の中にも、それぞれの異界へと通じる霧が充満しているのかもな。
……ああ、喩え話だよ。頭蓋の内側ならば見たことがある。

>>176
伝説は人から人へ、口から口へと伝わるうちに変化を重ねていくものだからな。
同じ名でも、語られる場によって異なる姿を取るのは珍しいことではないさ。
あるいは私の知る武器屋か工房の方が、聞いた話を元にして剣を作ったのか。
量産品でも、伝説にあやかって立派な名を付けるというのはよくある話だろう?

世界は広く、語られる伝説、物語は星の数ほどある。
だが、私はこの“アルデバラン”と呼ばれる大陸から出たことがない。
大陸の外には、私には想像すらつかぬものが多くあるのだろう。
貴公も同様に、この大陸や近隣の文化を殆ど知らぬのではないかな。
知りたいことがあれば聞いてほしい。私の知る範囲で答えよう。
そもそも本来、ここはそういう場だ。

……だが、知らぬ話については語りようがない。
私は今後も私の知識に基づいた話のみをするし、それしかしない。
貴公にとって、私の言葉は的外れなものと感じられることが多いのだろうな。
それを逐一訂正されたとて、私の見ている世界は何一つ変わらんのだが。

>>177
そうか。素晴らしいな。よく分かった。
確固たる信念を持つ者に自説を述べたところでさしたる意味はない。
ましてや茶化そうなどと考えては無礼というものだ。
だが、場合によって意図的に曲解したり、関連性を無視したりするのが私の性分でな。
貴公とは相性が悪いのだろう。口を噤むことが適切な対応なのかも知れん。

>>178
そうか。近隣諸国でそのような大事件は聞いたことがない。無関係か。
貴公にとっては、遠方の地でさえ想起するほど印象深いものだったのだろう。
これ以上は追求すまい。語られたとて、私には理解しかねることと思う。
私は何も知らぬ立場の者。安易に語るのは犠牲者への冒涜に他ならん。
非礼を詫び、ただ哀悼の意を表明させて頂くのみとしよう。

183 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/23(Sat) 01:49
>>179
ああ、貴公らほど勤勉な者の道を妨げては天罰が下るだろうさ。
大変な仕事なのは見ていて十分によく分かるとも。
どこの世界でも、上司や雇い主が横暴だと下は苦労するものだ。
この寒い中、頭が下がるよ。道中くれぐれも気をつけて。

……おや。何か言いたげな顔がちらほら見えるな。
私の発言がらしくない? また体調でも悪いのかって? まさか。
私は常日頃から、勤労者を非常に尊敬しているよ。
礼節を弁えぬ猿の檻を引く仕事など、私だったら絶対にお断りだ。
なぜか運搬されている猿の方から返事を頂くことが多いのだがね。

しかし、ああ急いで何を為そうというものか……。
あの馬車の来た方向は……ふむ、貴族街だったか。
貴族家の紋章らしきものは見えなかったが、商人の様子とも思えん。
微妙な違和感はあるが、何かが起きているとも言い難い。
いっそ本当に馬と会話ができたなら、詳しい事情も伺えたのだがな。

>>180
貴公、良い心がけだな。素直にそう思う。
己の精神の強さ弱さを判別できる者は稀だ。
明確な基準を設けられるようなものでもなく、把握は極めて難しい。
ならば鍛えやすい方を鍛えるのも合理的な判断というわけだな。

だが、身体を鍛えるうちに勘違いしてしまう者も多い。
肉体の屈強さを粗暴な形で誇示したがる馬鹿――失礼、口が滑った。
精神の弱さを力で克服したと思い込む乱暴者は珍しくなかろう。
貴公がそのような存在になってしまわぬよう願っているよ。
すなわち、自らの持つ強さ弱さで何を為したいのか忘れぬように。

もう一つ助言をするのなら、鍛えられずとも手入れはしておくことだな。
精神も肉体も、貴公の持ちうる替えのきかぬ道具。
まるで使わねば衰えゆき、誤った扱いをすれば歪み、酷使すれば壊れる。
適切な手入れの具合を知るにも、自らと向き合うことは避けられんのだろうな。
あるいは、そうして自分と向き合い続けることこそが最も辛いのかも知れん。

>>181
貴公、随分と励んでいるようだな。
一旗揚げるほどでなくとも、よく働くと評判だ。
冒険者などという稼業では、まず不運な者が命を落とす。
次いで、思慮や経験の足りぬ者、人の善い者が続くと言う。
冥府の女神殿は常に我々を品定めしておいでだ。気をつけたまえよ。

田舎か……。
帰れる立場なら、帰れるうちに……と考えるのは、こちらの勝手な感傷か。
なまじ受け入れられてしまえばこそ、決心が鈍ると思えば帰れぬものかも知れん。
だが、せめて手紙ぐらいは書いてやっても良いのではないかな。
実際に送るかどうかはともかく、文字にすれば気持ちの整理もつく。
背負った過去も抱いた感情もどうにもならんが、紙なら捨て去るのも簡単だ。

まあ、私とて人のことは言えぬ身の上だ。あまり深入りはすまい。
元より面倒な立場の人間が面倒な病に罹ったら、この上なく面倒な事態になった。
そんな訳で、この厄介な病を治さぬうちは、故郷に帰ることが叶わんのさ。
うっかり帰ったら父か弟か、もしかすると妹に斬られてしまうかも知れん。

184 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 15:03
カタールってかっこいいですよね!

