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【オリジナル】異国小路の吸血姫 新館ノ参

877 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2020/03/07(Sat) 17:07
>>875

はい、確かに過去のある時期、一学徒として大学に通っておりましたわ。
言われてみますと、懐かしいあの頃が昨日のことのように思い出されます…。

ボローニャ大学、言わずと知れた欧州最古の大学でございます。
しかも12世紀には既に女性に門戸を開いた大学です。
ボローニャという都市自体が自由を尊ぶ街で、古くから才あれば女性であっても専門的職業につける稀なところだったのです。
それがわがカルミーニオ家の領地にほど近い場所に位置していたのは、まことに幸いでした。
その様な大学で人間の学友と共に学問を修めたい、そう願って両親を懸命に説得いたしました。
神学の専門課程で学ぶ学生も多いゆえ、ずい分と心配されましたけれど何とか許しを貰いました。
そうして、わたくしは吸血鬼ではなく人間の貴族・カルミーニオ侯爵家の娘として忘れがたい日々を過ごしましたわ。
学んだのは『七自由学科』という一般教養科目で、文法、修辞、論理、数学、音楽、幾何、天文、そのどれもが今まで知らぬ世界への扉、心躍らせながらお勉強に邁進…したかったのですが、生来の昼行燈の性格ゆえ、恥ずかしながらついていくのにかなり苦労致しました…。
ですので、学問の内容を詳しく、と説明をするのはご勘弁くださいませ。

ですが、神学の専門課程を志望する友人の中に強い異能力を秘めた子がいて、その子に正体を知られてしまい…。
それまでに築いた交友ゆえに、わたくしのことを見逃す代わりに大学を去るよう求められ、それを受け容れるしかございませんでした。
わたくしを説得しようとする彼女の苦渋に満ちた顔が忘れられませんわ。
…すみません、最後はなんだか湿っぽくなってしまいましたわね。


>>876

まあまあ、嬉しいですわ。
実は貴方様の仰る白梅の柄の着物を着てお出かけしようと思っていたところだったのです。
そう言っていただけますと、わたくしにもこの着物が似合うのだ、と多少とも自信が持てますわ。

いかがでございましょうか、この柄は?
歌川広重の『白梅に寿帯鳥(はくばいにじゅたいちょう)』を染め上げておりますの。
可憐な白梅の枝に色鮮やかな尾長の寿帯鳥がとまっている図でございます。
少し大胆かな?と思ったのですが、広重画伯の絵のファンとしてどうしてもこういう柄にしたかったもので…。
貴方様のお言葉を胸に、出かけてまいりますわね。
あ、よろしければ、しばらくお散歩におつき合いいただけますかしら?

(そういえば、同じ広重画伯の『月夜の紅梅』を染めた着物もあるのでした。
 あちらは、我が家のメイドさんに来ていただきたいですわ。
 と、心ウキウキのお散歩に出かけるのです。)

878 名前:羽藤柚葉 ◆cmJTqYfU 投稿日:2020/03/07(Sat) 18:39
>>875
>>877(アーチェロお嬢様)

お嬢様が、あのボローニャ大学に学徒として通われていたとは…。
私もそちらの大学に関してはお聞きしたことがある程度で詳細は存じませんでしたが…。
お嬢様のお話を通じて、歴史の一端というものに触れられたような気が致します。

ですが…。
事情が事情故に、大学を中退せざるを得なかったのですね…。
お嬢様には誠に失礼ですが、時代が時代だけに素性が知れてしまえばお嬢様個人のみならず
カルミーニオ家と一族を巻き込む問題に発展してしまう事は想像に難くありません…。

その神学の専門課程を志望する友人の方も、無論お嬢様も、互いの立場や感情ではどうにもならない事を理解した上で
袂を分かつ苦渋の決断をされた事と思います。

加えて大学における単位の取得は、高校までとはその重要性が異なります。
一度取得に失敗すると、その挽回は容易ではありません。
だからこそ、単位を落とすまいと皆必死になります。
それだけに、無事取得できた時の嬉しさは大きい…。
でも中退するという事は、それまでの積み重ねがほぼ無に帰してしまうのですから…。

