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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ五

58 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2022/02/06(Sun) 14:49
>>54の続きです。)

(風蘭寺の門から歩きがてら自己紹介しつつ、寺務所に案内していただきました。)

あ、これ奈良のお土産のお菓子の『ならんでならんでしかまろくん!』です。
よろしければどうぞ。

「わざわざ、ありがとうございます〜。」
「それではお茶を淹れますのでお待ちください〜。」

(寺務所に入ってみんな卓を囲んだのですが…。)

「風蘭様、お客様の前ですよ〜。」
「隅っこで壁に向かって無言は無いですよ〜。」

困りましたね…、この重い空気どうしたらよいでしょう。

「それでー、さっきのパトカーは何だったんですか―?
 どうしておまわりさんに護送されてたんですかー??」

朱瑠さん、直球で斬り込んでいかれますね…。
でも、物怖じせず口火を切ってくださったので、どうやら狐のお二人も頷き合っておられます。
しばらく静聴いたしましょう…。

「とりあえず、この部屋の上の方を見ていただけますか〜?」
「ますか〜?」

上の方…?
あら、お部屋の長押(なげし)の上、ぐるりと部屋を囲むように額がかかっていますが…。
まあ、これら全部、感謝状ですの?
そして、お名前は全部『風蘭殿』になっておりますわね。
『誘拐事件の捜査に協力』、『強盗の現行犯逮捕に協力』、『入水した女性の人命救助』、『火災現場から
子どもを救出』、『国際テロリスト拘束』…?
警察や消防署、駐日大使館からのものがこんなに…。
これはまた壮観、というかなんというお手柄と申しますか…。

「今日も、また手抜き工事でビルが崩落した現場から母娘を救助したっていうので〜。」
「感謝状をまた授与されたのですよ〜。」
「それで大手柄を聞きつけて近隣の人たちが警察署に押しかけたので〜。」
「このままじゃ帰って来られないからって、パトカーで送ってもらったのですよ〜。」

まあまあ…、長きにわたり多くの方のために頑張っていらしたのですね。
本当に素晴らしいですわ。

「…感謝状など、一枚あれば十分だったのだ。」

あ、あら、風蘭様?
壁の方を向いたまま、ものすごく不本意そうな口調でいらっしゃいますね?

「どの事件も、これで他人は助かっても自分はそこで果てておかしくない事件ばかりだったんだ。
 強盗に銃で撃たれる、急流に流される、猛火に包まれる…、これでもう終わりにできる、と思って安堵
していたのに。
 なぜか、いつも生き永らえてしまう、そんなつもりはなかったのに、何度捨て身の諦念に身を委ね
 ても、必ず魂魄は執念深く、この醜い肉体から離れようとしない!

 そして思い当たった。
 これが、九尾の狐、貴女の仕業だとな。」

「…え〜、わたし、なにかしたっけ〜?」

「とぼけるな!これだ!」

まあ、急にシャツを脱ぎ捨てられてどうなさったのかしら?
…と、あら、風蘭様のお背中に何か付いているようですが。
それは護符?

「…そう、それも神力のろくに籠っていない気休めの類いではない。
 わたしが自ら飛び込んだ危難から有無を言わさず引きずり出す、強力な力を籠めた護符だ。
 おかげで私は今も過去の罪を贖うための自裁もできないでいる!
 貴女がこの寺を出ていく前にこっそり貼り付けたのだろうが、わたしにはいくら剥がそうとしても
いかんともし難かった。
 今日こそ、この護符を剥がしてもらうぞ…。」

なるほど、白夜様と再会した途端に食ってかかって来られたのはこのことだったのですか…。
白夜様、黙って聞いておいでですが、どうなさるおつもりなのかしら…。

(すみません、ここでいったん切らせていただきます。)


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