185 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/23(Sat) 22:05
俺が無口なのには理由がある…………
人間の正体は言っている事ではなく、やっていることだ……
だから、俺は行動で全てを示そうとしているのだ……

186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/24(Sun) 06:54
この辺にもクリスマスみたいな風習ってあるの?

187 名前: 投稿日:2023/12/24(Sun) 19:15
お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!

188 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/26(Tue) 01:16

「リーミルンの森の奥には聖夜の間にしか咲かない花があるらしいです」
「その花を煎じて飲めば、どんな病気でも治るって婆ちゃんが言ってました」
「でも、森には魔獣が棲みついてて、採りに行く人もいなくなったって……」

 ――この情報は、貧民街の調査を続けて得た、数少ない収穫の一つだった。

 一年の終わりにかけての数日間は、正教において非常に重要な祝祭だ。
 聖夜祭、生誕祭、降誕祭、降臨祭……様々な呼び名があるが、示すところは同じ。
 現人神アルカンフエルが降り立ち、奇跡を起こした神話に由来する祭である。

 ……だが、我々のような流れ者が、祝祭日をこまめに祝えるわけもない。
 街の人々が盛大に聖夜を祝う頃、私は森の中で焚き火を囲んでいた。
 連れ合いは若い冒険者(>>184)、寡黙な狩人(>>185)、異国の戦士(>>186)の三人だ。
 魔獣の討伐任務を請けた三人に、目的地の近い私が同行を願い出た形になる。

>>184

>「カタールってかっこいいですよね!」

 偵察から戻るなり、若い冒険者がそんなことを口にした。
 同行している異国の戦士が微笑み、自らの得物を自慢げに掲げて見せる。
 どうやら、彼女の持つ風変わりな武器をカタールというらしい。

「ありがとう。これね、私の故郷だとジャマダハルって呼ぶんだよ。
 この辺の人、なんかみんなコレのことカタールって呼ぶよねえ。
 カタールはカタールで別のがあるから、ややこしくってさあ……」

 皆がそう呼ぶのなら、かつてそう伝えたものがいたのだろう。
 拳を突き出すように扱う独特の戦技は、剣術というより近接格闘術に近い。
 とにかく素早く、刃の軌道が読みづらい。
 仮に読めたところで、その速さに対応するのは至難の業だ。
 使い手の珍しさも相俟って、確かに魅力的な武器だった。

 異国の戦士と武器談義を交わすうち、夜も更けた。

>>185

 ――ところで、その武器談義に全く加わることのなかった者もいる。
 彼は仮眠から覚めた後、黙々と自ら仕留めた雉の羽根をむしっていた。
 我々が愉快なお喋りに興じている間も、羽根をむしり、捌き、下処理を施す。
 気付いた時には、野営としては妙に豪勢な串焼き肉が出来上がっていた。

「なんか一人でやらせてしまってすみません」
「言ってくれれば手伝ったのに」

 我々が口々に声をかけると、狩人は静かに首を横に振った。

>「俺が無口なのには理由がある…………」
>「人間の正体は言っている事ではなく、やっていることだ……」
>「だから、俺は行動で全てを示そうとしているのだ……」

「なるほど。私と貴公は似た者同士のようだな」

 私がそう言うと、たちまち「お前は何を言っているんだ」と野次が飛んだ。

「私も初対面の相手には必ず『善良だ』と名乗るのだが、
 本当に善良な人物だと信じて頂くのは非常に時間がかかるよ」

 つまるところ、中身のないお喋りと何も言わないのとはあまり違いがない。
 善良な者は食い物にされる。弱者も同じく、利用されて捨てられるばかりだ。
 その両方が揃えば、それはもうご自由に搾取してくださいと掲げるようなものだ。
 私が善良であることは、ある程度の付き合いを経た相手だけが理解すればいい。
 彼の寡黙も私と同じく、経験と人生哲学に基づいたものなのだろう。

 それはそれとして、言ってくれれば手伝いぐらいはしたのに、と私も思った。

189 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/26(Tue) 01:17
>>186

 食事の後は数時間おきに交代しながら、周囲の警戒と仮眠を行う。
 一人の野営は危険極まりないが、数人いればこの通り安心だ。

>「この辺にもクリスマスみたいな風習ってあるの?」

 火の様子を見ていた異国の戦士が、不意にそんなことを口にした。
 彼女の祖国では、この日をクリスマスと呼んで祝うらしい。
 遥か異国の地でも祝祭日とは、偶然なのか、何らかの意味があるのか。

