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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ五

171 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2022/05/20(Fri) 16:39
>>162(柚葉さん)(もう一言申し添えます。)

>…逆に命を頂く事への感謝と山への畏敬を忘れた者には、漁師の資格は無い…。
>スイスの民話「約束を破った弓の名人」のように…。

はい、その民話は存じております。
動物を狩ることそのものに快感を覚え、それ不心得な行いを防ごうとした山の精霊様からチーズを増え
させるお皿をもらったにもかかわらず、約束を破ったばかりに今度は自分が狩られる側に回ってしま
った…。
命をいただくことへの感謝、命を育む大地への畏敬、忘れてはならないことですね。

そして古今東西人は同じ戒めを胸に抱いてきたのでしょうか、似た話は日ノ本でも伝わっておりますね。
日ノ本の場合は、動物から農作物に置き換わっていますが。
「餅的」と題される昔話のことです。
肥沃な土地でお米がたくさん穫れるため次第に有難みを感じなくなった農村のお百姓が、遊びでお餅を
弓矢の的にしたところ、矢の命中したお餅は白い鳥に姿を変えて飛び去ってしまう。
そして、それ以降そのお百姓の土地ではお米が全く穫れなくなってすっかり落ちぶれてしまう、という
お話です。
学校で古典文学研究部の方に聞いたところでは、豊後国風土記や山城国風土記にも載っているお話との
ことでございます。
もしかすると、各地で「餅的」のような不思議なことが起こったのかも知れませんわ。
そして人々はあらためて自然の偉大な恵みを知り、語り伝えたのではないでしょうか。

実はわたくし、その部員の方からとても興味を引かれる後日譚を教えていただきました。
今申しました山城国風土記に記されたところによれば、白い鳥が飛んで行って降り立ったところに稲が
成り、これが「稲成り」そして「稲荷」と呼ばれるようになったのだそうです。
弓で餅を射た人の子孫は、先祖の行いを恥じてお祀りしたのが伏見稲荷様なのだそうでございます。
そして伏見稲荷様のご祭神・稲荷大神様の神使はお狐様、そして伏見稲荷様は全国の稲荷神社の総本宮
で、それに連なる別宮の中には、栃木県の玉藻稲荷神社のように玉藻前様をご祭神とするお社もある…。

玉藻前様…白夜様が稲荷大神様とお親しいなら、大神様が司る五穀豊穣の願いに触れることも多かった
でしょうし、「餅的」のような人間の過ちも直にご覧になって来たのではないか、と思えるのですよ。
にもかかわらず、また奈良の地に戻っていらして、人間と交わる暮らしを選ばれたことがとても嬉しく
思えてまいりますわ。
あの方はきっとこれからも長きにわたって、人間の営みを見守っていかれるのでしょうね。

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