大切な友人たちとの交友、積み重ねてきた努力と知識…。
ご自身の新たな道を切り開こうと苦労を重ねてきたお嬢様の心中の無念さは、察するに余りあるものがあります。
自分の立場に置き換えても、もし事情で中退せねばならないとなればそっとしますね。
いえ、私とお嬢様とは時代も立場も余りに異なっておりますが…。

ただ、その神学を修める道を志していたという友人の方が、お嬢様との交友を通じて
闇の眷属の方が決して人間と対立しようとする者ばかりでない事を理解した上で
道を歩まれていったのであれば救われる気が致します。

そう、この町の教会のフリューゲル神父様のように…。

>>876

まあ、そのように仰って頂けるとお仕えする立場の一人としても嬉しくなりますね。(微笑)

実は、お嬢様のお召しになる御着物の柄はこの街の商店街の馴染みの方々の間では
ちょっとした風物詩になっているんですよ。

お嬢様の御着物の柄が変わる度に、お世話になっているお馴染みの商店の方々からは
「もうそういう季節になった事を実感する」とお話を頂くんです。

加えて、和装とこの国の春夏秋冬を心から愛しておられるお嬢様の着こなしと
雅な立ち居振る舞いは街の方々には良く知られております。
正に「伊太利亜から来た大和撫子」の面目躍如ですね。(微笑)

お嬢様は白梅の柄の御着物も、椿の柄の御着物もお持ちですよ。
どちらもとてもお似合いなのですけど、仰る通り私も白梅が一番お似合いだと思っております。

お嬢様の銀髪と、淡い白梅の組み合わせは誠に典雅なのですよ。(微笑)
先日、この街の土地神様の神社の梅が満開になった際にお邪魔したのですけど、
参拝に訪れた方は一様に見惚れておりました。

一旦切らせて頂きます。



879 名前:羽藤柚葉 ◆cmJTqYfU 投稿日:2020/03/07(Sat) 19:28
>>874(アーチェロお嬢様)

お嬢様、お茶が入りました…。
お茶請けは、椿の練り切りになります。
商店街の和菓子屋さんの、この季節の名物ですね。

>いつか機会が、たとえばオープンキャンパスなどがありましたら訪ねてみて、どんな知的で刺激的な場所なのか、この目と耳で感じ取ってみたいですわ。

はい、私の大学のオープンキャンパスですか?
オープンキャンパスは、高校生の方々の春休みの時期に合わせて3月の下旬、20日からを予定しております。
実行委員をしている友人から、伺っております。

そうですね。それは実にいい機会かと私も思います。
社交部の皆様との活動を通じて、私が大学で学んでいる内容についても色々と興味を持って頂いた事ですし…。
宜しければ、社交部の皆様にも一度声をお掛けしてみるのは如何でしょう?

これを機会に、お嬢様のご学友の方が私の後輩になるかも知れないと思うと感慨深いものがありますね。(微笑)
では、社交部の皆様がお屋敷を訪れた際に今後の予定について話し合ってみませんか?

>>877(アーチェロお嬢様)

お嬢様、私もお仕事がひと段落致しましたので恒例の午後のお散歩に参りましょう。
朝夕はまだまだ寒さが続きますが、日中はそれなりに陽気が訪れて
春の訪れが近い事を実感致します。

ふふっ…。本日は白梅の御着物をお召しになるのですね。
え?私にも御着物を?