「25日はアルカンフエルが生まれた日だって聞きましたよ」
「諸説あるな。この大陸に降り立ち、悪魔を撃退して平和を取り戻した日とも」
「その聖なる戦いの日々が聖夜祭の期間で、勝利した日を年の初めと定めたという……」
「私の故郷ではその説だった。だが近隣では神聖帝国を興した日だという説も……」
「君らの国のお祭り、諸説ありすぎでしょ」

 致し方あるまい。なにぶん古い話である。数千年だ。古すぎる。
 人の頭では、たかが十数年前の出来事でさえ記憶が曖昧になるというのに。
 その数千年の間に、神話も記録も相次ぐ戦乱で失われ、隠匿され、歪められた。
 その間ずっと生きていたエルフなら、と改めて思う。
 たとえ覚えていなかったとしても、記録さえ残っていれば――

 そう考えた時、近くの茂みが大きな音を立てた。

>>187

 皆、一斉に武器をとる。
 仮眠をとっていた狩人もすぐさま得物を手に構えた。
 茂みの奥から姿を表したのは――見覚えのある少女だった。

「その女は魔女なのよ。お兄ちゃん、騙されないで」

 少女はそう囁きながら、まっすぐに異国の戦士を指さす。
 懐かしい姿に、懐かしい声。見間違えるはずもない。
 その少女は、十年以上前に別れたきりの、妹の姿をしていた。

「……悪くはないが、命をくれてやれるほど見事な余興でもないな」

 最後に会った時、妹は十歳ぐらいだったか。もう少し小さかったか。
 いずれにせよ、本物の妹はもう大人になっている。
 結婚どころか、子持ちでもおかしくないような歳である。

 仲間たちの様子を伺う。
 皆、呆然と少女を眺めているように見えるが、視線の向きが少しずつ違う。
 それぞれに馴染み深い相手の幻覚を見せられているのだろう。
 言われている内容も違うのだろうが、まあ大体の想像はつく。
 あまり嬉しい経験ではないが、私は幻覚にも幻聴にも慣れている。
 武器を構えると、妹の姿をしたものは叫んだ。

>「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」

 私が少女の首の血管の位置を裂くと、霧が晴れるようにして幻はかき消えた。
 同時に、仲間たちも正気に戻ったようだった。

 ……後に残った魔獣?
 ああ、幻覚さえ解いてしまえばそう特別なこともなかったよ。
 皆でさっさと片付けて終わりだ。


 こうしてリーミルンの森の魔獣は討伐され、後は薬草探しの仕事だけが残った。
 薬草を探す様子など、語ったところでそう面白い話でもないだろう?
 何か話せることがあったしても、報告は街に帰ってからになるだろうな。
 雪や道の様子によっては、帰る頃には年が明けているかも知れないが。

 そういうわけだ。よい祝日、よい年を。

190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/26(Tue) 22:56
獣と言えば赤錆は今頃どうしてるかのう…赤ずきんちゃんと小鳥ちゃんが揃ったら殺伐メルヘン珍道中になりそうでちょっと期待しとったんじゃが

191 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/27(Wed) 16:32
氷使いであることを嘆かざるをえないのがこの季節ですよ…

192 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/28(Thu) 20:13
釣りをしてたら巨大なクラーケンを釣り上げてしまって驚きましたよははは

193 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/28(Thu) 23:37
赤錆の野郎が赤い頭巾を被ってるなんて聞いたこと無いぞ!

でも絶対汚れと血と錆で赤黒いぞ!間違いなく赤頭巾ちゃんだぞ!

194 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 00:37
自分の顔を捨てどんな顔にでもなれる能力
ついに身に付けたのさ
過去を捨てたからこそ…な

195 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 07:14
なんでも願い事が叶うとしたら何を願うべきだろう?

196 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/29(Fri) 13:58
「ありがとう。これね、私の故郷だとジャマダハルって呼ぶんだよ。
 この辺の人、なんかみんなコレのことカタールって呼ぶよねえ。
 カタールはカタールで別のがあるから、ややこしくってさあ……」
間違って伝わってしまったからである。


197 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/29(Fri) 21:09
今年の問題は今年のうちに片付けておきたい。
……ということで、予定外だが少々失礼。後日、改めてまた来る。

>>196
貴公が博識であること、人に物を教えたい意欲が強いことは非常によく伝わった。
だが、残念ながらその知識は場違いな上、やり方にも問題がある。

貴公の故郷の知識はここでは役に立たず、求められてもいない。
加えて、名乗りもあげずに話に割り込むのは、近隣の文化では無礼な行いだ。
終わらせた話を長々と繰り返そうとすることも同様にな。
どうしても自身の知っている話をしたいのなら、相応の場を設けるべきだろう。

大事な話なのでもう一度言う。

・貴公が何か知っていると感じても、それはこの場で通用する知識ではない
・他の客人の言葉や私の返答に対して、横から口を出したり、訂正したりしないでほしい

私から貴公に申し上げられることは以上だ。
言葉を重ねることではなく、行動にて理解を示されるよう願う。

198 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/31(Sun) 00:28
今年はどうにか、街で年を越せそうだな。

