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810 名前：水橋パルスィ ◆Parseejo 投稿日：2023/09/30(Sat) 23:30

>>508, >>616, >>618-619 侯爵夫人オルデキア・アーチェロ公女（1/2）
ほほほ、恥ずかしいと仰られますがあれほど衆生を沸かせた方が何を仰せられます。
平素よりの御召し物も素敵ですが、姫様のスーツ姿、侯爵夫人のドレス姿も眼福でございました。
お母堂様もまだまだ見るべきものが多いとのお心なのでしょう。
なれば一つ所に留まっておられますまい、妾は夫婦酒場とバーを行き来するばかりでございますが。

妖魔が二匹居れば争いが生じるのは必定、人間にも”両雄並び立たず”という言葉がございますわ。
一方で高級魔族であれば争い方も一手間かけねばなりますまい、血煙を挙げることなど低級妖怪でもできること。
周りを御覧じ下さいませ、祭も最後とばかりに妖魔も人間も共に楽しんでおりまする。
なれば種族も性差も溶け合い、己の信じる美や楽を表現する者達で埋め尽くし、より楽しませることで競いたく存じます。

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くくく、四方世界を見渡しても神が妖魔に神の代理をさせるなどと聞いたことがございませぬ。
「ところがどっこい、日ノ本じゃあ神様も妖怪も簡単に入れ替わる、私だって見方によっちゃあ神の一柱さ。
名乗りもせずにご無礼を、日ノ本六十六州に棲まう鬼の頭領、怪力乱神・星熊勇儀が南蛮の姫君にご挨拶仕る」
―――とまあ、ご存知ではありましょうが倭国は斯様な土地柄にございます。

成程、侍従殿が隠されている秘密とは姫様の習慣、覚悟と関係が―――これはしたり。
ザナージュ、どうせまた聞いているんでしょう？羽藤侍従の時も言ったけれど堂々と聞けば良いというものではなくてよ。
私の真名も直接聞きにいらっしゃい、それ以外の手段で得たところで認めないわ。
姫様の御前でご無礼を、我が恋人は美女の秘め事にただならぬ関心を持つのが玉に瑕にて。

非力、逃げの一手と仰せられますが、真祖は魔王に匹敵するほどの特別な存在
運命は善の勝利を定め、妾は魔王の一を討つ運命となっております。
されど妾が生きて勝利を見届け、すぐさま永遠の来世を生きるかは定かにあらず。
数多の悪魔を屠り慢心しているところを姫様に討たれるということも否定できませぬ。

妾はかつて水の概念と四季の巡行、縁切りと橋の守護を担っておりました、故に善と秩序には思いがございます。
されど鬼の本質は収奪者、姫様は驚異的な理性で、我が夫＜つま＞は妾の調伏にて抑えているに過ぎませぬ。
社会の裏側を見れば死徒達が暗躍し、人を鬼から守るため煉獄杏寿郎や宇髄天元、冨岡義勇らが血を流しておりまする。
姫様が交わっておられる鬼の姫も自制しているのでしょう、いずれにせよ本質ではございません。

「お姫様＜おひいさま＞、これには私にも責任の一端があってね、一言で言うとパルスィと引き換えに悪事をやめたのさ。
山背―――いや、山城国は大江山を拠点に京＜みやこ＞をそりゃあ荒らし回った。
帝の軍勢と戦い、寺社の荒法師共を千切っては投げ、酒も女も財宝も根こそぎ奪ったものよ。
そんな時に源頼光という女武者が郎党と陰陽師、そして橋姫を率いて討伐にやってきたんだ、お上もトサカにきたらしい」

「最初は女どもを返す話し合いがしたいと言うから酒肴でもてなしていたんだが、いきなり襲い掛かってきてね。
それと息を合わせるかのように矢と式神が邸の外から雨霰のように降り注いだからたまったもんじゃない。
可哀想に私の側室のヤマメなんて両目両足潰されて2年も光を失った、今はピンピンしているけれど。
頼光は鋭い剣で次から次へと鬼や土蜘蛛を切り伏せて、矢が尽きたパルスィは鬼切の名刀をひっ下げて踊り込んでくる」

「弱ったよ、奥の間に隠しておいた鬼や天狗、河童、土蜘蛛の童達を斬り捨てるって言うんだから。
流石に子ども達の命には代えられないから降伏したよ、この辺からが外で伝わっている話と変わってくるところでね。
お上からの財宝と上臈衆は返すことになったが、寺社から巻き上げた分は持って退去して良いことになったのさ。
後に武人達から二度焼かれた叡山に何度も焼かれた東大寺、勢力を削ぎたかったんだろう」

「で、退去の目付としてパルスィが付いて来たってわけさ、正妻として迎えろって言われた時には正気かと思ったよ」
宇治の橋姫のせいで株価はストップ安、鬼の社会に入り込んだ方が居心地が良さそうだったのよ、貴女顔が良いし。
―――概ね夫＜つま＞が語った通りでございます、故に私は堕したと申しました。
ただしそれは私の事情であって、姫様の想いを踏みにじるものではございませぬ、落とし前は妾の頸にて。

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