まあ…。このような素敵な紅梅の御着物に袖を通せるとは感激です。
私自身、主に青や藍を基調とした服装が多いので偶には「紅」を基調とした
ものを着てみたいと思っていたんです。

お嬢様のお陰で、このような素敵な機会を頂けた事に感謝致します。
では早速、着替えて参りますね。

(小一時間後)
如何でしょうか?お嬢様やレイナさんのご指導もあり、それなりに和装にも
慣れてきたつもりではありますが。

ふふっ、お嬢様は白梅、私は紅梅…。
一つの木で白梅、紅梅が共に咲き乱れる様子は「源平咲き」と呼ばれるそうですね。
お嬢様と並んで、きちんと紅白梅となれるよう努めさせて頂きます。

それでは、参りましょう…。

880 名前:吸血姫アーチェロ ◆ufrlRV4E 投稿日:2020/03/07(Sat) 22:04
>>878(柚葉さん)

>大切な友人たちとの交友、積み重ねてきた努力と知識…。
>ご自身の新たな道を切り開こうと苦労を重ねてきたお嬢様の心中の無念さは、察するに余りあるものがあります。

ごめんなさい、柚葉さん。
貴女にそんな哀しい顔をさせてしまうことになってしまって。
そして、気遣ってくださって本当に嬉しゅうございます。

確かに残念な結末でございました。
大学にいる間、自分の将来を想って胸膨らませておりましたわ。
かのコペルニクスが在籍していた学び舎でございます。
宇宙の神秘をはじめ人類が築いてきた知見の数々に、城館の中では決して感じ取れなかったであろう人間族の果てしない可能性に接して、この人たちと学問の海をずっと進んで行けたら、と思っておりましたもの。
『もし専門課程で医学を修めることができたら、人間の血を奪うこの身が命救う者になれるかも』
なんて、思ったこともありましたわね。

柚葉さんと同じ気持ちをあの学友も抱いてくれたと信じております。
だから、立ち去るわたくしにかけられた
『ごめんなさい、ごめんなさい…。』
の涙声に
『謝ってもらうことではないわ。私の方こそ騙していてごめんね。』
と返せたのです。

…ですが、志半ばで去らなければならなかったとしても、今申した人間の可能性に触れ、さらなる知見を求める心を培えただけで充分、学ぶ機会はまた作れば良いのです。
決してあの日々は無駄では無かったと信じて…います…。
…すみません、思い出したらやっぱり少し悲しくなってきました。
少しだけ…泣くのを許してくださいませ…。

あの時のことがあったから、この国で高校に編入した時は最初の日のあいさつで吸血鬼の身であることを明らかにいたしました。
恐怖を与えてしまい警戒を呼んでしまいましたが、今はこんな魔族のわたくしを受け容れてくれる学友が大勢いてくださいます。
昔があるからこそ今の大切な絆があることもまた心に刻んでおきたいと思っておりますわ。

そうそう、ボローニャ大学の彼女はその後ヴァチカンに入って機密部門の外政担当官になったそうです。
極めて密やかに魔族との交渉にあたる密命を帯びていたそうで、彼女がその職に就いてからわがカルミーニオ家の交渉役の者も
『驚くほど穏便かつ着実に折衝が行われるようになり、結果として少なからず両者の関係を温順にした。』
と言っていたそうでございます。
メイド長からわたくしへそう知らされ、とても心軽くなったのを覚えております。


>実は、お嬢様のお召しになる御着物の柄はこの街の商店街の馴染みの方々の間では
>ちょっとした風物詩になっているんですよ。

ええっ、そうなのですか?
それはまた何とも…恥ずかしいことでございます。
四季の移ろいに敏感なこの国の人々の目に留まっているだなんて、嬉しいと同時に緊張いたしますわ。
でも、街中を歩くときの何とも知れぬ温かな雰囲気は、きっと皆さまのお優しい心の表れなのでしょうね。
異国から参った、それも魔族の小娘が、この国の雅の衣装をまとうことに寛容でいてくださるのですから。
それでしたら、それへの感謝の想いと共にこれからも和装を堪能させていただきましょう。


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