“万病を癒す薬草”……そのような植物の伝説は、思いのほか各地にある。
大概は険しい山や森の奥、入手困難な地でのみ育つもののようだ。
実際のところ、物珍しさや美しさから薬草扱いされているだけのことも多い。
中には有用な薬効を持つものもあるが……。

……今回?
さあな。今のところ、目立った変化はないとだけ言っておこうか。
良くも悪くもいつも通りだ。……なに、毎度こんなものだよ。

>>190
貴公もなかなか人が悪いようだ。
いかにも可愛らしい“赤ずきんちゃんと小鳥ちゃん”という表現で
http://www.10ch.tv/bbs_img/img-box/img20231230233904.jpg
このような想像をさせておいて、実際に出てくるのは
http://www.10ch.tv/bbs_img/img-box/img20231230233923.jpg
ご覧の有様なのだからな。

場合によっては詐欺罪で覚悟の準備を強いられるぞ。
ああ、赤ずきんに関しては面識がないので評判を聞いての想像だよ。
殺伐としているのだろう? ……ふむ、何か間違えたかな。
まあいい。あまりに違っていれば、訂正のために出てくるかも知れん。

珍道中に関しては、私としても望むところなのだが……こればかりはな。
歩む速度が異なれば、共に行くのは厳しいものだ。
残念ながら、私も人に合わせるのが上手い性質ではない。
互いの道が交わることがあるのなら、どこかで会うかも知れないが。

いずれにせよ、私とアルデバランの大地はいつでも旅人を歓迎するだろう。
懐かしい顔も、新たな顔も喜ばしいものだ。
長く滞在することはもちろん、一時的な帰還や来訪もな。
それまでは小鳥の囀りに耳を傾けて頂こうか。
多少、物足りない思いをさせてしまうかも知れないがね。

>>191
ほう、氷使いか。……それは、この季節……色々あるな。
何事にも良い面と悪い面がある。今回は良い面から話そうか。

地、水、火、風――自然の力を借りて行使する魔法は、
その力の多く存在する場所では強力になるというような話を聞いたことがある。
貴公もそうなら、今の時期こそ最も活躍できるのではないかな。

さて、お待ちかねの悪い面だ。
これは、力が強くなりすぎて制御が難しくなるという点だろうな。
よくある話だよ。魔物を氷漬けにしようとして、
前線で戦っていた仲間ごと凍らせてしまったというのは。
その様子だと、貴公も似たようなことをしでかしたか。

まあ、誰にでも失敗はある。そう気に病むものではないさ。
気晴らしに少し散歩でもしてきてはいかがかな。
こんな辺鄙な場所では、見るものもないが――いや、あれがあったか。
実は向こうの平原に、素晴らしい氷像が設置されていてな。
なぜこんなところにあるのかは分からないが、実にいいものを見た。
おそらく名のある職人の作だろう。まるで生きているような躍動感だったよ。

>>192
雑談をしていたらクラーケンを釣り上げた豪傑が現れて驚いたよハハハ。
釣りでクラーケンといえば、こんな話を聞いたことがある。

とある山沿いの田舎町で、小さな洞窟が見つかったのだという。
洞窟の中には湧き水があり、釣りをすると目のない魚がよく釣れた。
見た目こそ不気味だが味はたいそう良く、町人は好んで食したそうだ。

――ある時、その湧き水の中に、何かキラキラと輝くものが見えた。
金貨でも沈んでいるのかも知れぬと、泳ぎに自信のある老人が潜ったが……
町人たちがいくら待てども、老人の腰に結んだ縄が飲み込まれていくばかり。
呼び戻した方が良いのではないかと話し始めた頃、猛烈な勢いで縄が引かれた。
やがて岩に括り付けた縄が凄まじい力で引き千切られた。
老人は戻らなかった。

その時、湧き水の中に触手がうねるのを見たと証言した町人が何人かいたそうだ。
そのうち一人は完全に恐慌を来たしてしまったようでな。
あのキラキラと輝くものは、金貨などではなく巨大な瞳だったのだと言った。
釣りをしていたのは自分たちではなく、怪物のほうだったのだ……と。

……しかし、貴公ほどの者にこのような話をしても脅かしにもならんな。
喰らい合えば強い方が生き残る。結局、それが自然の摂理というものだ。

199 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2023/12/31(Sun) 00:29
>>193
貴公、そんなことを言ったら私が小鳥ちゃんだったのは大昔の話だぞ。
だが小鳥ちゃんなる呼称を否定はすまい。
今なお“ジャックドウ”などと名乗るからには……と、言っても伝わらんか。
この付近の言葉だと何と呼ぶのだろうな、あの鳥は。ル・シュカ?

