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【オリジナル】地上に舞い降りた、飛べない天使

661 名前：水橋 パルスィ&星熊 勇儀 ◆Parseejo 投稿日：2023/03/12(Sun) 21:02

>>580-581 るり（2/2）
厳しいというよりも真っ直ぐというのが正しいかな、思ったことをそのまま相手に伝える人なの。
後ろめたい事しか無いから、見透かされると追い詰められちゃう〜、るりさん助けて〜？
木登りはできるよ、るりさんほど上手くはないかもしれないけれどね。
だからるりさんを木の上でひとり占めできるかな、木の上なら二人きりだろうし。

わかる、わかるよ、私もはじめてお酒を呑んだ時にそれを強く感じたもの。
今日はおめでたいお酒だよ、るりさんがお酒と出逢えた最初の日なんだからね。
酒癖が悪い人だと確かにそうなっちゃうかも。
でもその人ってお酒を呑むと暴れたり口が悪くなったりするのかな？

私は六情の一切を喰らう悪食な妖怪よ、「笑い」について研究することは料理を研鑽することに等しい。
神霊妖魔、超常の存在の本質は搾取、当然貴女も気持ちはどうあれそこから免れることはできないわ。
すなわち、「笑い」の食べ方も心得ていなくては額に汗して搾取される側に回ることになるのよ。
自由学芸＜リベラルアーツ＞を欧州＜オルパ＞の知識人＜インテリゲンツィヤ＞が重視した理由もここにある。

―――私達が出逢った杏寿郎は、避けられない死に至るまでの日々を違った形で永遠に繰り返している。
もし、貴女が彼の魂を天上へ誘う＜いざなう＞ことができたならばそれは救いなのでしょう。
そして私は彼岸と冥府を分かつチンワトの橋を護る者、どうやら全て用意された結末しか有り得ないようね。
愛は死のように強く、熱情は陰府＜よみ＞のように酷い、運命が視えている相手に恋焦がれることはなんと辛い事か。

可能性の観点から言えば、妄想と断ずるのは早計ではなくて？
大天使となり、倭国の人間達に加護を与える貴女の存在は将来ほぼ確実に具現する未来だと考えているけれど。
では妄想とは何かしら、貴女と臥所で夜も昼も忘れて香を求め、蜜を貪り、胸の疼きを鎮めようとしてなお燃え盛る。
“いまの貴女”にそれを求めようとしたら、それこそ妄想というものではないかしら。

「かっかっか、中々面白い見立てじゃないか、気に入った！」
気に入らないわね、ただでさえ強いのにリーチまで手に入れたら敵わないわ。
「いいねいいね、今度山の神とやり合う時には覚えておこう」
どちらの意味か測りかねるけれど、斯様な浅知恵でやり込められるのは大海を知らぬ者だけよ。

「気が変わったらいつでも言っておくれ、妻を養うのは夫の甲斐性ってね」
この国の神として祀られたら大変よ、倭国の民は現世利益を神仏に要求するわ。
神の言葉、聖句によって生きるということを知らぬ者達よ、訂正することは千年の昔に諦めた。
「私に言わせりゃ願いの一つも叶えてくれない神さんなんてケチだなと思うなぁ」

結論ありきというのはそんなに悪い事かしら、相手の反応を素早く見ることができるし、行動を加速すると思うけれど。
「とりとめのない話を肴に冬の長い夜を明かすのも良いじゃないか奥方殿よ」
生憎春はすぐそこよ、立春＜ノウルーズ＞が控えているし春宵一刻値千金―――妖怪と言えども生き急ぐ季節が訪れた。
「そりゃめでたい、天女様も一時休戦してパルスィの祖国が新年を共に祝おうじゃないか」

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