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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ五

264 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2022/08/02(Tue) 18:09
>>258(柚葉さん)(つづきです。)

日が暮れて子どもたちとの戯れが終わったら、善女龍王様はまた逃げ出してしまわれて。
モニターの向こうではさして時間が経っていないにしろ、こちらは日にちを費やして本格的に
長旅になってきましたね。

「でも、ぜんちゃんの『気』はずい分濃く残っているわ。後を辿るのはとても容易よ。
 わたしたちがかつて遊び歩いた村や町を渡り歩いているみたい。
 わたしにとっても懐かしいわ。」

もしかして、わざとそうしていらっしゃるのでしょうか?
姉君がご自分を追って来られることを期待しておられるのでは。

「だとしたら、この町で行くところは心当たりがあるわ。
 わたしたちが一緒に遊んだ…というか悪戯をした場所ね。
 それは夜のことになるから、昼間のうちに少し町を歩いてみない?」

(娑伽羅龍女のお誘いで、三人で町を見て回りました。)

昨日見た農村よりも時代が下っている気がしますね。
町の人々の風俗を見ていると。

「我が主の記憶の反映ではないでしょうか?
 ランダムに思い出すままに過去の世界がここに反映されて、そうなっているのではないかと。」

では、次はまたずっと過去に遡ることもあると?

「ええ、よく昔の話を時代を問わず色々聞かせてくれますから。」

(日が落ちてから、娑伽羅龍女様のご案内で町はずれの池に参りました。)

「ここは鴨の肥育池でね、お魚を獲ることは禁止されているの。
 なのに夜中にこっそり魚を釣りに来る不届き者が後を絶たないの。
 ほら、いまもあそこに釣って帰ろうとして男がいるでしょう?
 だから、ちょっと脅かしてやるのね。
 あ、いたいた、あそこにいるぜんちゃんと一緒に、こうしてね。」

娑伽羅龍女様、妹君のところに行かれましたけれど、もしかして。

「主と一緒にちょっと悪い笑顔をなさっていますから、あれでしょうね、多分。」

(お二人の、普段とは違った恐ろしげな低音ボイスが一体に響き渡りました。)

「おいてけ〜。」

「たちされ〜。」

釣り人達が青くなって逃げていきますわ。
やっぱり、ポピュラーな怪談でしたわね。
お二人が会心の笑顔を浮かべていらっしゃいます。
本当に身も心も童心に帰っていらっしゃるようですね。

「でも、主の脅し文句は最近視たアニメの幼女幽霊を思い出しますね…。」

(つづきます。)


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