話を戻そうか。件の御仁は――なるほど。
元の意匠はともかく、とりあえず赤っぽく染まってはいる、と……。
なんとも末法めいた雰囲気の赤ずきんちゃんだな。
……いや、待てよ? 赤黒い頭巾、神出鬼没、殺伐とした……まさか……。

……貴公。少々、荒唐無稽な話になるのだが。
こちらで聞いた複数の情報を繋ぎ合わせるうち、私は一つの想像に至った。
聞いたことがあるのだ。東の果ての、恐ろしい怪人の物語を。
死地より蘇り、復讐の炎を胸に各地に姿を現す殺戮者……。
もしかすると、赤錆の正体は……ニン……

……いや、これ以上はやめておこう。あまり滅多なことを言うものではない。
すまないが、今のは忘れてくれたまえよ。いいね?

>>194
ほう? それで、そんな顔をしているのか。……なるほどな。
貴公は過去も顔も捨て、今と未来しかないというわけだ。
その割には、まっさらな気持ちで生きているようには見えんがね。

私はあいにく、貴公とは逆の立場だ。
確かに今は、この鳥の面こそが私の顔のようなものだが……
この下にある顔も過去も、何一つ捨てるつもりはない。
いつか自然に薄れて消えるかも知れんが、それでも抱えているだろう。
わざわざ他の顔になりたいとも思わんな。捨てるには惜しい。
今は鳥の面しかお見せできず非常に残念だが、こちらも男前だろう?

――なあ貴公、一つ聞かせてほしいのだが。
顔を失くし、過去を失くして、それから鏡をじっくりと見たことはあるか?
気を悪くさせたら謝るが、迷子になった幼児のような顔に見えたものでな。
せっかく生まれ直したのだ、いっそ派手に泣き声ぐらい上げてみてはどうかな。
記憶にこびりついた過去の残滓も、案外すっきりと洗い流せるかも知れんぞ。

>>195
こうするべき、などというものはないさ。
自らの望むこと、欲するものを存分に願いたまえよ。
際限なく願いが叶うのなら、それこそ神にでもなったようなものだ。
神が人の機嫌や都合など伺うものではないだろう?
何をしようと、人は人の方で勝手にそれらしい理由を見出すものだ。

だが、叶う願い事がたった一つに限られるのなら……そうだな。
強く叶えたい願いがないのなら、何を願ったところで後悔するだろう。
いっそのこと、どうでもいいことを願って忘れてしまうのが楽かもしれん。
例えば『今後の人生で、やたらと猫に懐かれるようになりたい』程度の。
あってもなくてもいいが、あれば少し幸福になる程度が平和ではないかな。

この手の話をすると、思い出す寓話がいくつかある。
どれもこれも、降って湧いた大金に狂わされる話だよ。
あればあるだけ良いように思えても、結局、金に振り回されて自分を失う。
これが願い事でも、だいたい似たような結果になるのでは?
まあ、私に限れば、今すぐにでも病を完治させて頂くより他に願うことはないがね。

200 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 03:45
鳥のおじさんは病気なの?
俺の兄ちゃん何年か前に病気でしんじゃったんだ…
強くて優しくて…女にもモテモテの兄ちゃんだったのに…

なんか梅の病気だって先生が言ってたから
鳥のおじさんも梅の病気でしんじゃだめだよ!

201 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 07:24
刀ってなんていえばいいんだ?


202 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2023/12/31(Sun) 08:29
さすがに一人でクラーケンを食べきるのは無理なんで、みんなにお裾分けだ

203 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/03(Wed) 13:40
日本刀はシャムシャールで通用する


204 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/03(Wed) 13:49
大量のゾンビを相手にしたせいで鼻がおかしくなっちまったんだが

205 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/03(Wed) 16:06
霧の町と呼ばれる場所では年中濃い霧が晴れることはない
それを払う力の持ち主がいればな…

206 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/05(Fri) 00:24
新年。新たなことを始めるには良い時期だな。
そろそろ私もこの街から離れるとしよう。
名残り惜しいが、目的の為には旅を続けなくてはならん。

>>200
そうだな。もう患ってから随分と長く経つよ。
心配ありがとう。だが、私のことなら何も気にしなくていい。

冥府の精霊たちは仕事熱心だが、しばしば仕事に私情を挟む。
気に入った相手に印をつけて、予定よりも早く連れて行ってしまうそうだ。
多くを愛し、多く愛された者ほど冥府の印をつけられやすい。
そして、印のある者を愛してはならないとも言われるな。
精霊の嫉妬を受けて、その者も冥府に早く連れて行かれてしまうのだとか。
……どんな印か? 大陸各地で身近な果実に例えられる、とだけ言おうか。

貴公の兄君は、たいそう魅力的な方だったようだ。
きっと今では精霊の寵愛のもと、冥府で穏やかに暮らしていることと思う。
現世に遺された身からすれば、身近な人を喪うのは辛いことだが……
今は貴公の健やかな成長を願って、この話は終わりにしようか。

>>201
カタナか? さほど詳しくないが、異邦……遠東の剣だったか。
そちらの出身者がいれば、細やかな名称の違いなど教えられたのだろうかね。
だが残念ながら、あいにく今は平凡な薬師が一人だ。
全知全能の神でもなく、大図書館の知恵を修めた賢者でもなく。

……ふむ。少し考えねばならんかな。
『キモノは?』『スシは?』『ラデンカザリノツルギは?』
……という風に、単語や物品一つ一つを細かに確認されたらどうしたものかと。
それほど詳しく聞くのなら、何か目的があるのだろうが――察しはつくよ。
その熱意。大陸共用語の辞書でも編むのだろう?

そのような大仕事ともなると、私より学術ギルドに頼るのが適切だな。
私に負けず劣らず話の長い連中だが、色々と知っているのは確かだよ。
ものによっては、語源や古代の用法まで教えて頂けるかも知れん。
まあ、講義の受講料を求められる可能性もあるがね。
行くのなら、金は多めに用意しておきたまえよ。

>>202
ほう、これが悪名高き海魔の……、……貴公。一ついいか。
何やら物凄い匂いがするのだが、これは本当に食えるものなのか?
私でも分かる程の匂いとなると、貴公らにとっては相当だろう……。
食中毒者が出る程度なら、私も薬が売れて結構なのだが。

……加工次第でいけるのか。まあ貴公ほどの者がそう言うなら……
……いや待て、一応、念の為に穢れを祓わせてほしい。祈祷する。
祈祷が終わったら、貧民街の連中に振る舞おうか。
祝祭日でも、ろくに腹を満たせなかった者が多くいるからな。
これほどの量があれば、当分は彼らが飢えることもないだろう。

……。
いや、なんでもない。

・・・・・

 クラーケンパーティは盛況だった。
 最初こそ凄まじい悪臭で顰蹙を買ったが、食えるとなれば話は別だ。

 亜人、異教徒、異邦人、異端者――貧民街の住人たちの顔ぶれは多様である。
 彼らに様々な加工を施された海魔もまた、異国情緒溢れる料理に姿を変えた。
 貧民街では賑やかな新年祭など無縁だったが、この年のみは違ったというわけだ。

 一方。私は先ほど思いついた言葉――
 『仮に食って死んだとしても、それはそれで飢えることはなくなるからな』
 ――などという冗談を口にしなくて良かったと、心の底から思っていた。

 今の私がこの街で集められそうな情報は一通り集めた。
 貧民街の患者たちも快方に向かい、最後に宴にも参加した。
 気持ち良く街を去ろうというのに、そんな言葉を残しては後味が悪くなる。
 私は記念に海魔の塩漬けを一切れ頂戴して、滞在していた宿を引き払った。

207 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/05(Fri) 00:25
おや、何だ貴公。永劫の別れでもあるまいに。
……ああ、確かに少しばかり紛らわしい言い方になっていたか?
誤解を与えたなら謝ろう。私は今後も旅をしながら話を続けるよ。
貴公らも、気が向いた時に話していってくれると嬉しい。

>>204
大量のゾンビ……ああ、先ほど上がっていた煙はそれか?
気になることは色々とあるが、まずは治療だな。
悪臭に触れすぎたのならば、清浄な空気を吸わせるべきだろう。
私にできる処方といえば……ポマンダーがまだ残っているか。
薬の調合をしてもいいが、今からだと少し時間がかかるぞ。
……まあ、私は構わんがね。調合しながら話せばいいか。

――実は私も先ほど、海魔の調理に付き合って鼻がおかしくなったところでな。
この鳥の面は本来、そのような悪い空気を防ぐためにあるのだが……
ほら、嘴からいい香りがするだろう? 香料を詰めてある。
……いや、失礼。ちょうど鼻がおかしくなっていたのだったか。
まあ対策しても、あまりに凄まじいとさすがに貫通するというわけだな。……

……それで、貴公が相手どったのは大量のゾンビだったか。
魔物が活発化して久しいが、中でもアンデッドは妙に増えていると近年……

……おや、どうした。貴公、居心地が悪そうだな。
当ててやろうか。時間経過で、何もせずとも鼻の調子が戻ったのだろう。
金払いの悪い客には慣れている。そんなところだろうと思ったよ。
だが先に話した通り、アンデッドは増えている。出会う機会も多かろう。
私としては、お守り代わりに一つ買っておくことをおすすめするがね。

>>205
尋常に考えれば、濃霧を払うには強風だが……
年中絶えずともなると、水際か盆地にしてもただの霧ではなさそうか。
……先日まで滞在していた街でも、妙な霧に行きあった。

貴公、その町がいつから霧に覆われるようになったか分かるか?
霧の町と呼ばれるほどだ、ごく最近からということはなかろう。
しかし、もしもその霧がある時から急に発生したものなら……

そうだな……町の古い建物はどんな色だった?
我が師の住まいは、湖と山に挟まれた町でな。立地上、霧が多い。
師のお宅で世話になっていた時も、よく霧に困らされたよ。
だが、霧の濃い日でも道に迷うことはさほど多くなかった。
建物が軒並み色鮮やかに塗られていたお陰で、霧の中でも見やすいのさ。
古くから霧の深い土地なら、住民も自然と生活の知恵を身につけるものだ。

……色々と語ったが、実際のところ私に霧を払うほどの力はないだろう。
妙な霧に遭遇した折も、払うどころか結構な勢いで体調を崩してしまってな。
いや、しかし……持病が反応するのなら、あるいは原因と何かしらの関係が……

……ふむ。ひとまず、その霧の町がどこにあるか教えて頂けないか。
私自身には何もできずとも、知っておけば伝えることはできるだろう。
大陸に広く伝われば、いずれ解決に至る芽も出るかも知れん。

208 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/05(Fri) 23:41
次の目的地は決まってるのかい?

209 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/06(Sat) 20:13
鍛えてるから寒くたって軽装でぜんぜん平気なんだぜ

210 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/08(Mon) 02:09
私は今でこそ勤勉だが、子供の頃は違ってな。
屋内で座学に励むより、外で棒切れを振り回すのを好む類の子供だった。
いざ旅暮らしとなってからは後悔したよ。
歴史も地理も、学んだ記憶はあれど、肝心の内容をろくに覚えていないのだから。
教師の話は退屈この上なかったが、もう少し真面目に耳を傾けるべきだった。

>>208
近場の村落を巡りつつ、北へ向かう予定だ。
大目標は北西、聖地と呼ばれる土地なのだが……まだ距離もある。
もうしばらくは情報収集と補給を兼ねて転々とするだろう。
旅ガラスには相応しい生活というわけだな。

……とはいえ、ピクニック気分で楽しくお散歩というわけにも行くまい。
賊に魔物に野生動物――お馴染みの愉快な連中に加えて、寒さも命を取りに来る。
悪路は歩みを鈍らせ、積雪は足元の危険を覆い隠し、吹雪けば道標さえ見失う。
旅程と天候に十分な注意を払わねば、瞬く間に冥府の住人の仲間入りだ。

地図を見る限り、次の村までの距離は……だいたい三日程度か。
昼間に行きあった男は、一日もかからぬ距離に村があるとか言っていたが……
いくら健脚だとしても少しばかり無理があるな、これは。別の村か。
……ふむ。地図に載らぬ村など、さほど珍しいものでもないか……?
ひとまず、次はそちらに向かってみるとしよう。

>>209
貴公のような者がいてくれると実に頼もしい。
その鍛え上げた肉体なら、薪をこしらえるのも朝飯前だろう?
一方、私は脆弱な病人の身。斧を振るうなど耐え難い重労働でな。
ここは一つ、助け合いの精神を発揮してくれたまえよ。

しかし、一体どのような鍛え方をしたらそうなれるのか。実に羨ましい。
私は寒さが苦手でな……病もあるが、南方の出のせいもあるか。
できることなら、この時期は暖炉や焚き火の前から一歩たりとも動きたくない。
街に滞在する時も、なかなかベッドから出られなくて難儀したものだ。

では暑さが得意なのかと言われれば、特にそういうこともないのだがな。
厚着が必要な都合上、蒸し暑いのは特に苦手でな。すぐに気分が悪くなる。
我ながら不甲斐なさに気も狂わんばかりだが、大変か弱い生き物なのさ。

――だが、そのぶん助け合いの精神は潤沢に持ちあわせている。
疲れたろう。疲労回復によく効く薬を安くするよ。
貴公ほどの者ならば、大抵の相手は敵ではなかろう。
鍛える時も、戦い続ける必要がある時も、疲労こそが最大の敵というわけだ。

211 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/08(Mon) 11:34
俺の相棒はドラゴンだ
ドラゴンとしては小さいが、俺が背中に乗るには十分さ

212 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/09(Tue) 21:29
オレは悪の魔法使いッ!性転換魔法で冒険者共を慌てさせるのが趣味ッ!
最近美少女不足なんだよ食らえオラーッ!!

213 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/10(Wed) 23:42
皮肉にも俺の故郷はマフィアの支配下に置かれたせいでチンピラ共の悪行が減った
これは良いことなのか?

214 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/12(Fri) 00:22
この時期は軟膏の需要が高まるな。
貴公も、皮膚がひび割れる前に一つ買っていくといい。
血の滲む努力は修練に付き物だが、実戦で手指が血まみれでは困るだろう。
手が滑る。握力が弱まる。武器を振るう精度が落ちる。ろくなことがない。
身体や道具の適切な手入れも、戦いのうちと言うことだ。

>>211
ほう、騎竜とは! 実に興味深いな!
貴公、相棒殿を見せて頂いても構わないか? 少しでいい。
鞍はやはり特注か? 餌や体調管理などはどのように……

……ああ、失礼。興奮しすぎたか。
冒険譚が好きなものでな、つい心が踊ってしまった。
竜を駆り世界を巡る旅人など、まさに物語の英雄そのものだろう?
各地の旅の話や相棒殿との出会いなど、是非とも聞かせてほしい。

実に羨ましいが、相応の苦労もあることとお察しするよ。
小型とは言え竜では、宿に泊まる際、厩に繋ぐこともできまい。
大きさの問題もあるが、何より家畜どもがひどく怯えるだろうからな。

騎竜の文化が根付いた地方ならば、専用の厩舎でもあるのだろうか。
飼育環境さえ整えられれば、竜専用の牧場すら作れる可能性はあるのか……。
夢が広がるな。いずれ私も、そのような土地まで旅をしてみたいものだ。

>>212
初めまして。自首したまえ。まだ微罪で済む。
どうにも才能ある者は奇人が多いな。此度は誰を餌食に――
――は? 待て、私か? おい……人選ミスにも程があるぞ!
美少女を望むならせめて顔の見えている奴にやるべきだろうが!

…………。
いや、実に予想外だったな。
貴公、見境がないのか趣味が特殊なのかどちらだ?
良かったな。美少女(27歳/鳥仮面)の降臨だぞ。満足かね。
はいはい。お望み通り、この仮面の下で慌てふためき、赤面して涙目だよ。
お見せできずに非常に残念……、趣味が特殊な方か貴公。喜びすぎだろう。

だが……ふむ。まあ確かに、滅多にない経験ではある。
そんなに喜ぶのなら、少しばかりサービスしてやろうか。
なに、そう大したことではないさ。私は人を寝かしつけるのが得意でね。
皆、赤子のようによく眠る。試してみたいのなら、ついて来たまえ。

……簡単だよ。コツがある。こうして血を抜いてやるだけでいい。
安心なさい、血はちゃんと止めておく。その分の治療費も徴収するがね。
もしかしたら少し痛い思いをさせたかも知れないが、それは我慢したまえ。
普段と身体の勝手が違うのは貴公のせいなのだからな……では、おやすみ。

215 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/12(Fri) 00:23
……ああ、しまった。
先程の変態、魔法を解かせてから昏倒させるべきだったな……。
この手の魔法は、時間経過で自然に解けるとは思うが……
仕方ない。今日のところはこのまま過ごすとするかね。
……気を抜くと裾を踏みかねん。しばらく歩行に難儀するな、これは。

>>213
一時的には良くとも、長期的には望ましくない……とでも言っておくかね。
善悪、白黒。明確に分けられることは、世の中そう多くない。

悪行が横行していた時点で、その土地の秩序は崩壊していたのだろう。
領主や官憲の力も相当に弱いか、あるいは腐敗しきっているか。
その状況に、暴力組織が新たなる秩序を築いたことは否定できん。
……だが、暴力は獣の法だ。均衡を保つようにはできていない。

組織が強いうちは良いだろう。その強さで支配できている間は。
では組織が衰えればどうなる? 頭が急死でもしたら?
円満に次の世代に移行して、仲良く手と手を取りあうのかね?

まあ、あくまで想像の話だよ。私は斯様な組織とは縁がない。
だが、権力を巡る争いというものは……どこにでもあるものだ。
身内で暗殺だの陰謀だの、全く、うんざりさせられる……。
……ああ、すまない。少し私情が混ざったな……忘れてくれ。

216 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/12(Fri) 16:09
いくら心頭滅却したって、精神はどうか知らんが体は耐えられるはずないよなー!

217 名前:ジャックドウ ◆doc.fPD. 投稿日:2024/01/13(Sat) 00:32
村でも街でも、よく眠れないと訴える患者は多い。
詳しく話を聞いて、患者に合わせた睡眠薬の処方を行うのだが……
部屋で薬草を磨り潰したり、煮たり、量を測ったりと作業をするだろう?
すると、音を聴いているうち眠くなってしまったという者がやけに多いのさ。

……自室ならともかく、私の部屋で寝ないでほしいのだがな。特に今は。

>>216
――だが、果たして本当にそうだろうか?
雨にも負けず風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な身体……
もしも心頭滅却し尽くした果てにそうなれるとしたら、貴公、なりたいかね?

無論、元の人間のままではいられんだろうさ。
人体は機能美に満ちているが、その精密さ、自由さこそが脆さの原因となる。
強い意志が肉体の限界を凌駕し、耐えることのみを目指し続けたらどうなるか……
私には一つ思い浮かぶものがある。……鉱物だよ。
いつか貴公が腰掛けたあの岩も、かつては人間だったかも知れんぞ。

まあ、これはさすがに冗談だ。
しかし一から十まで荒唐無稽な発想というわけでもない。
たまに、硬化薬の調合を依頼されることがあってな。
服用者の皮膚を硬化させ、様々な肉体的損傷を防ぐ薬だ。
便利だが、服用後しばらくは身動きが取りづらくなるという代償がある。

硬化薬の調合をしていると、ふと頭に浮かんでしまうわけだ。
私が配合を間違えたら、服用した奴は岩になってしまうのではないか。
もしかしたら、大昔の薬師や錬金術師の失敗作が、
人知れずそこらの岩山に混ざっているのではないか……とね。

218 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2024/01/14(Sun) 07:24
知ってるぜ・・・アンタの秘密

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